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最後の人類、最初の生命  作者: コゲコゲ
覚悟には時間がかかります
16/56

油断大敵です。

「キィーーヤァーーー!!!」


『グルルァァ!!』


 やっぱりですね!そうですとも、知ってましたとも!

 やっぱり僕が囮になるんですね!


「一樹、早くしないと追いつかれますよ!」


 遠くで桜が叫んでる。いや、助けてくれよ…

 なんですか?僕には囮の才能でもあr『グルァッ!』


「ってあぶねぇ!!」


 後ろにいるこいつはエレちゃんよりもふた回りほど大きい体を持っている。

 と、桜達との合流地点が見えた。


「おーい!桜ぁ!!早く助けt『ギャァス!』


 ガッチーンと、後ろで奴の顎が閉まった音が聞こえた。

 うん。マジで怖え…

 そうこうしてる間にゴールイン!

 作戦では横から桜が入り、兵隊が仕留めるということらしいが…



 バサッバサッ



「飛んだ!?」


 そう、こいつにもエレちゃんみたいに羽が生えているから飛ぶということは分かっていた。

 分かっていたのだが………想定していなかった。


「鉄砲隊、撃てーーい!」


 ズガガガガとしばらく鉄砲を撃つ音が聞こえる。

 しかし、空を自在に飛ぶ奴にはかすりもしない。

 まるで銃弾が奴を避けているようだ。


『グギャァ!』


「まずい、避けて!!!」


 奴が滑空しながら凄いスピードで突っ込んでくる。


「ここは私が!」


 桜が得意のワイヤーで止めようと前に出る。しかし…


「ダメ!桜、逃げて!」


 奴は凄いスピードで突っ込んできている上に電気まで纏っていた。

 しかし、焦っている桜は電気には気づかない。

 次の瞬間、華奢な桜の体は宙を舞っていた。


「桜!」


 僕は助けに行こうと走り出す。が、


「ウグッ」


「落ち着いてください一樹さん!今は逃げることが最優先です!」


「でも桜が…」


「大丈夫です。今は鉄砲隊が応戦しています」


 隊長の背後を見ると、鉄砲隊が銃で奴と戦っていた。

 奴は、桜を吹き飛ばした時に突進の威力のほとんどを使ってしまったらしく、銃相手に苦戦をしているようだった。


「鉄砲隊の一人に桜さんを助けるように言ってあります」


 確かに、奴の隙をついて桜に駆け寄っている人影が見える。

 良かった。桜は無事みたいだ。

 ただ、もう戦闘は出来そうにない。


『グ、グガァ!』


 奴の叫び声でそちらを向くと、奴は地面に落下しそうになっていた。

 どうやら、やっと銃弾が当たったらしい。


「…隊長」


「なんですか?」


「…僕に出来ることはありますか」


「…そうですね。桜さんのそばに居てあげてください」


「っ!…はい!」



 桜は、テントに寝かされていた。

 さっき電流に触ったせいか、手に少し火傷がある。

 ここにいた人たちは、「あとは任せた」といって戦線に戻って行ってしまっていた。


「一樹…」


 そんな時、目が覚めたのか

 桜が弱々しく呟いた。


「どうしたの、桜」


「どうなりましたか…?」


「命に別状はないって」


「いえ、そちらではなく…」


 桜は自分のことよりも戦線のことを心配しているようだった。


「大丈夫。鉄砲隊が抑えているよ。一発だけど当てたし」


「それは…マズイです…」


「マズイって何が?」


 思わず僕は聞き返してしまった。


「奴の能力は電気を作り、纏うことだけじゃないんです」


 ?一体どういうことだろうか?


「あの時、私のワイヤーは確かに奴に当たる角度、タイミングてした」


「うん」


「でも、奴には当たりませんでした。直前にワイヤーは曲げられたのです」


「え?それって…」


「はい。恐らくは纏った電気によって金属類を弾いているのかと…」


「でも銃弾は当たったよ?」


 確かに奴に当たっていたはずだ。


「纏っている電気が弱かったからでしょうね」


 油断していて軽くしか纏っていなかったから銃弾を避けていたのか。

 ん?てことは、当たった今は警戒してるんじゃ…


「それって自分で作った電気を纏ってるんだよね…?」


「はい。その通りです」


 だから桜はマズイって言ったのか…

 どうしよう、すごく嫌な予感がする。



 嫌な予感がして戦線に戻った僕は固まってしまった。


「なんだこれ…」


 目の前には誰も立っていなかった。

 木に銃弾の跡があり、地面には沢山人が倒れていて、もうそれは地獄絵図だった。

 バキッ、グチャッ。クチュクチュ。バキッ…

 奥から嫌な音が聞こえる。

 見たくないと思いながらも僕は見てしまった。


「うぐっ…」


 そこには変わり果てた兵隊の姿とそれを食べる奴の姿が…

 奴がゆっくりとこちらを振り向いた。


『グルルルル…』


「は、ハハハ…」


 目が合った。奴の口の間から覗いているのは…


「ひっ!?ゆっ、指!?」


 指だった。

 思わず叫んだ僕の声を合図に奴がこちらに向かってきた。

 僕は腰が抜けて立てない。


「あ、あああぁぁぁぁぁ」


 口からは言葉にならない声が出てくる。

 ゆっくりと奴の口が開いていき、僕の頭を…


「一樹!」


 あれ、桜?今は寝てるはずじゃ。しかもなんか声もおかしいし。

 気が遠くなっていく僕が最後に見たのは誰かの背中だった。

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