心配しない訳がないんです。
深い森の中、僕はじいさん達の元へ向かっていた。
「二人とも大丈夫かな?きっと心配してるよね…急がなきゃ!」
「だーかーら!あんなに心配させといて狩りしてたってどういうことなのおじいちゃん!?」
「だから、すまなかったと言っておろうに…」
「そういう問題じゃ無いでしょ!?連絡くらいくれれば良かったのに!」
「いや、連絡手段がなかったのじゃよ…」
「だったらすぐに帰って来なさいよ!!」
「いや、まぁ、それは置いといて…ご飯抜きはさすがに酷いと思うぞ?」
「置いとかないで!おじいちゃんにはご飯なんてどうでも良いでしょう!?狩りさえできれば!!!」
しばらく森の中を進むと桜達の声が聞こえてきた。
何かをもめているようだった。
(僕を助けに行くかどうかでもめてるのかな?ふふっ、なんてね)
「おーい、二人とも〜。帰って来たよーー……ん???」
そう呼びかけるのと同時に桜の声が聞こえた。
「ーーー狩りさえできれば!!!」
(二人は何を話しているんだ?)
不思議に思った僕は二人の元へ駆け寄ってみた。
「そんなわけなかろう!?ご飯は大事じゃぞ!!」
「そのくらい心配したのよ!?ご飯3日抜きは変わらないからね!」
どうやらじいさんの罰についてもめているらしい。
「あのー…二人とも?今帰ったんだけど…」
「あれ?一樹、お帰りなさい」
「おぅ一樹。大丈夫だったようじゃな」
「反応うすっ!!」
いや、心配してないだろうとは思ってたけど、これはさすがに酷いと思う…
っていうか、なんだかんだで少しは心配してくれてると思ってたのに…
「「?」」
「いや、もうなんでも良いよ…」
「はぁ…?それではそろそろ帰りましょうか?」
「そうじゃの」
「そうだね…」
「一樹、今日の晩御飯は何にしましょうか?」
「そうだね…あんなものを見た後だし、赤いもの以外がいいな」
「そうですね…では、今日も二人分だけですし、奮発してお肉を買いましょうか」
「うん!それが良いね!」
「お主ら、わしの分はないのか?」
そう聞いてきたじいさんに僕はこう答えた。
「桜、家にカップ麺ってまだあったっけ?」
「2、3個残っていたと思いますよ?」
「良かったねじいさん!3日分の食料があって!!」
「………食べられないよりはマシかの?……」
こうして多数の犠牲を出した闘いは幕を閉じたのだった。
ー夜ー
「で、こんなことがあったんだ」
「そうでしたか!それは凄かったですね!!」
僕と桜は同じ部屋で布団を並べて話していた。
じいさんは桜といるプレッシャーに負けたのか、向こうで寝ると言い残して去って行ってしまった。
つまり、今僕達は二人きりで寝ているということだ。
「そろそろ寝ようか」
「そうですね。おやすみなさい、一樹」
「おやすみ、桜」
そして電気を消して、僕が寝ようと思っていると桜が突然こんなことを言ってきた。
「一樹…少しじっとしていてください」
「え?…はぁ!?」
な、な、な、なにをい、い、いってるのこの子は!?!?
いくら二人きりだからって急に…
桜が顔を近づけてくる。
もう少しで顔が触れるという距離で顔が止まった。
目の前には桜の顔が…
「一樹」
「ひゃい!?にゃ、なんでせうか!?」
ふと、桜の目に光るものが見えた気がした。
「無事でよかったです。安心しました」
「!」
そうか、心配してなかったわけじゃないのか…
当たり前だよね?そんなの。
そう気付いた僕は少しでも疑ってしまった自分が恥ずかしくなった。
「それだけです。おやすみなさい」
そう言うと、最後に微笑んでから桜は布団へと入っていった。
「うん。おやすみ」
そう言って僕は目を閉じた。




