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最強令嬢の観察日記-PS:育児対象は拾いました-  作者: ミコト
序章

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28/61

宝石のような食べ物と神様からの報酬

--ヒナ--

ノア君とイブちゃんが筆談しなくても多少の会話が出来ることになぜかビビられたヒナさんです。

現在、秋の大陸に到着し、港町を出発したところで、道中、野営中で夕飯等を済ませて後は寝るだけというところでいつものごとくピアノを弾いている私。

そして、それを偶然近くで野営していたらしい人たちが静かに心地よさそうに耳を澄ませ、リンさんも驚きつつも純粋に楽しんでる。







「・・・うん。ヒナ。改めて、落ち着いてヒナのピアノを聞かせてもらったけど・・シルの言う通り、君は間違いなくこの世界の頂点に立つピアニストだよ。」

初めて聞いた時は、ごくごく一部って感じで所謂ショートバージョンだけって感じだったからね。

「えぇ・・ただのピアノ好きなんですけど。家事がちょっと得意な。」

「・・・あれをもの好き扱いしたり、ちょっと得意程度で表せるものなのかい?」

ものすごく苦笑いされてるけど、正直自分でも世界1位である事実を何年もすでに経過してるのに実感が持てないんだもん。

「リン・・こいつにそういうのを言っても無駄よ。こいつの故郷の世界で間違いなく世界1位を取ってる実績があるっていうのに自己評価が低いんだもの。・・まぁ、私ら同様軽い人間不信になってるからなんだろうけどさ。」

「あぁ・・僕もだったけどヒナも結構人間関係で苦労してたんだっけ・・それにご両親のことを考えると僕たち以上か・・。」

どこか気を遣うようにしてそういうリンさん。

「えぇ・・。だから余計に私は、双子ちゃんのことも含めて、感謝してるのよ。」

「・・シルがそこまで言うなんてやっぱりヒナはすごいね。・・ご飯もすごくおいしいし。普通に城の料理人たちを上回るよ。」

「でしょ?だから、港町で材料と機材は金を惜しまずに準備したのよ。機材不足ですごくおいしかったんだもの。それなら金は余ってるんだから十分に用意してもっとおいしいものを食べたいと思うでしょ?」

「確かに。」

既に出たあの港町にあるパン屋さんが、売れ残るパンをどうしようって言ってたんだけど、こっちでは日本みたいにカビたりせずにただ堅くなるだけで、それを捨てるのももったいないしどうしようとのことで、何種類かレシピを教えました。

スープにパンに浸してチーズをかけてあぶったり、

パングラタンだったりと、簡単においしくできる類をね。

後は、大衆食堂と連携して、パン粉にしてそれを売り、揚げ物にしたりとか、お総菜パンのレシピも教えてみたりね。

揚げ物は油をたくさん使うからあまり安くはないけど、パン粉を使うというところだけがなぜかなかった。

どれも所謂衣が薄力粉的な薄く粉をまぶすだけのタイプばっかりだったんですよ。

お総菜パンに関しては、言われてからそういえばそういう方法があった!って感じだった。

お米は一部の地域でしか食べられてないこともあり、お米代わりにパンを食べるのが普通なわけで、所謂味の濃いものをおかずにパンを頬張るのが普通。

それがあってパンにまとめるという考えがなぜかなかったらしい。


で、その関係で食材を提供する側と、お料理を作る人と言う感じで、パン屋さんの横繋がりは広がり、良い意味で互いの利益に繋げることが出来たようです。


結果として売れ残るパンはどうにかなり、両店舗ともに売れ行きは伸びたみたい。

お礼に、この地域の料理のレシピや、果物やお野菜の種をたくさんもらいました。

シルさんのお家がお高いところだって気付いたらしくそこで植えて使ってくれってことのようです。

確かに、自家菜園って憧れてたし、新鮮なのをそのまま使う方がもっとおいしいから楽しそうだからシルさんのお家でお庭を一部借りようかなぁ。




ちなみに、持ち運び可能な石窯ももらってることもあり、何種類かピザを作ってみた。

ちょうどいい感じに食材合ったし石窯のピザってちょっとあこがれだったから。

あ、一応言うとパンも作れるから石窯で焼いてるんだよ?

