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策略
学園屋上からは街の様子が一望できた。
右手方向には港湾部の姿。ベイブリッジやランドマークの姿も見える。
遠く水平線には船舶の姿も浮かび、もくもくとそそり立つ入道雲に映えている。
だが現状、そんなものに興味がないもの確かなこと。
うだる暑さ、突き刺さるような太陽の陽射し。不快な熱気が身体にまとわりつく。
「どうだ、うまくいきそうか?」
東雲が訊いた。
屋上入り口の塔屋に背を預け、目の前を見ている。
手にするのはアイスクリーム。極度の暑さで、食らうより先に溶け落ちていく。
「いいんじゃねーか」
防護柵の横には森の姿があった。
しゃがみ込んで防護柵の様子を確認してる。
その防護柵は所どころ塗装が剥がれ落ちて、異様に捲れている。
かすかに鉄を焼き切ったような臭気が漂っていた。
「これならばっちりだ。ちゃんと焼き切られてる」
にこにこと笑みを見せて東雲に歩み寄る森。
東雲にアイスを貰って、2人並んでそれを食らう。
「昨夜忍び込んだ甲斐、あったな」
「自分で落ちるようなヘマ、すんなよな」
2人共に覚めた笑顔だ。
「誰が引っかかるかな」
「あの狂犬なら、万々歳だが」
狂った野望は、どこまで行っても狂ったまま。
この世に最悪はある。狂った手段を用いて、どこまでも動き出すから。




