イーリス家の狂犬 画像有
--グラブ--
他クラスの同い年の男連中が群れとなってわけのわからないことを言い出して怒鳴りつけて喧嘩を売ってきた。
結果、俺は全員に勝利して無事にメルとマムの2人と恋人同士になれた。
「で、一応あの後の処理結果をざっくり教えるね?」
「うす。」
あれから数日が経過し、現在教室でヒナさんと学園長のイストワールさんが揃って教えてくれた。
何気にイストワールさん、気付けばヒナさんの親友になっており、2~3日に1回はイーリス家に遊びに来るほどである。
ちなみに、ヒナさんに対するマリナさんやイノさんは親友ではないのか?と思ったが、ヒナさん曰く、幼馴染ではあるけど傍にいないと落ち着かない存在とのことなので、所謂我が半身という言い方が正しいイメージが合ってるそうな。(実際ツーカー)
「一応前に言ってたアレコレは全部執行済だよ。」
全部実行したんすか・・そういえば、最近学園でトイレ行ったときに死んだ目で掃除用具を握ったやつが良くいると思ったがあれ・・そういうことだったのか。
ちなみに、あの掃除の件は1人で10日間行うのが罰となるらしいので人数がいるとその分待ち時間が発生することになるんだとか。
まぁ、今回の場合は反省してるかどうかに合わせて学園以外の公共施設のトイレだったり、下水道掃除をやらせることになるようで、ほとんどのメンツが各地の公共施設のトイレと国内全ての下水道を総出でやらせたそうだ。
そのことをきっかけに、今後トイレ掃除の罰の際は相手の反省次第というかやらかした内容次第で今回行ったほかの場所の掃除も追加することにしたそうだ。
「ただ、異なる点としては退学になるのはあの中でも意図的にグラブ君を陥れようとしてたメンツだけにしたから数的には27人だったよ。」
「他の子たちは一応退学にはなってないけど、やらかしたことに変わりはないから実家から謝罪文と共に長期休暇中に徹底的に絞り上げるって宣言があったから長期休暇どころか長期の地獄合宿になりそうだね。」
「シルさんが盛大に暴れたらしくって、退学になったあの騒ぎの中心になった子たちだけど他にも色々やらかしてたらしくってね。その辺りも徹底的に洗い出して実家は爵位がある家は爵位を没収、追加して全員かなりの賠償金を支払う羽目になったみたいだね。人によっては、他に裏で協力関係にあったあれやこれやがいたらしくってその辺りもついでに殲滅したらしくっていくつかの国は人数が半分くらいになったりしてたらしいけど大したことじゃないよね!」
全員「・・・」
滅ぶ国寸前の国はいくつかあったけど滅んだ国はなかったねとケラケラ笑いながら言ってるヒナさんに全員が絶句する。
・・てか、イノさんもだがシルさんも・・どんだけ大暴れしたんだ・・知りたくないけど。
あの・・全員がドン引きしてるからエンジェルスマイルでえげつないことを軽く言うのはやめてもらえませんかね?
「結局この学年の人数は他のクラスは男子の割合がだいぶ減ったみたいだね。人によっては自主的に退学したり、厳しい家だと保護者の方が退学届けを出したりしたみたいで、人数的には結果的に6割くらいまで減ったみたいだね。だから、女の子の割合が今年は多くなったみたい。」
なるほど・・やけに廊下がすっきりしてると思ったらやっぱそんな感じで減ってたのか。
「で、それらの報酬はグラブ君にって思ったけど」
「俺、既に幸せだし、母さんたちも元気だから持て余すんでいらないんすけど。」
「って、拒否るからとりあえずこのクラスのみんなの5年間分の学費と寮費を全部そこから出たお金で全部支払っておいたよ。」
全員「え?」
まさかのそっちっすか・・・確かにみんなのあのガヤは助かったけど。
「で、みんなの生活費としてその額の3割をきれいに分担して渡して、残りは全部みんなの実家に宅配しておいたよー。」
全員「え・・・」
で、全員強制的にえぐい大金を満面の笑みを浮かべたヒナさんに渡されて顔が引きつってた。
俺とノアイブ?
