クラスメイト達の初バイト・・開始出来なかった 画像有
--グラブ--
メルとマムの姉と兄がまさかの結婚するという衝撃と俺の二つ名がイーリス家の狂犬となってた衝撃に疲れつつも、なんだかんだで楽しい学園生活を送ってる。
で、そんな彼女たち2人だが正式にイーリス家でノアとイブ専属のメイド見習いとして働き始めることになった。
住む場所はどうするのかと思ったが、2人は自分たちの生活は修行の1つとして別で暮らして頑張りたいということで姉貴からの餞別で1つの家を買い与えていた。
2人で過ごすには十分な広さでイーリス家から歩いて10分くらいの場所で、なんなら学園にも同じくらいの時間で到着する。
家具等も一通り揃ってるようでそこでせっせと大変だが楽しく過ごせているようで、時折彼女たちの友人たちも遊びに来たりしてる。
俺も一応遊びに行くというか、手土産を持って手伝えることがないか様子を見に行ったりしている。
その時にノアとイブもついてきて壁や天井を歩き回ってはメルとマムが口をぽかんと開けたままフリーズしてたり、ふらりと外に行ったかと思ったらふらりと戻ってきて何をしてたのかと聞いても散歩と草むしりとしか言わずよくわからないことはあったが。(雑草なんて生えてたか?)
ちなみに、専属メイドが出来て最も喜んだのは姉貴でもヒナさんでもなくヘリオスさんとセレネさんだ。
何故だって?
そりゃあな・・主にヒナさんやノアイブと言った保護対象がいるはずなのにお金を消費させるどころかむしろ増やす奴しかいなくてつまらないと言ってたからだ。
それを2人は、ちょうど良いとあれやこれやと買い与えたんだ(先行投資と笑顔で言われて断れなかった)
それがあの家だったり家具だったりだ。
それ以外にもなんか装備だの武具だのと色々届いたようで2人揃って顔を引きつらせながら全力で頑張らないとと呟いてたが・・うん、頑張ってくれ。
俺もある意味2人と同じ状況になってるから気持ちはよくわかる。
それと、次に喜んだのはセバスさんとマリアさんだ。
姉貴が専属がいないてか、不要で、ヒナさんも同様で、誰かしらに専属の侍従を付けたかったからだ。
ちなみに2人は、部下はいても弟子にしたいと思った存在はいなかったらしい。
そしてやるなら幼い頃からきちんと教えたかったらしく、グリとグラに関してはある意味ちょうどよかったというか理想的だったそうな。
で、マリアさんはある意味趣味も兼ねてるがセバスさんに関しては年齢的にも正式な弟子が欲しいと考えていたようでタイミング的にもちょうどよかったそうな。
そんな2人に将来執事長やメイド長になる前提で色々と教え込まれてることを実はあまり知らずにグイグイと楽しそうに学んでるが・・気にしないことにしよう・・悪いことじゃねぇし。
後、母さんはその事実を知っているが悪いことではないからと放置して聞かなかったことにしているようだ。(チビたちはいつその事実を知ることになるのやら)
そして本日は、学園は休みの週末だ。
ヒナさん曰く曜日の概念も月日の概念もほぼ故郷と同じだそうな。
日付に関しては微妙に違うらしいが・・・よくわかんねぇしまぁ良いか。
あ、そろそろクラスメイト達が来る時間だし、入口まで迎えに行くか・・すげぇ広いし、知り合いが迎えた方が気が楽だろうし。
一応、今日から勤め始めるわけだが、休みの日は全員揃って働くことにしたらしい・・勉強にもなるし実際に働いて恩を少しでも返せるわけだし俺らからするとメリットしかないからそりゃあ、そうなるよな。
クラスメイト「・・・」
