第17話:コミカライズ始動。漫画担当は……円卓の騎士!?
「……ふぅ。……昨日はマジで心臓が止まるかと思ったぜ」
深夜22時。ミーチュの配信画面に映る「銀凪綴」は、いつも通り不敵な笑みを浮かべていたが、中の俺の精神はガリガリに削れていた。
特定班との知恵比べを軍師たちの『情報操作』で制し、なんとか守り抜いた俺の日常。
だが、安堵する間もなく、一条さんから「次の爆弾」が投下された。
「……おい、お前ら。……書籍化の話は進んでるが、ついにコミカライズの担当が決まった。
……一条さんの口ぶりだと、かなりの『大物』らしい」
【コメント欄】
::お、ついに漫画化か!
::誰だろう。せいまものエグい描写ができる人って限られるよね。
:[軍師]:……フッ。一条も粋な真似をする。
:[剣呑]:まさか、アイツか?
:[ござる]:「ぬおおお! 拙者、筆ペンを握って待機でござる! もしかして拙者の出番でござるか!?」
「ござる、お前じゃない。……っていうか、一条さんから紹介された担当さんのペンネームを聞いて、俺、ひっくり返ったんだよ」
俺は震える手で、コミカライズ担当の「サンプル原稿」を画面に共有した。
そこに描かれていたのは、アルベルトがリリカルに冷酷な言葉を投げかけながら、その瞳の奥でエレオノーラへの狂おしいまでの忠誠を燃やしている――
圧倒的な画力。キャラの表情筋一つ一つが絶望に震えているのが伝わる、あまりにも濃密な筆致。
「……この絵……見覚えがある奴もいるだろ」
【コメント欄】
::……は?
::いや、待て。この描き方……。
::嘘だろ? 月刊誌でダークファンタジーの金字塔を打ち立ててる、あの『クロガネ』先生じゃないか!?
::【¥10,000】え、本物!? クロガネ先生って今、連載3本抱えてる超多忙な人だぞ!?
コメント欄がパニックに陥る中、一つのアカウントが認証バッジを引っ提げて現れた。
【コメント欄】
:[鉄]:……ようやく、公表されたか。
:[鉄]:綴。……いや、先生と呼ばせてくれ。
:[鉄]:俺は、あの日間30位だった頃から、ずっとお前の『共犯者』だったんだぜ。
「……え、テツ!? お前……あの、いつもコメント欄で『もっと指を詰めろ』とか『内臓の描き込みが足りない』とか毒を吐いてた、あのテツかよ!?」
【コメント欄】
:[鉄]:ああ。……漫画家としての視点で見ても、お前の物語は『絵』にする価値があった。
:[鉄]:一条さんから話が来た時、二つ返事で受けたよ。……他の連載を一本休載してでも、俺がこれを描く。
:[親衛隊]:【¥50,000】ふふ、クロガネ先生を口説くのは大変でしたわ。
:[親衛隊]:ですが、彼もまた『円卓の騎士』の一人。……条件は一つでした。『俺に、この地獄を描かせろ』。……それだけですわ。
俺は頭を抱えた。
軍師は情報のプロ。
一条さんは出版社の女帝。
クロエさんは神絵師。
そして、テツは超売れっ子の漫画家。
「……お前ら。……お前ら、隠してる肩書きが強すぎんだよ!!
なんだよこれ! 製作委員会じゃなくて、アベンジャーズかよ!!」
【コメント欄】
:[軍師]:……勘違いするな、綴。
:[軍師]:俺たちが凄いんじゃない。……お前の物語が、これだけの『怪物』を引き寄せたんだ。
:[剣呑]:そういうことだ。……さぁ、テツ。
:[剣呑]:最高のネームを上げてこい。……綴の原作を、お前の絵でさらに『呪物』に仕上げるんだ。
「……よし。……分かったよ。
……もう、ビビる時期は終わった。
テツ! ……いや、クロガネ先生!!
俺の原作を、お前の筆でめちゃくちゃに壊してくれ!!
……そして、世界中の読者にトラウマを植え付けてやろうぜ!!」
画面越しに、作家と漫画家の、魂の握手が交わされた。
もはや静かな夜は消え去った。
4万人を超えるリスナーの熱狂と、集結したプロフェッショナルたちの野心が混ざり合い、
『せいまも』という巨大な怪物が、実体を持って動き出したのだ。
「……さぁ、お前ら!!
今夜の会議は、コミカライズ版の『第1話のラストシーン』だ!!
……テツが『もっと絶望させろ』って煽ってきてるぞ! 案を出せ!!」
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