速攻で拒否ったから、その分はシレっとこいつらに渡す分に上乗せしてるぞ。
「後、退学にならなかったものの、お家によってはご迷惑をおかけしましたってお金が追加で来てたからその分ね。」
破産寸前まで差し出してきたそうだが・・どんだけ姉貴たちが怖かったのか・・。
全員「さすがにこれ以上は不要です!!」
「えー」
そこで、グラスが挙手する。
「1つ提案と言いますか、可能かどうかの相談です。」
「良いよー?」
「そのお金はヒナ様の方で有効活用して頂きたいのですがその分、私たちがそれぞれ将来で目指す者に関する職を営む方々へ見習いとして働かせて頂くか、その紹介状を頂けないでしょうか?」
ほう。
確かにそれは下手な金を貰うよりも学生としてありがたいな。
俺の場合は、すでに見習いだから別だが、クラスのみんなと一緒に仕事をするのも面白そうだ。
メルとマムは、可能なら俺同様に近衛と言うか、傍付き
簡単に言えばメイドとして働きたいと言ってた。
「なるほど。・・・ちょっと待ってね?」
そういうと、紙にさらさらっと書いたかと思うと足元にいた猫に渡す。
猫は器用に尻尾で受け取り、走り去った。
数分後、別の猫が戻ってきた。
「にゃ!」
「ありがと、お疲れ様。」
そう言ってしっぽで握ってた紙を受け取り読む。
「よし。許可取れたよ。」
「あの・・何を・・でしょうか。」
「みんな、私の家で働けば?」
全員「え?」
「シルさんには許可貰えたし、ノア君とイブちゃんが友人として認めてるからみんな合格だし。何より、メルちゃんとマムちゃんはノア君とイブちゃんのメイドさんになるんでしょ?」
メルとマムが目を見開く。
「え・・出来たらなりたいなぁと思ってたんですけど、良いんですか!?」
「私としても、すごくありがたいですぅ。」
「良いよー。私も教えるし、にゃんこたちも優秀で割と私の家の人たちみんな暇してるから色々教えてくれるよ。それに、イーリス家と直接契約してる薬師も魔道具課も騎士団もなんでもいるからみんなが希望する職は全部いると思うよ。希望次第では複数で働いても良いし。その場合はスケジュール管理はこっちでやるけど、体を崩さないように調整するよ?」
「ほんとによろしいのですか?むしろこちらからお金を出して頼みたいくらいですが。」
「お金は無駄に余ってるからいらなーい。むしろ、ご飯はこっちで出すし、報酬も働いた分出すし、頑張り次第では追加で更に報酬を希望するものを出すし、みんな学生だからシルさんやトントンによる授業も開催するよ?鍛えたいなら私でもシルさんでもリンさんでもまりにゃんでも空いてる人が適当に教えるよ。」
マジで破格の条件だ。
チラリと俺に視線を向ける。
「気持ちはわかる・・俺が、最初に猫に拉致されたときにいきなりこんな破格な条件を言われるんだ・・わかっただろ?俺の当時の気持ちが。」
全員が静かに頷いた。
「やらないの?」
全員「よろしくお願いします。」
ここのクラスメイトはほぼ全員放課後や休みの日はほぼ金稼ぎや勉強と忙しくしてる。
それが、イーリス家で働くだけで全てが同時に行使され、時間の余裕が簡単に出来るんだ。
これほどうれしいことはないだろう。
「じゃあ、空いた時の好きなタイミングで家に来て良いからね。みんなの実家にはさっき拒否られたお金を山分けした分を渡すついでにお宅のお子さんは預かった!って伝えておくね。」
全員「・・・」
あの・・それ、間違ってねぇけどなんかニュアンスが違う風に聞こえるのは気のせいっすかね?