そろそろ到着するだろうと、その日の朝、俺は朝食(ヒナさんの趣味で仏)をサクッと済ませて門前までたどり着いたらクラスメイトが全員揃ってるのは良いとしてなぜか顔を引きつらせてフリーズしてる。
「みんなおはよう、早いなってかどうした?」
顔をひきつらせたままズレたメガネを直すグラスが答える。
「あの・・どうして、ノアさんとイブさんは壁を平然と歩いているのでしょうか?」
メルとマムは、一応見たことがあるからか遠い目をしたまま眺めてる。
で、その視線の先を見ると2人が窓から外に出て来たかと思いきやそのまま壁を歩いて屋根上までのんびりと歩いてる。
その後、屋根伝いに桜が見える場所まで移動し、そのまま屋根の上にちょこんと座り込んで何かをつまんで食べている。(ヒナさん作のお菓子かなんかだろ)
どうやら、桜を眺めてのんびり過ごす気分らしい。
それからしばらくすると、この屋敷で働いてる先輩たちが総勢で走り回ってる。
「ジェミニ様はどこに!?」
「さっきまであっちの部屋にいたのにいないんだけど!?」
「また!?数秒前まで目の前にいたのに!!」
「あ、窓が開いてる!」
「壁伝いに歩かれたらお手上げなんだが!?」
「てかさ・・普通に廊下歩かれてもお手上げじゃん。」
「うるせぇ!ホントのことを言うな!!」
「と言うよりさぁ・・・ヒナお嬢様に聞いた方が早いだろ・・」
「それは逃げだ!!」
「うっわ・・めんどくせ・・」
うん・・・何つぅか・・いつもの光景だ。
「あぁ・・いつものことだ気にするな。」
クラスメイト「・・・」
「アレがいつもの光景?」
「ほんとにあの2人って・・人間?」
「前に学園長が、かろうじて人間な気がすると思いたいって言ってたのを僕耳にしたけど・・」
「何その、人間要素がほぼありませんどころか確信が持てませんみたいなニュアンス・・。」
「確かに妖精さんとか人の姿をした野良猫とか大半人間扱いされてないけどさ。」
「その扱いで良いの?一応、イーリス公爵家の子だよね?」
「シル様がしょっちゅう猫を運ぶように2人纏めて首根っこ掴んで運んでたから良いのでは?」
「えぇ・・・思いっきり猫扱い・・」
「と言うか、どうやったら壁をあぁして普通に歩けるの?」
「気にしてたらキリねぇよ?」
「わぁ・・慣れてらっしゃる。」
アレ、毎日の恒例行事だしそりゃあ・・慣れるさ。
「とりあえず行こうぜ?それぞれやりたいこと違うだろうし紹介とか見学とか考えると時間ねぇと思うけど。」
「確かにそうですね。」
「じゃあ、お邪魔します・・。」
それから、待ってましたとセバスさんとマリアさんが紹介し、全員に地図とメモ用紙を渡した。
「皆さんに渡した地図には、それぞれチェックされている場所と数字が書かれているかと思います。詳細はそのメモ用紙をご覧ください。それぞれその数字の順にその地図を頼りに回ってください。こちらで事前に伺っていた皆さんの将来をベースとしたものとなりますので。」
それを聞いてクラスメイトは全員素直に頷いたが同じく首を傾げた。
後になんで首をかしげたのか聞いたところ、誰1人としてそんなことを話した覚えは世間話ついでにはしたけど詳しいことはしてないとのこと。
多分、イノさんが調べ上げたか、姉貴が一目見たときにメモしてたかのどっちかだろ。
で、姉貴が横でマリアさんが入れてくれた紅茶(ヒナさん作の茶葉を調合した奴)を飲みながら俺たちに告げる。
「とはいえ、やってきた初日1日目にいきなり回れとか言わないし、今日明日くらいは軽く見物するか好きに遊んでいけばいいわ。」
マムが呟いた。
「あ・・初日から働くわけじゃないんですね。」
