トランシーバーは全てを語ります。
ー戦闘日ー
「皆、準備は良い?」
「大丈夫に決まってるでしょ?」
「へーきよ」
「いつでもかかってこい!」
「…大丈夫です」
「それでは行きましょうか一樹」
皆の返事を聞いたところで僕はもう一度確かめた。
「…皆、本当に覚悟は良い?」
何しろ相手はバジリスクだ。
死ぬ可能性だってある。
なのに、だ。皆の意見はすでに決まっていた。
「「もちろん!」」
「…分かった。一つだけ気をつけて。絶対に奴の目を見ないで」
ー死んでしまうから。
僕はそう忠告をしてから出発した。
『反応ではその付近にいるはずだよ。観測所で発見でき次第そちらにデータを写真で送るね』
「分かりました。ありがとうございます」
『一樹君、改まっちゃってどうしたの?気をつけてね』
「はい」
市長と連絡を取ってから桜たちに告げた。
「この付近にいるらしい。気をつけて戦おう」
「はい!」
「安全第一。写真が届くまで隠れていよう。奴もこちらには気づかないはずだ」
そして、一樹、優里香、恵理香の3人班と桜、総司、翔子の3人班に分かれ、それぞれ隠れた。
ちなみに連絡はトランシーバーでする。
そしてなにもないまま5分が経過した。
「こないな…」
バジリスクの気配も市長からの写真もこない。
そんな時『大変です!一樹!一樹!!』と、焦る桜の声がトランシーバーから響いた。
「なに!?どうしたの!?」
『奴が…奴が…』
「!?分かった!すぐ合流する!」
なぜだ!一体どこから来た!死角はないはずだぞ!
とにかく今は桜たちの援護だ!!
ビービー
そんな時、通信機が音を立てた。
「はい!なんですか!?」
『一樹君!今から写真を送るよ!』
「いや、もう大丈夫だ!発見した!」
通信機の向こうで市長が息を飲む。
『そっ、そうか。健闘を祈る』
「ありがとう」
通信も手短にして走っていくと、桜たちの姿が遠くに見えた。
しかし、その手前。ちょうど僕たちと桜たちの間に一匹。
『シュー…シュー…」
バジリスクが佇んでいた。
周りの木に戦いの跡があるということは桜たちも抵抗したのだろう。
ここから見るに、犠牲者は出ていないようだ。
そして、まだ僕たちにも気づいていないようだ。
バジリスクは桜たちを探している。
そして、舌を2、3回出したと思うと…桜たちの方を向いた。
気づいた!?一体どうやって…
………舌か!?奴も一応は蛇。舌でこちらの場所を特定しているのか!
『シュー…シュー…』
ゆっくりと、だが確実に奴が桜たちに近づく。
桜たちを見ると、飛び出そうとしていた。
(迎え討つ気か!?)
危険すぎる!なんとか止めなくては!
「優里香!拳銃を!」
「分かってるわよ!止めれば良いのよね!」
ダーンと、銃声が鳴り響く。
弾は奴の胴体に命中していた。
「ナイスアタック!」
「フンッ。当然でしょ」
桜たちもこちらに気がついたのかトランシーバーで連絡をしてきた。
『助かりました。ありがとうございます!』
「いや、だいじょ…翔子!!!まだダメだ!!!!」
何気なく桜の方を見ると翔子が、こちらに向かって何かを伝えようとしているのか手を振ろうとしていた。
確かにバジリスクは向こうを向いているが…
そして、次の瞬間桜が気づいて止めるよりも先にバジリスクが桜たちの方を向いた。
ドサッ
『うわぁぁぁぁ!!!!』
そして、トランシーバーの奥から何かの倒れる音と総司の叫び声が聞こえた。