後、どちらにしてもその金はクラスメイトに渡すんすね・・。
実家の皆さん・・全員ビビるだろうなぁ・・突然大金と共に近寄るな危険と有名なイーリス家からお宅の子がイーリス家で期間限定で働くことになったって・・。
間違いなく、事情聴取が各自に飛んできそうだ。
あ?
俺の母さんはって?
何つぅか、おおらかって言うか悪いことじゃなければ流れておけって感じだったし、シルさんがかなり気を使ってくれたのを察して断ると逆に失礼だと思って割とあっさり受け入れてたよ。
その分、しっかりお礼も兼ねて仕事は家のチビたち含めてかなり真剣にやってるよ。
でも、無理しないように周りが気を使ってくれてるし、本人たちは毎日が楽しくて仕方がないようで笑顔が絶えないからすごくうれしく感じる。
そして、ヒナさんはピアノを弾きたくなったから帰ると言って去って行った・・いつものことだが・・自由すぎる。
全員「・・・」
「ねぇ・・グラブ。」
「ん?」
「ヒナさんって・・あぁしてお話すればするほどどんな人か余計にわからなくなったんだけど・・」
「自分が感じた限りでは、他人想いの優しい方なのはわかりますが、その手助けの規模が普通ではありませんが。」
「僕も同感・・。確かにグラス君の言う通りではあるけど、僕たちってあんなに色々もらえるほど助けたって言えるのかな?」
「んーハーブの言いたいこと、わかる。確かにグラブに対していちゃもん着けてたことに対して思ったことを我慢しなかっただけなんだが。」
「だよねー!」
「正直世間的には、我慢して口にしない方が良いんだろうけどあの時は我慢できなかった。」
「わかる・・せめての仕返しに言いたいこと言ってやれって思った。」
「けど、まさかそれが手助けになるとは思わなかった。」
「だよね。」
「でも、ちょっと思ったのは、思ったことを一言二言喋っただけでそんなにお礼を貰いすぎのような気がする。」
全員「・・・」
そんな俺らの会話を他人事のように聞いてた学園長が苦笑いしながら教えてくれる。
「例え養子入りしたと言ってもイーリス家は何代も前からずっとあんなものだよ。」
「そうなんですか?」
「うん。軽く言ったと思うけど数百年は生きてるから何代も前から学園長をしてるから当然イーリス家もアルカンシエル王家も知ってるけど、どの世代もあんな感じでちょっとしたことに対するお礼が過剰なんだよね。」
「あ、何代も前からなんですね・・・。」
「そうそう。そのお礼を貰った本人的には大したことじゃなくても、あの一族からするとそのちょっとしたことでも大事な家族の味方になってくれたという事実がうれしかったんだよ。どんな状況でも世間体や脅迫、身分差に負けず、仲間を優先したということが何より重要なんだよ。」
「言われてみれば確かに」
「あの時はガチで何も考えずに思ったことをぽろっと言っちゃったけど、普通は身分差を考えて口を閉ざすよね・・。」
「ある意味身分と知名度だけでもこのクラスには無敵の存在がいるけど。」
全員「・・・」
そうだな・・ノアとかイブとか。
「でも、よくよく思えばこの国で最も重要ともいえるイーリス公爵家の至宝とか、教会の秘蔵っ子とか言われてる子の近衛なんだからイーリス家から見ると最も重要なポジションの人って、ある意味では自分以上に大事だよね。」
「確かに。だって、最もその大事な存在を守ることになるんだからちょっとやそっとの相手には任せられないからそりゃあ大事にするし、そんな存在が危険にさらされると考えたらまた同じくらい信頼出来る人が見つかるか?と言われると難しいよね?特にイーリス家なら。」