「こっちからすればあんた等が働こうがそうじゃなかろうが大して差はないし、そこまでして根詰めてもどっかで潰れるわよ?勤勉なことは良いことだけど休むことも覚えないとゾンビになるわよ?」
クラスメイト「はい。」
「で、姉貴。さっきノアとイブが外の壁歩いて屋根の上で花見してたんだが。」
「あぁ・・双子ちゃんはそっちの気分だったか。大人しくヒナの部屋から眺めればいいのにあの子たち桜を眺めるときはその木の下でもヒナの部屋からでもなくあそこの屋根の上から見るのがお気に入りなのよね。」
「何のこだわり何すかね?」
「さぁ?別にどうでも良くない?害があるわけじゃないし。」
相変わらずのドライなお方だ・・膝の上にいつものでっかい猫を乗せて撫でたり揉んだりしながらバッサリと切り捨てるセリフを告げる姉貴。
「まぁ、好きにうろついて頂戴。昼の時間になったら食堂に来ればいいから。」
それから、屋敷内でいきなり自由時間を投げつけられてフリーズしてるクラスメイトを連れてとりあえず屋敷内を軽く案内することにした。
「ここが、保管庫で貴重なものだったり色々飾られてるから俺は博物館だと思ってる。」
「わぁ・・」
「確かにこれは・・」
「どれも超が付くほどの貴重なものばかり・・」
実際初代様が愛用していたものだったり、当時大暴れした災厄級の魔物の部位だったり、初代様から現代のイーリス家の人たちまで書かれた肖像画まで飾られてたりとその他にもかなり歴史的にも貴重なものがあるから博物館としか言いようがない。(保管用のケースに仕舞われ、見学出来る)
ちなみに、それらの絵には必ずアルカンシエル王家の人たちも揃って描かれていて当時から仲良しであることが良くわかる。
そして、現在のイーリス家である姉貴や、ヘリオスさんたち、ヒナさんやノア、イブもだが、アルカンシエル家サイドとしてリンさんやマリナさん、イノさん等、勢ぞろいで描かれている。
そこには当然、アイリスさんや大量の猫とその他のメンバーも描かれてるので一種の集合絵のようになってる。
「で、ここが図書館。初代様の時代から現代までの教科書から、各種図鑑に、イーリス家の初代様から現当主のヘリオスさんが書いてる日誌のレプリカだったり、ヒナさんたちが趣味で集めたり描いたりしたやつも揃ってるからハマるってか沼るぞ?」
最近では、イノさんが絵も描くのが得意らしく異世界で有名な建物や景色などを描いてまとめた画集?って本もまとめてあり、密かに人気の一つだったりする。
「確かに・・これは。」
「確かにハマる・・。」
「あ、兄ちゃん。」
「兄ちゃん、その人たちはクラスメイトさん?」
「あら、グラブ。クラスメイトのみんなを案内?」
グリとグラ、母さんまで揃ってた。
「あぁ。今日から働く予定だったんだが、姉貴が今日明日は働かなくて良いから好きに過ごせって放り出されてとりあえず屋敷内を案内してた。」
「あぁ・・シル様は相変わらずなのね。」
「お姉ちゃん、姉御だもんね。」
「ドライな所がむしろ良い。」
チビ2人からも姉貴は姉御なんだな・・。
「で、みんなは察してると思うが、俺の家族で弟がグリ、妹がグラ、で母さんだ。」
「グリと申します。セバスさんの弟子で執事見習いをさせていただいております。」
「グラと申します。マリアさんの弟子でメイド見習いとして奉仕しております。」
「いらっしゃい。ローラよ。イノさんの部下として針子仕事をさせていただいてるけれど、大半はいろんな人の話し相手をしているわ。家の子がお世話になってるわ。これからもよろしく頼むわね。」
母さんは、話を聞くのがうまいし、無理に働いて体調を崩しても困るから大抵の時間は話好きのメイドさんたちや悩みを抱えたその他の執事や騎士の先輩たちの相談を受けていたりしているせいで、全員の認識は相談窓口の人と言う扱いになってたりする。
