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最強令嬢の育児日記-PS:育児対象は拾いました-  作者: ミコト
拾った人間は世界規模の迷子でした

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23/39

ヒナさんファミリーとシルさんファミリーは似た者同士

--ヒナ--

秋の大陸を出発し、船の中でのんびりと過ごしているヒナさんです。

私の歌は、シルさんが言うにはものすごく上手らしい。

今まで作業しながら口ずさんでたことはあるけど上手だったのはすごく予想外だった。

そのため、シルさんと時折デュエットで歌ったりすることになったみたい。





で、船に乗って数日が経過してるわけでして・・。

船の中は一通り回り尽くしており、私は目的がないと行動しないタイプなので、目的もなくフラフラするのは好まない。

結果、やることがなくお部屋の中でゴロゴロしてます。

・・・ただ、そんなことしてると大抵にゃんこたちに埋め尽くされて動けなくなり、そのまま私の腕を枕にするノア君とイブちゃんがやってきて、ほほえまし気に眺めつつ私の背もたれになってくれるアイリスさんというのがいつもの光景。

それを苦笑いしながら横目で眺めつつ、読書してるシルさん。

一応休憩をはさんで、魔力操作というか鎖の操作の練習はしてるんだよ?

ただ、あまりやりすぎると片頭痛を起こした挙句体調不良になるので速攻でアイリスさんに止められ、にゃんこたちに押し倒されて動けなくなるけど。





なので、大抵は日本では出来なかった料理系をやってたり。

主に飴細工だったり、食べられる立体作品だったり、日本にはない材料を使った丸ごと料理の新レシピ改良だったり。

飴細工だとバラとか、鶴とかまぁ色々作ったよ。

面白かったから、ちょこちょこやろうと思う。

日本だと設備とかそういう関係でなかなかできなかったんだよ。

丸ごと料理に関しては作るのは良いとしてそれほどの量を食べる人がいなかったし、家族以外の人を家族団らんに放り込むのはちょっと嫌だったから・・。

まぁ、幼馴染もそれほどたくさん食べる方じゃなかったからどのみち無理だったというのが正しい。

まぁ・・好き放題に作ってるのでノア君とイブちゃんは素直に喜んだ後、食べてるけど、

シルさんは宇宙猫の表情になったままになってる。

「いや・・・さ・・・。あんたの父親はホント・・なんなの?いや、母親の方の腕前も同じレベルで何なのか言いたくなるけど。」

何なのかと言われると、神のごとく崇められてましたとしか言いようがないけど。

「こっちで言うところの歌姫としてのシルさんと同レベルですけど。」

「・・・・」

すごくしっくりくるセリフにシルさんが頭抱えている。

「こういったら失礼になるけどさ・・・あんたの両親・・趣味を実益に変えた人というよりも、どっちも幼少期から趣味に憑りつかれた挙句、依存してない?」

「本人たち曰く、誰の迷惑にもなってないから問題ないだそうです。むしろそれで利益出してるならバッチこいとも言ってましたけど。」

物心つく前くらいから興味を示し、幼稚園へ入園したころには依存しており、事故で亡くなるまで続き、向上心も探求心も自身の趣味対象にのみ発揮され続けた挙句、神のごとく崇められてました。

「・・自覚あるんかい!!」

頭を抱えながら盛大にツッコミを入れるシルさん。

・・残念ながら自覚あったんですよ二人とも。

がっつり依存してましたよ。

それ以外に何も問題はなく、普通の人だったけど。

それが関わっていても割と普通だけど・・ただそっち方面への追及度が半端じゃなく、一度集中すると周囲の音が全てシャットアウトされるけど。

「後、自分たちの顔が大変美形であることも自覚してたので自分の容姿も武器に出来るタイプです。」

「・・・」

すごく身近に同じことをする奴に覚えがあると呟きながら頭を抱えてるシルさん。

「ちなみに、問題があるとしたら毎日定期的に自分たちの趣味に取り掛かることが出来ないと禁断症状が出ます。」

私は1日に一定時間すればいいけど、お父さんとお母さんは長くても半日に一定時間はしないとダメなレベルだったけど。

「・・・ちなみにどんな?」

シルさん、顔引きつってるよ?