「うんうん。イーリス家の何よりも内心を優先するのは有名だし、合格になる人が基本的に存在しないと言われるくらい辛口評価だし、そりゃあ見つからないよね。」
「そう言われると俺・・偶然とはいえ、よく近衛として雇ってもらえたよな・・。」
「グラブ君の場合は、ご家族のために常に全力疾走で自分を後回しにして努力し続けてたことが評価されたんだろうね。」
「確かに、グラブは自分を犠牲にしてでも弟さんや妹さんもですが、母君のために稼いだお金をほぼ全て使ってたらしいですし。」
「だよね。だから髪型も割とぼっさぼさで整える程度で自分で切るくらいで衣服もほぼ全くお金かけてないって感じだったし。」
「実際言うのは簡単だけど、実行し続けるなんて難しいと思う。僕は、グラブ君のことホントに尊敬するし、かっこいいって思うな。」
「だよね!」
「・・あまり褒めねぇでくれ。・・だから俺、もっと頑張ってすげぇ存在になって助けて良かったと思えるくらい功績を残してノアもイブも、メルにマムもだが、ダチ全員守り切ってやる。むしろ、ヒナさんたちみてぇに功績を残しすぎて頭抱えるくらいになってやるよ。」
「うんうん。イーリス家に属するならそのくらいの意気込みは大事だね。」
「っていうか、ヒナさんたちってシル様にドン引きされてるの?」
「らしいぜ?ノアとイブの入学祝のために、古龍を従魔にしてきたとか、最終兵器と言われてるイーリス夫妻が厄介だと言ってる案件の大半を買い物ついでに解決させたり、暴走した魔剣並みのえげつない呪いの物体を手軽に解呪したり、魔物のコロニーを片っ端から殲滅してと、なんか色々やらかしてるらしい。」
全員「・・・」
ちなみに、ララとアークのことを教えたら、アレが災厄と称されるフェニックスと古龍だと知らなかったらしく全員の顔が引きつってた。
「で、その分の報酬を全部イーリス家に丸投げして、それとは別で調味料を始めレシピとか色々開発した分の定期的にもらえる金も1割ほどはもらうらしいがそれ以外は全部寄付するかイーリス家に丸投げしたりとイーリス家側が養うはずが逆に儲けてしまうとかで頭抱えてるそうな。」
全員「・・・」
-それでこそヒナさんたち-
「お前らがそんなとこもヒナさんたちを目指すから余計に姉貴たちが頭抱えてると思うぞ?」
-優秀であることの何が悪い?-
「・・ねぇから頭抱えてんじゃねぇかな。まぁ、俺もそのくらい活躍して優秀だって思って欲しいしあまり否定出来ねぇけど。」
「イーリス家って・・ある意味変わり者の一族?」
「ある意味ではそうだね。そもそも初代が王位継承権を自ら捨ててる時点でね。時代的にも王位はわかりやすく言うと冒険者の最高ランクSSSランクと同等かそれ以上と言われてるからそれを自ら捨てて最低ランクになるか、下手すると冒険者であることすらやめると宣言してるようなものだからね。」
「・・確かにそう言われると当時のイーリス家の初代様の覚悟は自分たちの想像がつかないほど重いものだったのでしょうね。」
それに関して姉貴は、自分の役目を自覚してたからこそ、家族が大事でそれと比べれば身分はタダの重りと思ってたんじゃないの?と初代さんの日誌を読んで教えてくれたけどガチで初代から続くんだな・・あの性格。
「まぁ、重い話はそれまでにして。とにかくイーリス家はこういったらアレだけど自分たちの身分よりも家族を第一にするから極論、自分たちの身分も地位も名誉も家族のためなら速攻で捨てるくらいやらかすから、家族を大事にする、仲間を何より優先するという点が美点であり絶対であるという考えなんだよ。」
「そういうことなのですね・・。」
「なんか納得した。」
