表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/100

第七十八話:階段地獄と骨付き鶏! 骨の髄まで愛して骨抜きウィザード!

 ――カオス・パーティーを乗せた『源内アパッチ』は、高知から四国山地を越え、うどん県こと香川県へとやってきていた。

「ハァ、ハァ……! ちょっと、この階段いつまで続くの!? アイドルの脚がパンパンになっちゃう!」

 前田○子が、チェックのスカートを翻しながら、果てしなく続く石段を見上げてへたり込む。

 一行は現在、「こんぴらさん」の愛称で親しまれる金刀比羅宮の、全1368段にも及ぶ過酷な石段を登っていた。

「キュルルッ! 参拝には体力が必要っす! でも、この階段を登り切った後のメシが最高に美味いんっすよ!」

 カピバラ・タナカが短い手足をフル回転させてピョンピョンと登っていく。

「……私の長すぎる髪が、石段の土とホコリをすべて絡め取り、完全に『モップ』と化しています。しかも燻製の匂いがするモップです。首がもげそうです」

 スーパー戦国人参(膝まで届く黄金の長髪・眉毛なし)の宗次郎は、もはや修行僧のような虚ろな顔で階段を這い上がっていた。

 ◆◆◆

 一行がようやく辿り着いたのは、参道にひっそりと店を構える老舗『鳥魂とりたま・こんぴら』。

「ようお参りまいったな! 香川に来たなら、うどんもええけど、ガツンと『骨付き鳥』を食っていきまい!」

 前掛け姿の看板娘、讃岐ひよこが、銀色の皿に乗った、スパイシーな香りを放つ巨大な骨付きの鶏もも肉を運んできた。

「キュルルッ! 皮はパリッと、中は肉汁たっぷりのオーブン焼きっすね! タナカ特製・黄金の特製ガーリックと粗挽き黒胡椒、そして溢れ出た『鶏油チーユ』に塩むすびを浸して食べる、悪魔的カロリーのシナジーを生み出すっすよ!」

 タナカが短い手足でハサミを操り、食べやすくも豪快な骨付き鳥の定食を完成させる。

 その熱々の鶏肉にかぶりついた宗次郎の全身から、青白いスパークが弾ける!

「……ッ!! ガツンと脳天を殴られるような、ニンニクとスパイスの暴力的な刺激! 骨の周りの一番美味い肉を削ぎ落として喰らう、この圧倒的な野性味! スパイシーな鶏油が、石段で限界を迎えた私の筋肉と肛門に、不死鳥フェニックスの如き活力を与えるッ!!」

 しかし、その野生の宴を、無機質なプレス機の音が切り裂いた。

「フハハハッ! 骨の周りにかぶりつくなど、可食部が少なくタイムロスだ! 食べ終わった後のゴミ処理コストもかさむ、非効率の極み!」

【香川の完全骨抜き支店長!キャラクター詳細設定】

◆ 三好みよし 長慶ながよし

キャラ: 『豊臣メガバンク四国財務担当 / 超・骨抜き(ナゲット)至上主義バンカー』風。

「食事も部下も、骨を抜いて管理しやすくすべき!」と信じる男。常にミンチ機を持ち歩いている。「この野蛮な骨付き肉も、すべてメガバンク特製『原価均一・完全骨抜きチキンナゲット(味気なし)』に置き換えてやる!」と豪語する。

愛機(武器): 『絡繰・完全骨抜きプレス(からくり・ナゲット・メーカー)』。骨ごと粉砕してペースト状にし、金型でブロック肉に成型する恐るべき巨大ミンチ重機。

口癖: 「骨を抜け!」「均一化しろ!」「個性をミンチにしろ!」

「三好……! 骨の周りが一番美味いんや! それをナゲットにするやなんて、香川のソウルフードをバカにする気か!」

 ひよこが、銀色の皿を盾のように構えて立ちはだかる。

「ヒャハハ! なら俺の『完全骨抜き・食べやすさ特化型チキンブロック』と勝負だ! 俺が勝ったら、この参道のお店を全部、俺のナゲット工場にしてやる!」

「……待つっす。骨付き肉の本当の『エンターテインメント性』を、俺が教えてやるっすよ」

 カピバラ・タナカが前に出た!