自分専用の石窯があってそれを自由に使えるのがちょっと感動。

お父さんの職場にあったから使い慣れてはいるけど、さすがに家にはなかったし。

こっちの世界は日本と比べるとレシピが少ないけど、食材1つ1つの味はすごく良いから完成度はすごく高くて楽しい。

それだけだと楽しくないからポタージュも作ってるけど。

なぜか大量に売れ残ってた多種多様なカボチャを使って。

なんか大量に売れ残ってて、もったいないしお金余ってるし、普通にお料理に使えそうだったし、誤発注して対処しようがなくて困ってたらしいからお互いWinWin。

結果、お値段はかなり安く買うことが出来ました。(感謝を込めて安くしてくれてた)


「いやぁ・・面白いわね。」

「かぼちゃです?」

「それもだけどあんたの腕前もよ。」

「シルに同感。かぼちゃだけでこれだけバリエーションがあるんだね。しかもどれも同じかぼちゃのはずなのに全く違うものを食べてる気分だ。・・すごく楽しい。」

トドメに、たくさん食べる子たちがいるのでちょっと大きいけど、かぼちゃを丸ごと使ってグラタンにしてるので、数種のピザも含めてすごいことになってるけど。


結構な量があったけど全部完食されました。

いやぁ・・シルさんもノア君、イブちゃんもだけど、リンさんも結構食べるんですよ。

シルさんが、大人の男性3名分くらいを食べて、

ノア君とイブちゃんが無尽蔵と言いたくなるけど、基本大人の男性5〜10名分の間を行ったり来たりするくらいで、具体的にどのくらい食べるかはその時の気分らしい

で、リンさんが大人の男性5名分くらい食べる。

これほど楽しそうにうれしそうに完食されると気持ちがいいです。


後、にゃんこたちにもにゃんこ用のご飯を作ってあげてるからね。

結構沢山だよ?

そして、ご飯代なのか食べた後ほぼ必ず何かしらの獲物を私にくれる・・うん、ありがと。

とはいえ、ノア君とイブちゃん経由で聞いた話だと1日に1回でもご飯を作ってもらえたらそれで十分と言われた。

どうやら私への負担を考慮してるのと、野良にゃんだから野生を忘れないためにも自分で狩りをする習慣を鈍らせたくないんだとか。


・・すごく良い子だ(泣きそう)


でもさ・・・言っていい?

ノア君にイブちゃんはさておき、シルさんもリンさんもお胸はおっきいけど腰の括れはあってほっそいし、お尻は引き締まってるっていうのにあんなにたくさんの食べ物がどこに収まってるの?

一応言うけど私は少食だよ?

しいて言うなら一般的な定食1人前を半分くらい残しちゃう程度しか食べられないよ。


「でもヒナ・・すごく甘えさせてもらってるけど、毎食作るの大変じゃないの?」

「楽しいですよ。大丈夫です。夕ご飯以外は結構手抜きさせてもらってるので。」

パンがメインと言うこともあって、朝は果物とサラダパン系統だったり、目玉焼きトーストとかの朝ごはん!って感じのいわゆるヘルシー系で。

お昼は、焼いたお肉とそれに合わせたパンを焼いてシンプルでがっつり系。

で、夜は私の気分でランダム。

後、ノア君とイブちゃんのためにいわゆる3時のおやつもあります。


後気付いたんだけど、私が持つ【健康料理】ってスキルだけど、

いつもおいしく食べて欲しいとか考えてるからなのか、基本常時発動する。

で、それは味見をしたりするときも適用されるらしく私の貧弱さもそれで料理中の分は十分カバーできてしまうのです。

「それに、食材切ったり火加減を見てくれたりしてくださってるじゃないですか。それだけでもすごくありがたいですよ。」

「うん・・まぁ・・」

「年上ががっつりお世話されてるのがすごく申し訳ないし、そのくらいしかできないし・・。」

その年上2名がどこか気まずそうに私から視線を逸らす。


斬ることが得意と言うこともあって食材を切るのがリンさんは上手だったし、

火の魔法を使うシルさんは火加減が絶妙だった。

だから遠慮なく頼らせてもらってる。

・・正しくは無理をして私が倒れたら困るというのが事実っぽいけど気にしない。


そして、ノア君とイブちゃんもお手伝いしてくれてすごくうれしいしかわいい。


「でも、まさかヒナの【健康料理】のおかげでヒナの貧弱さが補えてるなんてね・・。」

「料理は思った以上に体力勝負だから体力のないヒナが心配というより、普通にこなしているのが不思議だったが、謎は解けた。」

ちなみに、皆さんが気を使ってくれるからある程度食材を用意しておいて、後は焼くだけとかにしておくとシルさんとかが勝手にしてくれる。

朝は割とヘルシーな感じになることも多いのもあって、パンを焼くだけという状態に寝る前にしておくと多少遅く起きても大丈夫なのです。

まぁ、パン以外にもキッシュとか、パイ包みとか似たようなものって感じで割と色々作るけど、焼き加減とかのメモを一緒に置いておくとシルさんは火の申し子だから想像通りの完ぺきな仕上がりにしてくれるのでありがたい。