「お父さんの場合は、無口無表情になって一切反応しなくなって、お母さんはひたすら自堕落になり誰が何を言っても興味を示さなくなります。」

2人揃って禁断症状が出てるとなぜかお母さんはお父さんにだらけながら甘えて、お父さんは無口無表情で何を言っても反応しないのにひたすらお母さんを抱きしめたり撫でたりするという甘々だけど何とも言えない不思議なことになったりするけど。

一応私が手を引っ張ったりすれば素直に動いてくれるから娘としては特に支障はなかったけど、同級生や両親の友人たちからすると元に戻すまでがものすごく大変だったらしく私が軽く手を引っ張ると普通に素直に動いてくれてそのまま趣味をさせれば簡単に戻ったことにものすごく頭を抱え膝から崩れ落ちてたけど。

それで、当時もそばにいてくれればよかったのにと言われても過去にタイムスリップできないから無理だよ?

「・・・・あんたの禁断症状・・遺伝だったのね。」

どうしてそんなにガックリって感じで肩を落としてるの?

「お父さんとお母さんのことを知ってる人はみんなそう言います。」

「でしょうね・・。」

「ただ依存してただけではなく、向上心が発揮され続けたので、シルさんのように崇められ、自分の大好きを邪魔する相手や、家族に危害を加えようとした人相手は逆鱗に触れることになるので容赦なく相手を始末しに襲い掛かるので精霊女王とか魔王とか言われるようになったんです。あ、殺してませんよ?お父さんもお母さんも美形だったから余計にそういわれるようになったんですけど。」

「・・・・あんたってさ、ほんっと、私と環境というか境遇が、そっくりというか全く同じだわ。・・周囲のメンツのやらかし具合とか特に。」

道理で似たような覚えがある話ばかり聞くと思ったわけだわと呟くシルさん。

「あぁ・・身分とか魔法の有り無しとかを除けば確かにシルさんと私って似てるというか共通点多いですよね。」

シルパパとシルママについてはちょこちょこ話を聞いてて、他人事のような気がしないのはなんでだろ?と思ってたらお父さんとお母さんと行動がすごくそっくりだったんだ・・。

すごくしっくりした。

多分身分とか世界観とかによる価値観の違いで行動が異なってるだけで、過ごしていた環境が全く同じだったらたぶん全く同じことをしてた気がする・・ものすっごく。

「えぇ・・さっきの話を聞いて余計に実感したわ。・・ちなみに私は芸術の国の歌姫として、逆鱗姫とも呼ばれているとは言ったわよね?」

歌姫っていうのは、一番歌が上手な人に与えられる称号みたいなもので、主に国ごとに存在するんだとか。

とはいえ、だからと言って各国に確実に存在するわけではないらしく、男性もたまにいるらしいけど、男性の場合はなぜか称号はないんだとか。(大抵**の国トップの歌唱力です!みたいなことをいうのが大半らしい)

ちなみにその称号は名誉みたいなものでステータスに乗るようなものではないんだって。

「聞きました。」

二つ名としては別に2つあるって、呼び名も一緒に聞いてはいるけど、なぜか逆鱗姫の方が呼ばれる割合は高いらしい。

二つ名って不思議だよね。

私の場合はほぼほぼ黒天使様で固定されちゃったけど・・。

「私の両親ね・・2人揃って芸術の国の最終兵器って呼ばれてるのよ。」

「・・・」

「しかも、世界的にも有名で私の故郷の国の名前を知っていればほぼ確実に知ってるレベルで有名なのよ。」

「・・やらかした内容って、たぶん私のお父さんとお母さんと似たようなものですよね?」

「えぇ・・あえて何をやらかしたかは言わないでおくわ。」

すごく遠い目をしている。

・・ガチで敵にしたらダメなやつじゃないですか。

私の精神的なダメージが来そうだからあえて理由とか経緯とかは聞かないようにしておくけど。




「はぁ・・・すごくすっきりしたわ。」

そう言いながら疲れた表情で私の膝を枕にして寝転がるシルさん。

なんとなくシルさんの頭をなでる私。(普段にゃんこがよく乗るから癖)

