第二十九話:誠の別れと、黄金の夜明け(黄金の盾 vs 誠の風 編 完結!)
京都・鴨川。
神堂宗次郎の放った『黄金圧縮・一指鉄砲』によって、豊臣の魔科学と現代兵器が融合した戦車は完全に沈黙した。
「……あり得ない。私の完璧な計算(数式)が、あのようなカロリーと気合の産物に破れるなど……ッ!」
上空で巨大算盤に乗っていた石田三成が、ギリッと奥歯を噛み締める。
「三成殿。貴方の計算には『心』が欠けている。だから敗れるのですよ」
宗次郎が、指先に残った黄金の煙を吹き飛ばしながら微笑んだ。
「……ふん。不良債権の処理は、次の機会(大坂)に回しましょう。今日のところは撤退です」
三成は冷たい視線を残し、算盤と共に空の彼方へ消え去っていった。
その直後だった。
空を覆っていた紫色の『次元の歪み(ヴォイド)』が激しく明滅し、強烈な引力を放ち始めたのだ。
「うおおっ!? なんだこの風は!」
近藤勇たち新撰組の体が、フワリと宙に浮き上がる。現代兵器という異物が破壊されたことで、時空が正常な状態に戻ろうとし、本来の時代に彼らを強制送還しようとしていたのだ。
「……時空の修復プログラムが作動しました。彼らは、元の時代(幕末)に帰還します」
満身創痍の安倍晴香が、青い電子護符を必死に展開する。
「……システム、時空固定! 長くは持ちません! 別れの挨拶を急いで!」
晴香の術により、次元の歪みに吸い込まれる直前で、新撰組の三人は空中に踏み留まった。
「……どうやら、お別れのようだな」
土方歳三が、雷光を収めた兼定を鞘に納め、宗次郎たちを見下ろしてニヤリと笑う。
「豊臣の犬と勘違いして斬りかかったこと、悪かったな。お前たちの太刀筋……いや、オーラ、見事だったぜ」
「はいはい、土方さんが素直に謝るなんて珍しいですね。……宗次郎さん、あのみたらし団子、僕たちの時代でも探してみますね」
沖田総司が、いつものような涼やかな笑顔で手を振る。
「……宗次郎殿」
近藤勇が、真っ直ぐに宗次郎を見つめた。
「貴殿のその黄金の光の奥にある、誰かを守ろうとする真っ直ぐな魂……確かに見届けた。時代は違えど、我らの掲げる『誠』と同じだ。……見事な戦いぶりであった!!」
「近藤局長、土方副長、沖田組長……!」
タナカがボロボロと大粒の涙を流し、クリノジとカトリーヌも鼻をすする。
「……皆さん」
宗次郎は、ポカポカとした、太陽のような笑顔で三人の戦士を見上げた。
「あなた方の背中から学んだ『誠』の心、この胸にしっかりと刻み込みました。……この黄金の盾で、必ず、すべての人が美味しいご飯を食べられる平和な世界を創り上げます!」
「うむ! 頼んだぞ、千銃の夜叉!!」
近藤が力強く頷いた瞬間、晴香の術の限界が訪れた。
眩い光が弾け、空を覆っていた紫色の歪みは、新撰組の姿と共にパチンと弾けて消滅した。
後には、静けさを取り戻した鴨川のせせらぎと、美しい京都の朝焼けだけが残されていた。
「……行っちゃったっすね、誠の兄貴たち」
「……ええ。素晴らしい出会いでした」
宗次郎が朝日を見上げていると、晴香が静かに歩み寄ってきた。
「……結界の修復が完了しました。あなたたちの闘気は、もうエラーとして認識しません。……古都を守ってくれて、ありがとう」
冷たかった晴香の瞳に、ほんのりと温かい光が宿っていた。
「どういたしまして。また京都に来た時は、一緒にお団子を食べましょうね」
宗次郎の笑顔に、晴香は小さく頷いた。
時空を超えた出会いと別れを経験し、また一つ大きく成長したカオス・パーティー。
豊臣メガバンクの野望を打ち砕くための旅は、新たな朝陽と共に、次なる舞台へと続いていく!!




