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第六十四話:消えたシリアスと本場のナポリタン! ケチャップまみれの長髪!

 ――イタリア・ナポリの太陽が降り注ぐ、美しい港町。

 しかし、宇宙船『源内アパッチ』の艦内は、一通の「作者からの手紙さーせん」によって、かつてない衝撃に包まれていた。

「……『実は第一話はシリアスな侍モノの予定だった。鍵の設定も途中で適当に思いついた。さーせん』……だそうです」

 クリノジが、震える手で便箋を読み上げる。

「な、なんだってェェェェッ!?」

 宗次郎が、膝まである黄金の長髪(スーパー戦国人参)を振り乱して絶叫した。

「私が痔を患いながらも必死に守り抜いてきた『侍の矜持』は!? 最初の頃の、あの血で血を洗うハードボイルドな死闘は、全部作者の行き当たりばったりの結果だったというのですか!!」

「キュルルッ……。まあ、カピバラが料理してアイドルが踊ってる時点で、シリアス成分なんて一ミリも残ってないっすけどね。ドンマイっす、宗次郎さん」

 タナカが短い前足で、ショックで膝を抱える宗次郎の背中をポンポンと叩く。

「でも、ライブのMCでも『行き当たりばったり』はよくあることだよ! 臨機応変にファンを楽しませるのがプロのセンターってもんさ!」

 前田○子が、謎のプロ意識でウインクを決めた。

 ◆◆◆

 気を取り直し、シリアスを完全に捨て去った一行が向かったのは、ナポリの路地裏。なぜかそこには、昭和レトロな食品サンプルが並ぶ純喫茶『喫茶魂・ベスビオ』がポツンと建っていた。

Benvenutoいらっしゃい! イタリア・ナポリに来たなら、やっぱり日本の『ナポリタン』を食べなきゃね!」

 メイド服にフリルのエプロンを着た看板娘、ナポリ・ナポリンが、熱々の鉄板に乗ったケチャップまみれの太麺スパゲッティを運んできた。

「イタリアまで来て日本の喫茶店メニュー!? 地理も常識も崩壊してますぅぅ!」

 クリノジが突っ込む。

「キュルルッ! これぞカオスっす! タナカ特製・ナポリ産サンマルツァーノ・トマトを極限まで煮詰めた究極の自家製ケチャップと、高級黒豚の『赤ウィンナー』の共演っす! 鉄板の底に敷いた薄焼き卵が、名古屋風の郷愁を誘うっすよ!」

 カピバラ・タナカが短い手足でフライパンをあおり、ピーマンと玉ねぎを絶妙な火加減で炒める。

 その熱々のナポリタンを一口食べた宗次郎の全身から、青白いスパークが弾ける!

「……ッ!! 麺にねっとりと絡みつく、トマトケチャップの強烈な甘味と酸味! 焦げたソースの香ばしさが、シリアス路線を失った私の心に、昭和の夕暮れのようなノスタルジーを呼び起こす! 荒ぶる肛門も、この優しいケチャップ味の前では童心に返るッ!!」

 しかし、その郷愁のひとときを、ピザカッターの鋭い音が切り裂いた。

「フハハハッ! 本場イタリアのナポリで、そんな紛い物のケチャップ麺を出すなど、美食への冒涜だ!」

【ナポリの本格ピザ支店長!キャラクター詳細設定】

◆ 羽柴はしば 秀長ひでなが

キャラ: 『豊臣メガバンク・ナポリ支店長 / 本格マルゲリータ至上主義バンカー』風。

「ナポリと言えば石窯で焼いた本格ピザ一択!」と信じる、秀吉の有能な弟。常にピザ職人の帽子を被っている。「このふざけた昭和レトロ喫茶など、すべてメガバンク特製『超・高温石窯プレス』でペラペラのクリスピー生地にしてやる!」と豪語する。

愛機(武器): 『絡繰・マルゲリータ・カッター・タンク』。巨大なピザカッターを前方に装備し、500度の石窯バーナーを放射する凶悪な戦車。

口癖: 「ケチャップは邪道だ!」「本場の生地を味わえ!」「お前らも8等分にしてやる!」

「羽柴……! 日本生まれのナポリタンの『エモさ』をバカにするなんて許さないわ! 赤ウィンナーのタコさんカットは芸術よ!」

 ナポリンが、粉チーズのボトルを構えて立ちはだかる。

「ヒャハハ! なら俺の『水牛モッツァレラ100%・本格マルゲリータ』と勝負だ! 俺が勝ったら、この喫茶店を本格イタリアンバルに改装してやる!」

「……待つっす。B級グルメが持つ本当の『ソウルフードの力』を、俺が教えてやるっすよ」

 カピバラ・タナカが前に出た!