「母さん調子は?」
「相変わらず心配性ね?すごく調子が良いからここでのんびり本を読むつもりで来たのよ。」
「確かにここの本は面白れぇし、窓辺は温かいしな。」
それなら安心だな・・体調はほぼほぼ改善されてるとはいえ、細かくチェックしておかないと心配で仕方がねぇし。
「えぇ。それに皆さんホントに親切な人ばかりで。」
ヒナさん以上に病弱な人だから全員ガチで心配で仕方がないから必然的に誰も注意せずともそうなるのが全員の共通認識。
クラスメイト「よろしくお願いします」
そう言った後、他の場所を案内するために3人と別れて、歩いてると道中、クラスメイトが小声でぽそぽそと何か話してる。
「・・3歳と4歳だったよね?」
「そのはず・・」
「いや、しっかりしすぎでは?」
それに関しては同感。
「後、すごいかわいかったね。」
「それ!ミニメイドさんとミニ執事さんすっごいかわいかった。」
確かセバスさんとマリアさんが弟子入り記念だとかでオーダーメイドで作ってくれた奴だった気がする。
「けど、普通に着こなしてたの凄いよね?」
「うん。服に着られてなかった。」
「さすがグラブの兄妹・・」
「と言うか、お母さん美人すぎでは?」
「ね?めっちゃ美少女だった。」
「ちょっと年上のお姉さんだと思った。」
「確かにあれは、ナンパされるよ。」
「すごく優しそうな人だったね。」
「あれだよね。そばにいるとホッとするタイプと言うか、つい色々話をしたくなるタイプ。」
「わかる。ここだけの話ね?って言いながらつい口をこぼしちゃうやつ。」
なんかすっげぇいろいろ言われてるがまぁ・・良いか。
言いたいことはわかるが。
「で、ここが訓練場。体を鍛えるときはほぼ必ずここ。主にマリナさんがここに来るメンツ全員を楽しそうにボコボコにしてる。」
クラスメイト「・・・」
実際視線の先では超楽しそうにマリナさんが数十人の騎士を薙ぎ払っている。
ちなみに言っておくが、先輩たちは全員が冒険者で言うところのAからSランクくらいの実力者でかなり強いんだが・・マリナさんが規格外なだけで。
その傍で、イノさんが筋トレをしてる。(上に結構な数の猫が乗ってる)
イノさんは、割と鍛えてる人で毎日必ず決まった時間鍛えるようにしてる光景をよく目にする。
マリナさんと違い、戦うためと言うより生き残るため、そして自身の最適化のためと言う感じで微妙に強くなりたいという俺とは違う方向性だったりする。
「あ、グラブ君。」
ヒナさんが、少し離れた木陰にいた。
アイリスさんを背もたれに両肩にララとアークを乗せて周囲に大量の猫に囲まれてるいつものスタイルだ。
「今日は、ヒーラーとしてっすか?」
「そんな感じ。それでまりにゃんが私の経験値代わりに新鮮なやつを用意するっていつも以上に張り切って重症者を作り出そうとして、みんな痛いのは嫌だから全力で抵抗してるけどそれも空しくあんな感じで薙ぎ払われてる感じ。」
今日もマリナさんは絶好調のようだ。
「うっわ・・・。」
てか、新鮮なやつって・・しかもヒナさんの経験のために重症者を作り出そうとしないで欲しいんすけど・・それをサクッと治せるヒナさんもアレだけど。
「てっきりピアノ弾いてるかと思ってたんすけど。」
「今日はヒーラーとして鈍らないようにこっちを重点的にしておこうかなって。午後に弾きはするけど。」
この人の場合、定期的にピアノを弾かないと禁断症状が出るらしいのである意味弾いてくれないと困ることになるらしいが・・禁断症状が出たらどうなるんだ?
