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最後の人類、最初の生命  作者: コゲコゲ
小さい敵が意外と強かったりします
11/56

時には平行思考も大切です。

ーーーそれでは、よろしく頼みましたよ。

 森へ向かう道中、僕は市長のそんな言葉を思い出していた。


「ねぇ、桜」


「なんですか、一樹」


「絶対に狩って帰ろうな」


「?もちろんですとも。でも一樹、それは俗に言う死亡フラグではないのですか?」


「!?いっ、今の取り消し!!」


「もう遅いと思います…」


 しまった!こんな時に死亡フラグを言ってしまうなんて!


「そういえば、市長さんが何か言っていましたね?」


「うん。確か…『気をつけたほうがいいですよ。そいつは素早過ぎて姿が見えないくらいらしいので。足音を頼りに探したほうがいいと思います』って言ってたな」


 奴は素早いらしい。背後を襲われないように注意しなくては…


「そうですか…では着いたことですし、早速罠でも用意しますか?」


「そうだね」


 作戦はこうだ。

 まず、僕が囮となって奴を引きつけて桜の所へ走る。

 次に桜がワイヤーで奴を捕まえる。

 最後に僕がとどめを刺して終わり。

 と、まぁこんな流れだ。

 そう簡単に行くとは思えないが何も作戦がないよりはマシだろう。


「それじゃあ僕は行くよ」


「気をつけてくださいね」


ーーーーーいざ、勝負!



 森の中、僕は一人ぼっちで丸太に座っていた。


「おせーな…」


 かれこれ一時間。足音すらも聞こえない。


「まさか来ねーんじゃねーの?」


 僕がそう思ったその時、

 ガサッ


「!?」


 草むらから飛び出してきたのはネズミだった。


「なんだ…」


 そこで僕は気づく。ネズミは何かから逃げるように飛び出して来たことに。


「…来たか?」


 そーっと耳を澄ませる。

 ガサ、ガサッ

 何かが近づいてきていた。


「奴だ!」


 ピーーーーー

 合図の笛を鳴らして僕は全力疾走する。

 背後からは奴が追いかけてきている足音が聞こえる。

 と、ここで、

(あれ?あいつって素早いんだよなぁ?僕、ヤバくない?)

 しまった。追いつかれることを考えていなかった。

 ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!ヤバい!

 ぼくは更にスピードを上げる。

 幸い奴は本気を出していないようで追いつく気配はない。


「着いた!」


 桜との目印の岩まで来ると僕は思いっきり跳んだ。


「桜!任せた!!」


「分かりました!」


 飛び込んだ僕とは対照的に桜が飛び出していく。


「…一樹……?」


 どうしたんだ桜は?早くしないと危ないのに、ずっと止まっている。


「本当に連れてきていたのですか…?」


「は?」


 それを聞いて僕も身を乗り出して確認してみる。


「いない………?」

 そんなはずはない。確かに足音はすぐ後ろまで迫っていたはずだ。

 現に今も足音が背後から…


「背後から!?桜!」


「一樹!………?」


 桜は僕を助けようとして固まっている。


「どうしたの、桜?」


「いえ、何も…いないのです…」


「そんなはずは!?」


 振り返ってみると確かに何もいない。


「なんだ?何かがおかしい…」


 そもそもなぜ奴は襲ってこない?なぜ姿が見つからない?

 僕は持っている情報を思い出した。

『体内で電気を作る。空を飛ぶ。体調は約2メートル。動く物に反応する。熱が好き。基本的に単体行動。そして…』

 僕は市長の言葉を思い出す。

『素早過ぎて姿が見えない。』

 そこまで考えてふと思った。

ーーー本当に素早いだけか?


「キャー!!!!!」


 そこまで考えた時桜の悲鳴が聞こえた。


「桜!?」


「い、今、何かに当たりました!」


「それは『見えた』?」


「いえ、何も見えませんでした…」


 やっぱり。そういうことか。奴は素早いんじゃない。



「透明になっているんだ」



 それなら説明がつく。

 なぜ足音が聞こえたのに姿が見えないのか。

 そして恐らく、奴は狩りに特化していない。

 なぜなら、その場合僕達をとっくに襲っているはずだから。

 電気の威力が弱いのか?

 そこまで考えて僕は一旦中止する。

 そして新たなことを考える、[どうやって奴を見つける?]

 もちろん肉眼では無理だ。

 そしてここには罠のために張り巡らされたワイヤーしかない。



 ワイヤー………?



「そうか!その手があった!!」


 奴は体内で電気を作る。ワイヤーは電気を通す。

 そして奴は動く物に反応する。


「桜!ワイヤーを持って森を走り回って!」


「?……分かりました」


 そう言って桜は走り出す。一方僕は観察を続ける。


「絶対に見逃せない…」


 しばらくして、桜が駆け抜けて行った場所に変化があった。



 バチッ



「!そこだぁぁぁぁぁ!!!!!」


 僕は市長から貰ったライフルを火花の散ったところ目指して撃ち込む。


『グギャァ!!』


 するとそこから泣き声が聞こえて奴が姿をあらわす。


「桜!」


「分かっています!」


 すかさず桜が縄で奴をぐるぐる巻きにする。


「さて、こいつ、どうしようか…」


 捕まえた獲物を見るとそこには、ライフルの傷だけではない、『傷だらけ』のトカゲがいた。

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