「両親からイーリス家には近づくなとかヤバいとか言われた割にはすごく気さくで良い人たちだったから困惑してたけど、そういうことならすごく頷ける。」
ちなみに、他クラスから家のクラスだけ贔屓すぎるという意見があったそうだが、ノアとイブの存在を察知出来てない時点でこいつらに認められてないという意味であり、こいつらの二つ名も相まって、認められてないという意味だとバッサリ斬り捨てておいた。
むしろ、そんなことを言う時点で不合格だと思うと、マムがポソっと言ってトドメを刺してたけど。(わざと)
だが、その後その文句を言った連中はなぜか城下町で塩対応されることが増えたらしいが・・誰がナニした・・。
そんなある日、教室で勉強しながらいつものように話をしていると全員が微妙な顔をしていた。
「どうした・・全員そんな顔して。」
「えぇっと・・実家から手紙が届いて・・」
「え?そっちも?」
「私も」
「自分も届きました。」
「僕もだよ。」
「あ、全員か・・てことは、内容は同じだよね?」
全員「うん」
「ん?・・・・あぁ、もしかしてヒナさんが言ってたアレコレの事情聴取か?」
全員が深く頷いた。
「で、知ってること全部話したのになんでそうなるかわからないからもっと教えろって言われた。」
「うちもそうだよ・・て言われても困るんだけど。」
「だよね!?」
「あれ以上何を言えと!?」
「クラスメイトがありもしないいちゃもんつけられてイラっとしたから言い返したらそのクラスメイトがイーリス家の秘蔵っ子の静寂乃双子の近衛見習いで気付いたら問題は全て解決したけど報酬を全部こっちに丸投げされた。」
「これ以上何を言えと?」
「それで全部だよね!?」
「自分も同意見です。」
「メルちゃんとマムちゃんは!?」
「むしろ、私等よりも質問攻めされそうなんだけど。」
「えぇっと・・実家からは文句言えるわけないだろ悪いことじゃないから好きにしなさいって。」
「家もそれだけだったわねぇ。」
「えぇ・・」
「なんでそんなあっさり・・。」
「そういえば2人の家って、身分差とかは気にせず、強欲でもない貴族としては珍しいタイプだって聞いた気がする。」
「この国だと普通だったけど、確かに変わり者扱いされてたわねぁ。」
「私も!この国に来てから同類が大量にいて驚かされたもん。」
「あぁ・・貴族って関わってもろくなことないって言われたのに、この国に着て驚かされっぱなし。すごく親切な人だなぁと思ったおじさんが普通に子爵家の当主様だったとか普通にあるもんね・・本気でビビった。」
で、ノアとイブが俺の裾を引っ張る。
「ん?どした?」
-メルさんのお姉さんとマムさんのお兄さんが、1年前から遠距離恋愛してて今度結婚するって知ってる?-
「はぁ!?」
「わぁ!どうしたの、グラブ。」
「いや・・ちょ・・なんでメルの姉とマムの兄が1年前から付き合ってて今度結婚することになるんだ!?どこで知り合ったんだ!?」
全員「えぇぇ!?」
「ちょっ!?マジで!?」
「初耳なんですけど!?」
「てか、私も初めて知ったんだけど!?やけにメルとは共通する点が多いなぁとは思ったけど!!」
「私も初耳ですがぁ!?」
全員「当事者も知らんのかい!!」
「てか、ノアとイブがどこで知ったんだ・・。当事者の妹ですら初めて知ったみたいだが。」
ノアイブ「??」
「いや・・首を傾げられても・・」
「可愛いけど・・どこで知った情報なの?」
「あ、イノさんから?」
-お兄さんが仕事でお姉さんと偶然知り合って手紙でやり取りする友人関係から始まって好きになったらしい-
「わぁ、わぁ!甘酸っぱい!」
「いいなぁ・・そういうの。」