「なんだその骨がなさそうなフニャフニャのネズミは! 均一化の邪魔だ! まとめてナゲットの増量剤にしてやる!!」

 三好が巨大ミンチ機を起動させたその時!

 前田○子が、ガーリックの香りが舞う中で飛び出した!

「私の仲間をナゲットの増量剤扱いにしないで!!……タナカのことは嫌いでも、私のことは嫌いにならないでくださいッ!!」

「出たぁぁぁっ! 1368段登った後でも肺活量が落ちない、絶対的センターの鉄板フレーズ!!」

 クリノジが、鶏油に浸したおにぎりを食べながら拍手喝采を送る。

「いくっすよ! タナカ特製・野生の証明・極上スパイシー骨付き鳥っす!!」

 タナカが、骨から滲み出る濃厚な旨味と、かぶりつく喜びを極限まで高めた究極の骨付き鳥を完成させる!

 一口食べた三好のミンチ機が、エラーを起こして逆流した。

「……ッ!? な、なんだこの骨の髄から溢れ出す圧倒的な生命力は!? 食べやすさと均一化だけを求めていた俺のパサパサなナゲットには、この『手や口の周りをベトベトにして食らう原始の喜び』がないというのかァァ!?」

 三好は膝から崩れ落ちた。モフモフのカピバラとトップアイドルが、冷徹な骨抜き至上主義を論破したのだ。

「え、ええい! 食の勝敗は認めるが、お前たちを始末する業務命令は別だ! ミンチにしろ、『絡繰・完全骨抜きプレス』!!」

 三好が叫ぶと、巨大なミンチ重機が轟音を立てて突進してきた!

「……やれやれ。タナカさんの野生の味を、無機質なミンチにするのは許せませんね」

 宗次郎が立ち上がる。膝まである長い髪(モップ状態)が揺れ、眉毛のない顔が鋭く三好を睨みつける!

「行きますよ……。スーパー戦国人参の、骨の髄まで響く圧倒的パワー!」

 宗次郎は、迫り来る巨大ミンチ機に対し、石段の踊り場を滑るように低空で突進!

「低空・黄金ドロップキックッ!!」

 ドゴォォォォォォォンッ!!

 重機のミンチローラーが、宗次郎の一撃で粉々に砕け散る!

「な、なんだと!? 特注の骨砕きローラーが……!!」

 バランスを崩した三好に向かって、宗次郎の黄金の膝が光り輝く!

「トドメです。閃光・黄金魔術シャイニング・ウィザードォォォォォォォッ!!」

 ガッシャァァァァァァァンッ!!!

 宗次郎の膝が、三好の顔面を完璧に捉えた。

 骨抜きの野望は霧散し、三好は「骨まで愛してぇぇ!」と叫びながら瀬戸内海の方向へ美しい弧を描いて吹っ飛んでいった。

「……これが、骨のある男の戦いです」

 宗次郎は静かに着地した。

 しかし、低空ドロップキックを放った際、銀皿に溜まっていた「スパイシーな鶏油とガーリックソース」が、彼の長すぎる毛先にべっちゃりと染み込んでしまった。

「ああっ……! 燻製と味噌と醤油の匂いの上に、今度は強烈なガーリックと鶏の脂が……!! もう私の髪は、歩くB級グルメの屋台です!! 洗わせてくれぇぇ!」

 平和を取り戻したこんぴらさんの参道。

 宗次郎(髪から食欲をそそりすぎる匂いがする)、カピバラのタナカ、クリノジ、前田○子、そしてひよこの五人が、果てしない石段を背に横一列に並ぶ。

「皆さん……極上の骨付き鳥と、予定調和の勝利に感謝を込めて。あのポーズで締めましょう!」

 宗次郎の合図で、五人は胸の前で愛の形を作った。(宗次郎の髪からガーリックオイルがポタポタと落ちている)

「「「「「カオス・パーティー!! プロレス・ラァァァァブッ!!!!」」」」」

 骨抜き至上主義を完璧なワンパターンで粉砕し、また一つ強烈な匂い(ガーリック鶏油)を髪の毛に宿した宗次郎。

 スーパー戦国人参の圧倒的パワーと、近づくだけでお腹が空くヘアーを手に入れたカオス・パーティーの旅は、第97話の大坂城へ向けて、粛々と尺を稼ぎ続けるのである!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