「地味に、ヒナとの料理で火加減の訓練になるとは思わなかったわ・・」

「僕も、あんな細かい包丁さばきがあるなんて初めてだったから良い鍛錬になるよ。」

訂正。

どうやら私が頼んでいたのは結構難易度が高かったようだ。

微妙に遠い目をしてる2人。


この時初めて知ったけど、2人とも戦闘メインで得意だったから料理でやるような細かい制御とかが苦手だったらしく、私からのお願いに応えてくれたのは年上の意地だけで頑張ってたらしい。(無理しなくてよかったのに・・)


とまぁ、そんなこんなで体力がない私はアイリスさんの背中に乗せておけば問題なしという扱いで、リンさん以外の全員がアイリスさんの背中に乗って爆走し、

そんな爆走するアイリスさんと平然と並走するリンさんとにゃんこたちと言う近くを通り過ぎたときの人たちが目を見開いてきれいな二度見をする有様を何度か目撃しながら進んでおります。

で、道中クリスタルがそのまま木として育っているというクリスタルツリーと言う正真正銘の植物の森とそんな森の真ん中にある大きな滝のふもとでまだ昼過ぎだったけどせっかくだからそこで野営をすることになりました。

ちなみに、落ち葉とか倒木はどうなるの?と思うけど、普通に生えてるときは問題ないのに、切り倒したり、木から落ちたりするとすごく簡単に砕け散ってなくなっちゃうんだよ。

後、そんな性質なのにどうやって増えるの?と思うけど、筍みたいに根っこから脇芽みたいな感じで増えてるらしい。

だから、落ち葉は落ちた衝撃で塵になって消えて、木とか枝を切り落として持ち帰ろうとすると簡単に塵になって消えちゃうからそもそも持ち帰る方法がない。

あったとしても地面から根っこごと丸ごと持っていくしかないけど、ほんの少しでも切れたりかけたりしてると全て1かけらも残さずに消えちゃうので実は持ち帰ること自体が出来ないようになってたり。

だというのに諦めない人が未だに堪えないので、大変らしい。

聞いた話・・と言うよりシルさんからの話によると、近くの町を治める領主さんが伯爵家らしくそのお家の人たちが管理しているきちんとした観光名所なんだとか。

勝手に持ち出したり悪用したりしないように管理しており、他にも森などの自然を保護することを代々続けている自然を愛する貴族様なんだとか。

ここは、所謂入園料がかかり、1人銅貨10枚と割と日本円で考えると無難なお値段でした。

そして、私たちのようにその中で泊まることも可能。

その場合は、荒らさないとか、ごみはすべて持ち帰るとか色々守るべきルールはあり、それらが記された契約書にサインをすればOKって感じ。

とはいえ、シルさんとリンさんの身分を受付の人が見た瞬間目を見開いてフリーズしてたけど。

一応、シルさんが追加で銀貨を何枚か渡してた。

1泊するくらいの世間一般で平均的な代金を人数分渡す必要はないけど渡しておいたみたい。


そんな場所なので、そこには他にも泊まってる人たちはいるけど乱暴な人や粗悪な人はいない。

入園時にきちんとその辺りを確認しているから安心なんです。


で、その敷地内にはキャンプ場があるわけではなくログハウスが何件かあり、そこを間借りするのが決まりで、理由としてはキャンプ場にするよりもログハウスにしておくことでごみの散乱や焚火による火が移って火災になったりという万が一のリスクが極力減らせるからだそうです。

確かにキャンプだと焚火は普通だから、ログハウス内に食べる場所も作る場所もあるから焚火をする必要はないからそのあたりの安全面も考慮されるからすごく良くできてると思う。


おまけに無駄に注目を浴びずに済むからね。


とまぁ、今回泊まるログハウス(2階建て)で荷物を降ろし、窓辺から滝とクリスタルの木をきれいだなぁとぼんやりと眺めていたらポスっと私の腰に軽い衝撃がかかる。

ちらっと見るとノア君とイブちゃんが抱き着いてた(かわいい)

「どうしたの?」

-わがまま言っていい?-

珍しい。

「良いよ。私が出来ることならね。」

可愛いから2人を抱きしめて撫でながら笑顔で話を聞いてあげる。(顔が蕩けてると言われてるけど気にしない)