「わかる。」
「今時レアだよね。」
「ねー」
「・・で、それを誰から聞いた?」
-本人からだけど。-
全員「は?」
「ちょっと待て・・どういうことだ。」
-半年くらい前から定期的にこの国に仕事ついでに勉強用の本を買いに来るよ。-
「そこでなんでお前らと知り合ってんだ・・。」
-最初は道案内頼まれた。-
-ついでに悩み相談も受けてみたら仲良くなった。-
-で、手紙でやり取りしてる時に3人のことをついでに話したら身内だって驚いたらしい。-
「・・・まさか、俺と付き合うことで反対意見がなかったのって、俺がお前らの近衛だからとかじゃなくて・・」
-私たち経由でどういう人か手紙でやり取りして既に知ってたのに加えてシルさんが手紙出したから裏取りばっちりで調べる必要がなかったから。-
「そういうことかよ・・。」
「まさかお兄様と知り合いだったなんて・・・・あ。」
「マムさん、あって何?」
「そういえば、半年くらい前から親切な妖精さんと仲良くなったとか、欲しいと思った教材がジャストで届くとか知りたい情報が想定以上の量で届いて素晴らしいとか言ってた・・アレ、頭がおかしくなったのかと思ってたけどノア君とイブちゃんのことだったんだ。」
「・・・相変わらずノアさんとイブさんが人間扱いされてない件について。」
「うん・・まぁ・・言いたいことはわかるけど。」
「・・そういえばお姉様もマムちゃんのお兄さんと同じことを言ってたようなぁ?もっと早く妖精さんと知り合いたかったと叫んでいたから、何かの本に変な影響を受けてたのかと両親と話してたけどぉ、ノア君とイブちゃん・・人間だったのねぇ。」
「ノア君とイブちゃんの扱いもだけど、2人のお兄さんとお姉さんの扱いも割とひどい気がする。」
「同感・・。」
「それ経由で、俺のこともそうだが、メルとマムが同じ相手と結婚するってことも聞いたわけか。」
((コクリ))
「世間って意外と狭いんだね・・。」
「ねぇ。」
-時々、2人の故郷の特産品とか本がお礼として届くよ。-
「・・そっか。それで、お兄様はお礼の品をどうするかって毎日考えてたんだ。」
「私のお姉様も同じだったけれどぉ、確かに頭を抱えるわねぇ。」
「だろうなぁ・・こいつらのことだし、かなりの情報と本と提供しただろうし、さぞ相手からすると大したことを話さずに想定よりも大量に見つけてくれるわけならそりゃあ、気を遣うわ。」
「だよねぇ。2人のことだから大したお礼は不要と言っただろうからその分余計に気を使ったんだろうね。」
「ていうかさぁ!!お兄様もだし、付き合ってることはさておき、実の妹にさっさと結婚することを報告しろやぁ!!」
憤慨するマムの気持ちもわかる・・実際家のチビたちが将来同じことをすると考えると・・胃が痛い。
-これから話そうと思うけど、こっちの手紙を先に出すから先に教えるねって聞いてる。-
「えぇ・・・だとしてもせめて妹の後にしてよぉ・・」
-メルさんのお姉さんも同じこと言ってたからその内その報告が来ると思う。-
「お姉様ぁ・・」
メルも頭を抱えている様子を見る限り何て言うか、まだ会ってないから推測になってしまうが割とマイペースな人たちのようだ。
「そういえば、グラブ君ってギルドで依頼って最近受けてる?」
「ん?昔よりは減ったが定期的に受けてるぞ。それがどうした?」
ノアとイブが指名依頼を受ける関係でそれに付き合う感じで問題なさそうな依頼を適当に受けてる感じだ。
こいつらの主な依頼は採取やモノ探しなどが多いが大半は薬草関係の採取依頼だ。
「その時って、討伐系が多い?」
