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第四十一話:音速の杵と緑の宝石! 奈良・大和路もっちもち大決戦!

◆ 筒井つつい 順慶じゅんけい

キャラ: 『豊臣メガバンク奈良支店長 / 究極の日和見ひよりみバンカー』風。

常に勝馬に乗ることだけを考える、データ至上主義の風見鶏男。右半身と左半身で色の違う奇抜なスーツを着ている。「洞ヶほらがとうげのアルゴリズムが、勝率100%を弾き出しました!」と豪語し、絶対に自分が有利な状況でしか動かない。不確定要素の多い手作業や伝統を嫌悪している。

愛機(武器): 『絡繰・日和見天秤からくり・ヒヨリミ・スケール』。相手の攻撃力と自分の防御力を瞬時に計り、強力なバリアを展開する巨大天秤。少しでも分が悪いと判断すると、自動でバリアごと逃走するAI機能付き。

口癖: 「データによりますと」「形勢逆転の兆し! 今すぐ寝返り(損切り)ます!」「私の予測モデルに誤差はありません!」

 名古屋での爆走決戦を制した一行は、タナカの操縦する『亜発知アパッチ』で西へ進路を取り、歴史の息吹を感じる古都、奈良県へと降り立った。

「オーホッホッホ! あちらこちらに鹿が歩いていますわね! カオスな光景ですわ!」

 カトリーヌが、群がる鹿に鹿せんべいを優雅にばら撒いている。

「皆さん、聞こえてきませんか? あのリズミカルで激しい打撃音は……!」

 宗次郎が耳をすませて案内したのは、猿沢池のほとりにある名物よもぎ餅の店『杵魂・八重』だった。

「そりゃっ! はっ! とぅっ! いよぉぉぉっ!!」

 ねじり鉢巻をした小柄な看板娘、奈良八重が、残像が見えるほどの神速マッハで杵を振り下ろし、合いの手の職人と完璧なコンビネーションで餅をいていた。

「おおっ! 水を加えるタイミングと杵を下ろす絶妙なリズム! 息を呑むほどの『高速餅つき』……まさに魂のセッションっすね!」

 タナカが高速の杵さばきに感動の涙を流す。

「さあさあ、搗きたてのアツアツやで! きな粉をたっぷり絡めて食べてや!」

 八重が差し出した鮮やかな緑色の『よもぎ餅』を一口食べた瞬間、宗次郎の全身から黄金のオーラが立ち昇った。

「……ッ!! つきたてならではの驚異的な柔らかさと、圧倒的なコシ! そして口いっぱいに広がる新鮮なよもぎの香りが、大和の国の歴史そのものを物語っています! まさにてのひらの上の緑の宝石!」

 しかし、その至福の時間は、無機質な電子音によって破られた。

「ピピピッ……計測完了。手作業による餅つきは、品質のブレが3.2%生じる非効率な労働です。直ちに我が豊臣メガバンクの『完全均一・合成モチキューブ』に置き換えなさい」

 タブレット端末を叩きながら現れたのは、豊臣メガバンク奈良支店長、筒井順慶だった。

「筒井……! またうちの店を潰して、巨大なデータセンターにする気やな! この杵は絶対におろさへんで!」

 八重が重い杵を構えて立ちはだかる。

「フッ、無駄な抵抗です。私の『洞ヶ峠アルゴリズム』によれば、貴女の店の倒産確率は100%。私が用意した『超高級・金箔マカロン』と勝負し、敗北のデータを受け入れるのです!」

 順慶が、一切の隙がない計算し尽くされたマカロンタワーを出現させる。

「……待つっす。餅の本当の『弾力ポテンシャル』を、俺が教えてやるっすよ」

 タナカが、いつの間にか法被はっぴ姿で前に出た!

「オーホッホッホ! タナカは昔、NASAの極秘ミッションで月面に降り立ち、そこで出会った伝説の月ウサギたちと意気投合して『銀河流・超高速餅つきの極意』を伝授された幻の杵マスターですのよ!」

「いくっすよ! 八重さんとの超光速シンクロナイズド・プレスと、奈良名産のイチゴ『あすかルビー』のインフレーションっす!!」

 タナカと八重の杵が音速を超えて交差し、衝撃波を生み出しながら、究極の柔らかさを持つ『黄金の極上・いちご大福』が完成する。

 その一口を食べた順慶は、メガネをずり落とした。

「……ッ!? な、なんだこの計算不可能な食感は!? 餅の伸びが私の予測モデルを超越し、あすかルビーの甘酸っぱさがデータの壁を破壊して脳内に直接エラーを吐き出している……! ば、馬鹿な、私の勝率100%の計算が、手作業の温もりに負けるだとォ!?」

 順慶はタブレットを落として崩れ落ちた。タナカの料理が、冷徹なデータ至上主義を完全にバグらせたのだ。

「ええい、エラー発生! 強制排除プロセスに移行します! 出なさい、『戦闘絡繰・メカ大仏ディア』!!」

 順慶が叫ぶと、巨大な大仏の顔から鹿の角が生えた、悪夢のような巨大メカがズシンズシンと現れた!

「……美味しいお餅の余韻を、無機質なデータで潰すのは、感心しませんね」

 宗次郎の全身から黄金のオーラが爆発し、『スーパー戦国人弐』へと覚醒する! 奈良の街のど真ん中に、神聖なる四角い光のリングが具現化した!

「行きますよ……八重さんとタナカさんが作ってくれたもっちもちのエネルギー、爆発させます!」

 宗次郎はロープに向かって全速力で走り出し、華麗なる空中回転スペース・ローリングを披露!

 その勢いのまま、メカの強固な青銅のボディへ強烈な『黄金・宇宙回転肘打ち(スペース・ローリング・エルボー)』が炸裂!

 ガシィィィンッ!!!

「ピギョォォォッ!?」

 装甲が粉砕され、巨大メカが大きくよろめく。

「……これで、終わりです!」

 宗次郎は巨大なメカを力任せに空高く放り投げた。

「仕上げです! 黄金・月面宙返り圧ムーンサルト・プレスォォォッ!!」

 ズドゴォォォォォォォォォンッ!!!

 宗次郎の必殺技が直撃し、メカ大仏ディアは鹿せんべいのような破片を撒き散らしながら大爆発して散った。その爆炎の中から、チャリンと音を立てて『大阪城バリア解除キー・近畿地方版』がドロップする。

「ヒィィィッ! け、計算外です! 宗次郎さん、今日からメガバンクを裏切ってそちらのパーティーに寝返りま……ギャアァァ!」

 調子の良いことを言いかけた順慶は、爆風に巻き込まれて空の彼方へ飛んでいった。

 平和を取り戻した奈良の街。

 宗次郎、タナカ、カトリーヌ、クリノジ、そして八重の五人が、猿沢池を背にして横一列に並ぶ。

「皆さん……極上のいちご大福と、素晴らしい勝利に感謝を込めて。あのポーズで締めましょう!」

 宗次郎の合図で、五人は両手の親指と人差し指を交差させ、胸の前で愛の形を作った。

「「「「「カオス・パーティー!! プロレス・ラァァァァブッ!!!!」」」」」

 奈良での熱き餅つき対決を制し、ついに大阪への扉を開く最後の解除キーを手に入れた宗次郎たち。

 捕らわれの姫を救い出し、悪の巨大組織・豊臣メガバンクの野望を完全に打ち砕くため、決戦の地へ向けた彼らの旅はまだまだ続く!!

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