-食べられる宝石って作れる?-

「ほほう?」

面白い注文だなぁと聞いてたらシルさんとリンさんが驚いた眼で2人を見ていた。

「ちょっと!?それはさすがに無理があると思うわよ!?」

「わがままはどんとこいだが、それはさすがに無理じゃないかな?確かにジュエルフルーツと呼ばれる宝石の見た目をした果物は存在するが、希少価値が高く、現時点で旅をしている中で一度もお目にかかってないゆえに今手元にないから、今すぐとなるとさすがのヒナでも無理だと思うぞ?」

ノア君もイブちゃんもまだ幼いから優しくなだめるようにしてそういう2人。

でも、ノア君もイブちゃんも賢い子たちだからわかったうえで、無理だとわかったうえで言ってるんだと思う。

と言うか、そんな果物が存在するんだ・・さすがファンタジー世界。

ちょっと見てみたい。

後味も気になる。



だが、シルさんにリンさん・・あまい。

「フフッ、良いよ。とりあえずこれでも食べながら待っててくれるかな?作るのにちょっと時間かかるから。」

2人を抱きしめて優しくなでながら手慰みに作ってたお菓子を渡しながら伝える。

((コクリ))

で、私が渡したお菓子を目にしてシルさんとリンさんが思わずツッコミを入れた。

「ヒナ!ちょっと待ちなさい!」

「ちょっと待とうか!」

「はい?」

「はい?じゃなくてね・・あんたねぇ!?もう作ってたの!?てかそんなお菓子存在してたの!?作れたの!?」

「僕も初めて見たんだけど!?そんなお菓子初めて聞いたよ!?存在したの!?」

「存在しますよ。琥珀糖っていうやつですよー。」

軽く2人のツッコミを聞き流しながら台所に向かう。

まぁ、使う大半の機材は手持ちのものなんだけど。

「って、まだ作るの!?それじゃなかったの!?」

「え?それは別ですよ。」

「は!?」

「ヒナ・・さすがの僕もびっくりなんだけど・・。その琥珀糖?だけで十分というか、それで良いと思ったんだけどまだあるの?」

「見てごらんなさい!双子ちゃんを!!」

荒ぶるシルさんがビシッ!と指さす方向を見てみるとノア君とイブちゃんが私から受け取った琥珀糖を片手に握ったまま宇宙猫のお顔の状態でフリーズしてる。(かわいい)

「双子ちゃんがこんな顔して固まってる時点で大概よ!?」

「やぁですねぇ。シルさんが超人と呼ぶ私のお父さんが宝石のような食べ物を作り出すレシピを知らないとでも?それとそんなお父さんのレシピがこの程度のクオリティなわけないじゃないですか。この程度ただの前座ですよ。前座。」

全員「・・・」

なぜかフリーズして無言になったけど気にせずに料理しに行こうっと。









「というわけで出来ましたよー。」

全員「・・!?」

簡単に言うと、フルーツタルトと、フルーツポンチ、フルーツゼリーとかです。

ただし、シュガーパウダーをかけて幻想な雪景色のようにしたり、

ゼリーでコーティングすることで宝石のように煌めかせたり

水あめとかでコーティングしてキラキラと輝かせたり

飾り切りをして華やかにして、食べられないスイカらしき物体やメロンらしき物体の外側を透かし彫りにして飾り代わりにしてみたり

それらを組み合わせて、アイリスさんやドラゴン、フェニックスなどを想像してみたり(当然立体作品ですよ)

森や湖のような自然環境も作ってみました。


「え・・・うそでしょ。」

「僕も予想外なんだけど・・。」

「ちなみに、これらなんですけど、お父さんの渾身の作品で世界の頂点に立った作品ですよ。」

おまけで言うとお母さんもピアノで世界の頂点に立った経緯があります。

私が世界の頂点に立てた理由は世界の頂点の人の免許皆伝だからとも言いますね。

「・・ヒナというか、ヒナの両親を私は侮ってたのね。」

「これは・・超人どころか天才の域を軽く超える、まさしく神の領域ともいえるんじゃないか?」

ノア君とイブちゃんのかわいいお口が開いたまま目を見開いて未だにフリーズしたままになってるけど・・そんなにびっくりした?

あまりお口をあけっぱなしにしてたらチューするよ?

さすがにしないけど、見てると無性に何か口に指とかお菓子とか入れたくなるのはなんでだろうね?

