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第四十二話:突然の号泣休載!? 究極対至高、カニ・エビ大論争開幕!

 ――緊急記者会見場。

 無数のフラッシュが瞬く中、神堂宗次郎は一人、ぽつんとマイクの前に座っていた。その顔は蒼白で、脂汗が滲んでいる。

「本日は……皆様にお集まりいただき、誠に申し訳ございません!」

 宗次郎が深く頭を下げる。会場がざわめく中、彼はゆっくりと口を開いた。

「実は……私、神堂宗次郎は、長きにわたる過酷な旅と、日々の『黄金・宇宙回転肘打ち(スペース・ローリング・エルボー)』の衝撃により……お尻の、その……非常にデリケートな部分に、深刻なダメージを負ってしまいました」

 ざわめきが大きくなる。

「ええっと……具体的に申し上げますと……その、切れ痔、ですッ!!」

 フラッシュが激しさを増す。

「手術と静養が必要との診断を受けました! ですので、しばらくの間、私、神堂宗次郎は……うぅっ……このカオス・パーティーの旅から、離脱しなければならないのですッ!」

 宗次郎は突然、両手で顔を覆い、しゃくり上げ始めた。

「俺はぁぁぁぁッ!! 姫をぉぉぉッ!! 救い、救い……うぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!! 痔がぁぁぁぁッ!! 痛いんですぅぅぅぅぅぅッ!!!」

 某号泣議員さながらの、耳をつんざくような絶叫と号泣。

「世の中を、変えたいッ!! 痛みを、無くしたいッ!! だからッ!! 座薬を入れてでもッ!! 頑張ってきたのにぃぃぃぃぃぃッ!! わ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッ!!!」

 会見場はパニック状態となった。

 こうして、主人公・神堂宗次郎は、切れ痔の治療という名目で、物語から一時的に姿を消すこととなったのである。

 ◆◆◆

 一方その頃、江戸の町(時代設定は無視)にある、大手新聞社『東西瓦版』の編集部。

 社主の『大原おおはら』が、顔を真っ赤にして怒鳴り散らしていた。

「ええいっ! 帝都瓦版の社主め、わしをコケにしおって! 『冬の味覚の王様はエビだ。カニなど下等な泥這い虫だ』だとぉ!? 許せん! カニこそが究極の至高、いや、究極の至宝だ!!」

「しゃ、社主、落ち着いてください……!」

 オロオロとなだめるのは、東西瓦版の文化部記者、『栗田くりた ゆう子』的な立ち位置の、栗田クリ子である。

「クリ子! すぐに『究極のメニュー』の担当者を呼べ! 帝都瓦版の連中と、カニとエビ、どちらが上か、大々的な料理対決じゃ!!」

 大原社主の怒声に応えるように、編集部のドアを蹴り開けて入ってきたのは、いつも通りエプロン姿のタナカであった。

「……呼んだっすか、社主」

「おお、タナカ! お前、全国の美味いものを食べ歩いておるそうだな。帝都瓦版が用意した『至高のメニュー』とやらを打ち負かす、最高のカニ料理を作れるか!?」

「……フッ。エビなんてただの曲がったザリガニっすよ。俺に任せておけば、究極のカニ料理で、帝都の連中の舌をひれ伏させてやるっす」

 タナカは不敵な笑みを浮かべた。

「よく言った! だが、相手はあの男……『美食倶楽部』を主宰する、料理界のドン、海原大山うみはら たいざんをアドバイザーに迎えたらしいぞ!」

「海原……大山……!!」

 その名を聞いた瞬間、タナカの顔色が変わった。

「あのジジイ……まだ生きてたっすか」

「知っているのか、タナカ?」

「……ええ。昔、ちょっとした因縁があるっすよ」

 タナカの脳裏に、かつて自分が作ったハンバーガーを「女将を呼べッ! このパンはなんだ!」とテーブルごとひっくり返された、苦い記憶が蘇る。

「……面白いっす。帝都瓦版ごと、あのジジイの鼻っ柱をへし折ってやるっすよ!」

 こうして、神堂宗次郎不在のまま、『究極のメニュー(カニ)』と『至高のメニュー(エビ)』を巡る、仁義なき料理対決の幕が上がった。

 タナカとクリ子は、最高のカニを求めて、全国の漁港を巡る旅に出発するのであった。

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