姉貴がかなり必死な表情で禁断症状を出させたらダメだと言ってたから、知りたいような知りたくないような・・。
「そう言いながら、昨日、教会に50人くらいそれなりの重傷者がまとめて運び込まれたのを治してませんでした?」
「ん?大した怪我じゃなかったよ?骨が3~4割複雑骨折してたり、筋肉が大変なことになってた人が何割かと、全身のケガが化膿しかけてる人が多かったくらいだったし。」
「いやそれ・・十分重症っす。」
「そう?重症って、全体の8割くらい複雑骨折して、筋肉とか神経がすんごいことになって、血を流しすぎて意識が朦朧としてロクに返事出来ない状態を言うんじゃないの?」
「確かに重症っすけどそんなのを完璧に治せるのヒナさんくらいっす。」
世間ではそれは重症どころか危篤扱いに近い状態なんすけど・・。
「えー?」
時間は何日かかかるだろうけど頑張れば誰でも出来るよ?と可愛く首をかしげてぼんやりと微笑むヒナさんはなんていうか相変わらずと言う感じだ。
と言うか、毎回の不思議だがこの人と一緒にいると時間の流れがいつもよりゆっくりになったり、闘気とかのやる気を削がれる気分になるのは何なんだろうか。
実際、ヒナさんのそばで休憩中(治療済とも言う)の先輩たち(騎士)が地面で大の字で転がりつつもどこか穏やかな表情(目は死んでるけど)で現在宙を舞っている他の先輩たちを眺めてる。
クラスメイト「・・・」
それから、他の場所を案内しつつ、どうせ外に出たんで庭園やヒナさんお気に入りの桜並木を案内しながらのんびり散歩する。
そこで再度クラスメイトが何か言ってる。
「ヒナさん・・相変わらず可愛かったけど・・すごかったね。」
「世界一のヒーラーと言っても過言じゃないって言われてるのによくわかってなさそうだったね。」
「不思議そうに首傾げてる姿は凄いかわいかったけど・・10歳くらい年上だって未だに信じられないけど。」
「後、マリナさんもすごかった・・」
「イーリス家の騎士団はこの国でもエリート中のエリートと呼ばれるほどの実力者集団なのですが・・それを全員がマリナさんたった1人に薙ぎ払われるとは・・。」
「・・後何気に、イノさん意外と良い体してたね。」
「いつも、あの忍び装束でよくわからなかったけど、意外と良い筋肉だった。」
訓練中のイノさんはいつものゆったりと言うか体のラインが見えにくい服装ではなく動きやすいシャツとズボンとすごく身軽なため、全体的にかなりいい感じに引き締まった筋肉をお持ちなんだ。
「それに・・ホントに猫多いね。」
「うん・・・どこを見ても猫がいる。」
「一応柄とか特徴をなんとなく覚えるようにしてましたが、現時点で重複する子はいませんね・・。」
「僕が見た感じ、ヒナさんに仕えている?猫ってしっぽが特徴的な子だけって記憶だったけどそうじゃない猫もかなりたくさんいるね?」
「確かに普通の猫もかなり多かったね。」
「聞いた話、イーリス家の敷地内は野生動物も割とたくさんいるって話だったからその一部で普通の野良猫も混ざってるのかも。」
「よく見ると明らかに野生動物なあれやこれやがいるしね・・」
とまぁ、必要な場所だけ超ダイジェストに説明が終わったところで昼になったので食堂にたどり着いた。
「細かいとこまで案内してるとマジで時間が全く足りねぇから最低限のとこだけ案内したから。」
「頂いた地図を見た限りでは確かに、グラブに案内してもらった場所で確かに十分ですね。」
「後は、各自で地図で優先度高いとこに行けばいいから確かにあれで十分だね。」
「グラブ、ありがとうな。」
「で・・あえてツッコミ入れないようにしてたんだけどさぁ。」
マムが顔を引きつらせながら食堂のテーブルから視線を逸らしている。
と言っても全員がそんな顔してるけど。
「ん?なんかおかしいか?」
普通に食堂にいる姉貴もヒナさんやリンさんを含め、ちょうど昼休憩中だったらしい他の騎士の先輩たちも揃って不思議そうに首をかしげている。
「特におかしいものなんてないけど?」
何とも言えない表情でグラスがメガネをすちゃッとしながら答える。
「いえ・・その・・」