「なんだその毛むくじゃらのネズミは! 飲食店の厨房にネズミとは言語道断! まとめてピザカッターで8等分にしてやる!!」

 羽柴が巨大戦車のエンジンを吹かしたその時!

 前田○子が、粉チーズの雪が舞う中で飛び出した!

「私の仲間を8等分にしないで!!……タナカのことは嫌いでも、私のことは嫌いにならないでくださいッ!!」

「出たぁぁぁっ! ナポリの空に響く、どんな文脈でも無理やりねじ込む絶対的センターのキラーフレーズ!!」

 クリノジが、タバスコ片手に拍手喝采を送る。

「いくっすよ! タナカ特製・黄金のノスタルジック・鉄板ナポリタンっす!!」

 タナカが、安っぽさと高級感の矛盾を完璧にブレンドした、誰もが涙する究極のナポリタンを完成させる!

 一口食べた羽柴のピザ職人帽子が、衝撃で吹き飛んだ。

「……ッ!? な、なんだこの口いっぱいに広がる『子供の頃のデパートの食堂』の記憶は!? 洗練された本場イタリアンを追求してきた俺の心に、このドギツイ赤いソースが染み渡る……! 俺のマルゲリータには、この『泣きたくなるような優しさ』がないというのかァァ!?」

 羽柴は膝から崩れ落ちた。モフモフのカピバラとトップアイドルが、冷徹な本格至上主義を粉砕したのだ。

「え、ええい! こうなれば物理的にクリスピー生地にしてやる! 挽き潰せ、『絡繰・マルゲリータ・カッター・タンク』!!」

 羽柴が叫ぶと、巨大なピザカッター戦車が轟音を立てて突進してきた!

「……やれやれ。タナカさんの思い出の味を、ピザカッターで切り裂くのは許せませんね」

 宗次郎が立ち上がる。膝まである長い髪がナポリの海風になびき、眉毛のない顔が鋭く羽柴を睨みつける!

「行きますよ……。シリアスを捨てた、スーパー戦国人参の圧倒的パワー!」

 宗次郎は、迫り来る巨大ピザカッターに対し、石畳を滑るように低空で突進!

「低空・黄金ドロップキックッ!!」

 ドゴォォォォォォォンッ!!

 強靭なピザカッターの刃が、宗次郎の一撃で粉々に砕け散る!

「な、なんだと!? 特注のステンレス合金の刃が……!!」

 バランスを崩した羽柴に向かって、宗次郎の黄金の膝が光り輝く!

「トドメです。閃光・黄金魔術シャイニング・ウィザードォォォォォォォッ!!」

 ガッシャァァァァァァァンッ!!!

 宗次郎の膝が、羽柴の顔面を完璧に捉えた。

 本格イタリアンの野望は霧散し、羽柴は「タコさんウィンナー最高ぉぉ!」と叫びながらヴェスヴィオ火山の方向へ吹っ飛んでいった。

「……これが、B級グルメの力です」

 宗次郎は静かに着地した。

 しかし、低空ドロップキックを放った際、鉄板から飛び散った大量のケチャップが、彼の膝まである黄金の長髪にべっとりと絡みついていた。

「ああっ……! 私の髪が、まるでナポリタンそのものに……!」

 シリアスな侍の面影は、もはや微塵も残っていなかった。

 平和を取り戻したナポリの純喫茶。

 宗次郎(髪がケチャップで真っ赤)、カピバラのタナカ、クリノジ、前田○子、そしてナポリンの五人が、レトロな看板を背に横一列に並ぶ。

「皆さん……極上のナポリタンと、失われたシリアス設定に感謝を込めて。あのポーズで締めましょう!」

 宗次郎の合図で、五人は胸の前で愛の形を作った。(宗次郎の髪からケチャップがポタポタと落ちている)

「「「「「カオス・パーティー!! プロレス・ラァァァァブッ!!!!」」」」」

 行き当たりばったりの設定変更を堂々と受け入れ、イタリアで日本の純喫茶メニューを堪能した一行。

 スーパー戦国人参の圧倒的パワーと、ナポリタン化した髪の毛を手に入れたカオス・パーティーの旅は、次回も一切のブレ(シリアス)なく続いていくのである!!

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