「そうだな。場合によっては悪人狩りもするが大抵は俺の魔法の制御の練習代わりに使わせてもらってるぞ。倒せば助かる人はいるし、金ももらえるし、練習に失敗しても誰も困らないからちょうど良いって姉貴から言われて。」
「あぁ・・。」
「シル様って、やっぱりそういう人なんだ・・」
「みんなが女神様っていうのもわかるけど、姉御って呼ぶ理由がよく分かった。」
なんつぅかドライな性格であの美貌とスタイルだからな・・実際頼りがいあるから女神様もわかるが姉御って単語がしっくりくるんだよな、俺の場合姉貴呼びで定着したから今更帰る気ねぇけど。
「それがどうした?」
「グラブ、あなた二つ名が出来てますよ。」
「は?俺に?」
「えぇ。」
「僕も聞いたよ。」
「マジか・・初めて知ったわ。」
「ちなみに、グラス君、どんな奴?」
「確か、イーリス家の狂犬でしたね。」
「狂犬・・」
何て言うか・・反応に困る。
全員「あぁ・・・」
「なんでみんなしてすごく納得したって顔してんだよ。」
「いやぁ・・」
「だって・・」
「ねぇ?」
「いや、口を濁さなくて良いから言ってくれ。」
「では、自分が代表して。」
「おう」
「あの時グラブが戦っていた姿を見たときから感じてたのですが、グラブ・・あなた戦っているとき、ものすごく獰猛な笑みを浮かべているの気付いてますか?」
「そうか?・・・まぁ、確かに戦うのは嫌いじゃねぇけど。」
「その時の笑みが片っ端から相手を倒す姿が暗闇から襲い掛かる獰猛な肉食獣そのものでしたよ。」
「狙われた側からすれば恐怖そのものだよねぇ。」
「ねぇ?目をギラギラさせながらすごい勢いで襲い掛かってくるのにこっちは重力魔法で逃げられない。」
「そりゃあ怖いよねぇ。」
「そして、そんなグラブが唯一まともに言うことを聞くのは、イーリス家に属する人たちだけでしょう?」
「俺が納得することなら誰だったとしても否定はしねぇが?」
「それでも傍から見れば、ヒナさんの際もそうでしたが唯一グラブを制御していたのはイーリス家の方だけなのですよ。」
「まぁ・・ヒナさんもだし姉貴もだが、イーリス家の人たちには感謝してもしたりねぇし、ノアとイブは大事なダチだ。それなら守るのは当然だと思うが。」
「それは自分たちは知ってますがグラブのことを知らない側からすると獰猛な狂犬を従わせることが出来るのはイーリス家だけと思いますよ、普通。」
「そういうもんか・・。」
「そして、そのままイーリス家の狂犬と言う名前になったそうです。」
「そうか・・まぁ、二つ名って他人が付けるもので自分で決めれるもんじゃねぇし、不名誉なものでもねぇから良いか。」
「まぁ、その辺りは諦めが肝心ですが、自分としてはかっこいいと思いますよ。」
「そうだよ!僕なんて、姫が付いた何かにならないか毎日怖くて仕方がないのに!!」
全員「あぁ・・」
だって、ハーブ・・お前、薬師として色々勉強してるのはわかるがその関係で料理も勉強してるし、綺麗好きで裁縫とかもちょこちょこやってるせいで家庭的で良い嫁さんになりそうとガチで思われてるし。
ただでさえ、普段から下手な女性よりかわいいし、楽し気に調合してる時なんて10人中1人くらい見惚れかけるやつがいるくらいだし。
「みんなしてひどい!!」
「まぁ・・無茶しない程度に頑張れ。」
「うん・・・。」
俺の激励が、気を遣ったものだと察してハーブは筋トレ頑張ろうと呟いてた・・。
うん・・応援しか出来ねぇが頑張れ。
それにしても、双子と出会ってから良いことばかりで俺にいちゃもん着けてたやつがこれまでいたのにそいつらがなんか最近よくわからねぇ不幸続きでそれどころじゃねぇと聞いたが・・偶然なのか?