そしてシルさんとリンさんもなぜか遠い目をしてるけど・・なぜに?

「そんなに驚きます?」

「不思議そうに可愛く首をかしげてるけどねぇ・・驚くなんて生易しいものじゃないわよ。」

「一応言うけど、ヒナがよくやる飾り切りという手法自体が存在しないんだよ。なのに、そんなところでこんなとんでもない楽園を作れるのは正直ヒナ以外に存在しないよ・・。」

そう言えば、飾り切りをシルさん初めて見たって言ってたっけ?

他にも透かし彫りも初めて見たって言ってたっけ?



あ、そりゃあ驚くか。

「あぁ・・そういえばそうでしたね。」

「ちなみにこれ・・名前とかあるの?」

「お父さんが確か、幻想の楽園って呼んでました。」

私の世界には、ドラゴンもフェンリルもフェニックスも存在しない。

ゆえに、ファンタジー世界は理想郷であり幻想だった。

ある意味での夢の世界。

それをお父さんは料理で再現し、創造して見せた。

ファンタジー世界はガキの頃の夢だったんだって、お父さんが恥ずかしそうに微笑んでたけど、誰もが見る夢だったからこそこれを見た人たちは全員感動してくれた。


「幻想の楽園・・なるほど・・私たちが想像する以上に多くの想いと夢が詰まってるんでしょうね。」

「うん・・わかるよ。」

すごくしみじみと深読みしてるけど多分お父さんが込めた思いは、所謂黒歴史というか、気合と根性とロマンだと思う。

「ノア君・・・イブちゃん・・どうかな?私のお父さんの渾身の作品。」

私の声を聞いてはっ!と言う感じで復活した2人は慌てて私に返事をしてくれた。(かわいい)

-正直びっくりした-

-想像以上のものが出来て驚いた-

「あはは・・でもそれだけ驚いてくれたら頑張った甲斐があったかな。」

「と言うかさ・・すごすぎて食べられないんだけど・・。」

「シルに同感・・。正直琥珀糖くらいが食べ物としては十分だよ・・すごすぎて。」

((コクリ))

「えぇ・・でも食べないと腐りますよ?」


とか言ってると、どこからともなく声がした。

「では、わしが受け取ってもいいだろうか?」

「?」

「どこから声が?」

((?))

「ふむ・・どこか神聖な気配がするな。」

「上じゃ上。」

上?

言われて上を見上げると、ジェントルマンと言いたくなる渋かっこいいおじさまが浮かんでた。

半透明な姿で、料理人っぽい感じのお洋服で。



「・・・えぇっと、すみません。どちら様で?」

悪い人・・人?じゃなさそうなのは確かっぽいけど。

「そういえば、初見であったな。失敬失敬。わしは、メルク。所謂料理の神じゃ。」

全員「・・・・」

全員絶句。

そして、私の場合ファンタジーだし神様も出てくるんだぁくらいに思ってたので割と復活が早かった。

「えっと・・初めまして・・?で良いんですかね?」

「うむ。おぬしのことはよく知っておる。おぬしの父親はわしの右腕にするつもりだからな!」

お父さんは相当気に入られてるらしい。

「おぬしの父親もだが、おぬしも本当に素晴らしい!純粋な想いを込めてこれほどの傑作が作れるのだ!そしてどこまでも止まらぬ向上心!素晴らしい!おぬしらほどの人物はここ数千年の内見たことがない!」

大絶賛。

「えと・・お気に召していただけてうれしいです。それでえと・・これが欲しいんでしたっけ?」

「うむ。おぬしらはもったいなくて食えないのじゃろ?それではもったいないではないか。」

「私は構わないんですけど、シルさんたちはどうです?」

「いや・・当然構わないけど・・。」

「うん・・。」

((コクリ))

「ではありがたくいただかせてもらおう。」

神様がすっと手をかざすとお料理が消えた。

「わしの本体まで転移させた。無事に受け取ったぞ。後でしっかり堪能させてもらおう。」

ものすごーくウキウキな様子を見る限り、相当気に入ってもらえたようだ。

神様がもらいに来たのは正直びっくりだけど。

「では、報酬をやろう。」

「報酬?」

「何を首をかしげておる。料理代が必要であろうが。わしは神じゃ。ただ金をよこすのでは気が済まない故に、おぬしの願いを言うとよい!!」

どうしようとシルさんたちに視線を向ける。

「あんたのことだから訳の分からないことは言わないだろうし、ありがたく本音を言いなさい。」

「そうだ。これはヒナの素直な想いを言うべきだ。」

((コクリ))