「ん?ぶっちゃけて言っていいわよ。不敬だのなんだとか言わんし。」
「では、ストレートに・・テーブルにかぼちゃが丸ごと置いてあるだけなのですが・・他にも、玉ねぎとトマトが丸ごとスープに浮いてるのですが・・。」
「ん?・・・あ、もしかして丸ごと料理ってあんた等初めて?」
クラスメイト「初めてです」
「あぁ・・それなら確かに驚くか。」
・・・そういえば、丸ごと料理ってヒナさんが数年前に考案したのが最初で一部のメンツに大人気ではあるけどそこまで誰もが知ってるというわけではないから知らなくてもおかしくないか。
俺も実際、初めて見たときは驚いたし。
「こう言ったらアレだが、ヒナさんの趣味で割と奇抜な見た目の料理がちらほら出てくるから驚いてたらキリねぇよ?」
「おいしいから別にいいんだけど、割と驚かされるのよねぇ・・。」
「でも正直下手なびっくり箱より面白いぞ?この間の、レインボーな麵料理なんてすごかった。」
「あれねぇ・・確かにあれもビビらされた。」
「ちなみに、母上は爆笑しながら気に入ってたよ。」
「叔母様はなぁ・・何というか、ヒナの遊び心ドストライクな性格してるからなぁ・・。」
「父上も母上ほどではないけどいつも楽しみにしてるよ。」
「叔父様も楽しいの大好きだからなぁ。」
まだ直接会ったことはねぇけど、陛下も王妃様も何つぅか楽しいこと大好きと言う遊び心バッチこいな人っぽい。
クラスメイト「・・・」
「まぁ、普通においしいし、見た目が奇抜なだけだから。」
と言われて、とりあえずいただきますしつつ、恐る恐るかぼちゃのヘタ部分が蓋になっていることに気付いたようで開いて目を輝かせる。
「わぁ・・グラタンだ。」
「器だったのですね・・」
「面白いアイディアだぁ。」
「ちなみに、その器も普通に食えるぞ。パンも焼きたてだから旨いぞ。」
細かいのはわからんけど、生地から捏ね方と言うか作り方もヒナさんたち異世界特有でなんか違うらしくそこらで売られてる奴以上に旨い。
そして、当然味はヒナさんのレシピだから不味いはずもなく全員が目を輝かせながら幸せそうにパンも含めてすべてをおいしく感触し、全員が限界ギリギリまで食べてた。
クラスメイト「ごちそうさまでした。」
「幸せ・・」
「見た目も面白かったし、味も文句なし・・すごかった。」
「パンも明らかに作り方が違う・・。後でレシピ買えないかな。」
後に、メルたちの家に小さな石窯が出来上がり、そこでクラスの半数がヒナさんお手製のパンのレシピを購入して作るようになり、それとは別で3割くらいが丸ごとグラタンのレシピを購入してた。
・・・気に入ったらしい。
余談だが、ヒナさんが出してる様々なレシピだが、人気ランキングで言うと
ぶっちぎりで1位は、携帯食料
2位が、ホットサンド系
その次に、シチューのような煮込み料理
その次が、実はパンそのものの作り方だったりする。
そこから、中華だのフランス料理?だのと言った料理と言ったらこういうのと言うものになるんだが、これらとパンの間にはぶっちりぎで差が大きくかけ離れるほど人気なんだ。
1から3までの3つに関しては、野営中でも作りやすいという点で普通に食べるのとは別枠で人気と言うか料理が苦手な人でも野営中はある程度作れないと困るという人たちが愛用するからある意味殿堂入りしてるんだ。
後、普通の料理人も一般家庭の人も愛用するからヒナさんが言うところの殿堂入りしてるようなものだとか。
ちなみにそんな幸せそうなクラスメイトを見てたイーリス家に勤めてたその他の人たちだがわかるという顔で頷いており、こんなことを言ってたり。
「だよなぁ・・そうなるよな。」
「ここで食べると、間食なんてする気起きないよな。」
「わかる。間食するくらいならここで限界ギリギリまで食った方が絶対旨いし。」
とりあえず、午後はどうしようか?
そういや、クラスメイト全員がなんか俺に用があるとか言ってたがそれの話でもするのか?
それと、ノアもイブも普通に一緒に同じ飯を7人分完食してたがクラスメイト達は最後まで気付いてなかったが・・そんなときまで気配等を消す必要あったのだろうか?




