第二十六話:現代兵器の蹂躙と、ヒビ割れる黄金の盾(黄金の盾 vs 誠の風 編②)
京都・下鴨神社の境内に、鼓膜を破るような轟音が鳴り響いた。
時空の歪みから現れたのは、黄金の装甲で覆われた「九〇式戦車・改」と、宙を舞う「アパッチ攻撃ヘリ」。豊臣の魔科学と現代兵器が融合した、最悪の軍隊だった。
「……各員、目標の制圧を開始せよ。時代遅れの侍どもに、現代の火力を教えてやれ」
戦車のキューポラ(砲塔)から冷徹に見下ろすのは、特務隊隊長・神崎一佐。
「ヒャハハハ! 待ってましたぜェ、隊長! まずは手始めに、あの目障りな羽織の連中から挽肉にしてやるァ!」
巨漢の真田曹長が、黄金に輝く『絡繰機関銃』の銃身を新撰組に向け、容赦なくトリガーを引いた。
ダダダダダダダダッ!!!
オーラを纏った特殊弾幕が、雨あられと降り注ぐ。
「ええいっ! 舐めるな! 弾幕の隙間を縫えば……『無明・三段突き』!!」
天才・沖田総司が、桜色の残像を残しながら機関銃の弾をすり抜け、戦車の黄金装甲に強烈な三段突きを放つ。
ガキィィィンッ!!
「……なっ!?」
沖田の愛刀が弾かれ、手が痺れて刀を落としそうになる。新撰組最強の突きが、装甲に傷一つつけられなかったのだ。
「甘いぜェ! 豊臣の魔科学で強化された『黄金反応装甲』は、アナログな剣撃を完全に無効化するんだよォ!」
真田が機関銃で沖田を薙ぎ払う。間一髪で土方が沖田を庇い、共に吹き飛ばされて石畳に叩きつけられた。
「土方君! 沖田君! ……おのれぇぇっ!!」
近藤勇が怒りの咆哮と共に金色の闘気を爆発させ、戦車に斬りかかろうとする。
「……式神、全開! 彼らを援護します! 『電子縛陣』!!」
安倍晴香が青い電子護符を展開し、戦車の動きを止めようと試みる。
しかし、神崎一佐は表情一つ変えずにコンソールを操作した。
「……無駄だ。電子戦装備、展開」
ブツンッ!
「……えっ!? 術式が、強制終了された……!?」
晴香のホログラム護符がノイズと共に掻き消え、彼女自身も強力な電磁波の反動でその場に崩れ落ちてしまう。剣も術も、現代兵器の前には無力だった。
「……さて、次はお前だ、千銃の夜叉。ミツナリ殿の計算を狂わせる最大のバグ。ここで完全に処理する」
神崎の合図と共に、戦車の巨大な主砲が、神堂宗次郎に狙いを定めた。
「ひぃぃぃっ!? 兄貴! あんな大砲まともに食らったら、木っ端微塵っすよ!!」
タナカが絶叫する。
「……皆さん、下がって!!」
宗次郎は、ポカポカとした笑顔を消し、かつてないほど真剣な表情で腰の『真・玄武』を抜き放った。残されたすべてのみたらし団子パワーを注ぎ込み、極大の光の盾を展開する。
「発射。」
ズドォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
主砲から放たれた黄金の徹甲弾が、宗次郎の盾に激突した。
下鴨神社の森が吹き飛び、凄まじい爆風が鴨川の水を干上がらせる。
「……ぐっ、おおおおおおっ……!!」
宗次郎の足が石畳を深く抉りながら後退していく。
ピキッ……!
「……!?」
どんな攻撃も防いできた絶対防壁『真・玄武』の光の盾に、初めて亀裂が入った。
「ヒャハハハ! 耐えきれねェか! そのまま消し飛びなァ!!」
主砲の圧倒的なエネルギーが盾を砕き、爆発が宗次郎を飲み込んだ。
「兄貴ィィィッ!!!」
「宗次郎殿ォォッ!!」
爆煙が晴れた後。
そこには、膝をつき、肩で息をする満身創痍の宗次郎の姿があった。その顔には、いつものポカポカとした笑顔は無い。
「……これが、現代の……火力……」
宗次郎が呟きと共に倒れ伏す。
剣も、術も、そして無敵の黄金の盾すらも破られたカオス・パーティー。
最強の現代兵器を前に、彼らはかつてない絶望の淵に立たされていた……!