「えっと・・ほんとにいいんですか?」

「うむ!どんなことでもいうとよい!」

「じゃあ・・・私のお父さんとお母さんとお話しできるようにして欲しいです。」

「ふむ?・・すぐそばにいるようだが、願いは守護霊の力を高め、おぬしらとみて会話が出来るようにすればよいということでよいか?」

「はい・・ダメならそれで構いません。」

「いや構わぬぞ。ただ、しばし待たれよ。」

そう言って姿を消した数分後、うっとりするほどの美女を連れて戻ってきた。

どことなく音楽家と言う雰囲気を醸し出す美女だ。

「えっと・・そのお姉さんはどちら様で?」

「はじめましてね、ヒナちゃん。私は、シスカ。音楽の神よ。」

今度は音楽の神様でしたか。

「ヒナちゃんのピアノには毎日ほんとに楽しませてもらってるわ。ほんとに素晴らしいわよ!あれほどの実力でそれほど純粋な想いと向上心を併せ持つなんてほんとに素晴らしい!あなたのお母さんは私の右腕なのよ!」

お母さんはすでに右腕認定されてたようです。


「えっと・・ありがとうございます。」

「メルクから話は聞いたわよ。私も力を貸すわよ。」

「え・・・良いんですか?」

「当然よ。」

「わしもその場で実行してもよかったのだが、おぬしの母親は先ほどシスカが言った通り、音楽の神の右腕故にわしが不用意に力を渡すわけにはならなかったのだよ。」

何やら管轄というか、そういう暗黙のルール的なものがあるらしい。

「そうだったんですね・・じゃあ・・。」

「うむ。おぬしの守りを固めることも考慮するとそれが妥当であろう。」

「私も同感よ。」

えぇ・・私どんだけ貧弱だと思われてるの?

と言うか、守りを固めるのは置いといて、その代償としてバレたらヤバいものがどんどん増えてない?

大丈夫?

色んな意味で大丈夫?


「とりあえず、ほい。」

どこからともなくポムリと何とも言えない音が響き渡る。

そして、すごく懐かしい声がした。

「あーあー、これ、聞こえてるのか?」

「さぁ?どうなのかしら。」

ずっと聞きたくても聞けなかった声がするその方向を見ると、

私が知っているずっと会いたくても会えなかった人がいた。

「お父さん・・お母さん・・。」

「ほんとに見えるようになったんだな。」

「そうね・・でも・・まずはね?」

「そうだな。」

両親「久しぶり。これまでよく頑張ったね。」

「お父さん!お母さん!!」

霊体だから触れることは出来ない。

けれど、そこにずっと会いたかったお父さんと母さんがいる。

半透明だけど確かにいる。

泣きながら呼ぶと嬉しそうに2人は私を呼んでくれる。

「ヒナ・・。さみしい思いをさせてごめんな?」

「ごめんなさいね?けど、これまでホントによく頑張ったわ。」

「そばにいてやることしかできないが、これからはずっと一緒だからな。」

「・・うん・・うん!」





守護霊族

それぞれの属性を司る神に認められ、神の一員に守護霊のまま所属することが出来た存在。

霊体であり、心がある程度清らかでなければ姿を目にすることも聞くことも出来ないが、心が穢れた存在がその姿を目にするときは天罰が下る時であり、自身のある意味人生の終わりの時である。

悪しき存在が一定以上近寄ると無意識に体調が悪くなり、それぞれの主である神の属性関係の知識・技術が向上しやすくなる。



裏設定について一部。

ピアノが上手なヒナさんは、音楽の神様の加護を持ってますが、

歌が圧倒的に上手なシルさんは音楽の神様の加護がありません。

それは、それぞれの属性を司る神があらかじめ加護を与える対象者の条件をランクごとに決めており、

その条件を満たしているときのみ、その条件を満たしたランクの加護が付与され、

加護が消失するのはその条件を満たした状態ではなくなるからです。


その設定は、神様がそれぞれの属性を司るようになった最初の段階で決めるモノのため、変更・編集は絶対不可能。

なので、実はリーチをかけていたものの条件を満たしてないシルさんは音楽神の加護を持っていなかったりします。

とはいえ、本人はあってもなくてもどうでもいいという人なのであまり気にしてません。

むしろ加護が3つ目になるので、苦労が増えるのでそっちの方がシルさんは嫌だったでしょう・・多分。

徳よりも苦労したくない方を優先させてます・・シルさんの場合。

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