「あんたの両親のことを聞くたびになんで覚えのあることばかりなのかすごく疑問だったのよ。」

「そういえば、驚きつつも首をかしげてましたけど、そういうことだったんですね。」

デジャブ?って呟きながら首傾げてましたね、確かに。

「えぇ。あんたも感じてるだろうけど、たぶん世界が異なる関係上、価値観が異なるから細かい行動パターンが異なってるだけでそこを揃えれば間違いなくそっくりそのまま同じだったと思うわ。」

「確かに・・私も同感です。身分差とか魔法の有り無しだけでも結構違いがあるから、私の両親とシルさんのご両親の違いが出たのは間違いなくそこだけですよね・・。」

「まぁ、あとは私は自分で相手を始末するタイプで、あんたは周りが率先して動くタイプって、性格の違いが出ただけでしょうね。」

「あぁ・・私の場合は貧弱なので行動しても負け確定でしたし、あとは気が付くと周りが勝手に動いて、気づいたら終わってることがほとんどでした。」

「でしょうね・・。だからね、あんたと私は性格というか考え方が違うだけでそれ以外は全く同じなのよ。」

「というと?」

「ピアノで世界の頂点に立つのがあんたなら、私は歌で世界の頂点に立ってる。そして、周囲のメンツはなぜか崇拝する連中ばかりってね。」

「あぁ・・すごくしっくりきました。」

確かにとなると・・

「私とシルさんって、異なる世界で同一人物だったのかもしれませんね。」

「どういうこと?」

私は、日本ではよくある並行世界論・・つまりパラレルワールドについて話した。

「って、話が私の世界ではそういう考え方があるんですよ。」

「へぇ・・面白いわね。でも、すごくしっくりくるわ。それならあんたを私の妹にしても問題ないってことね。」

「・・それ、最初はシルさんが半分冗談で言ってると思ってたんですけど、シルさんのお家に到着したら事後報告でガチの妹になってそうですよね。」

「あぁ・・それはあるわね。半分本気だったけど、私以上にお父様とお母様がガチで動いてるのよね・・。相当気に入られてるわよ。」

「私、シルパパとシルママに気に入られるような行動ってした覚えないんですけど。」

むしろまだ会ったことすらないんですけど。

「私近辺の情報に目ざとい人たちだからなぁ・・・。あなたの極スキルのことがきっかけ何だろうけど、あなたの純粋なまでのまっすぐな想いが家の両親の好みど真ん中だったんでしょうね。」

「曲がったことどころか、心が腐りかけた人も大っ嫌いな人なんでしたよね?」

悪い人が嫌いらしいから、所謂心が清らかというか真っ白な人が理想的って感じなのかな?

・・自分でそう呼ぶのはすごく気恥ずかしいけど。

「それで合ってるわ。だからこそ、相当気に入られたんでしょうね。」

「思ったんですけど、シルパパとシルママに気に入られる人って現状だとどこくらいいるんですか?」

「そうね・・あんたと同レベルで本気で気に入られた人は私の相棒と、我が家専属の従者を務めてる執事長とメイド長の計3名だけね。後は、陛下と王妃様はそれぞれお父様とお母様の親友だからある意味その方々も含めると5名だけになるわね。」

「少ない・・。」

物心ついてから現在までの間となると軽く20~30年は経過してるだろうし、立場的に多くの人たちと出会ってるはずなのにそれだけなんて・・とんでもなく少ない・・。

まさかの片手で収まる程度だったとは・・。

「後は最低限をクリアしてるだけで、妥協といった感じね。」

「かろうじて認められる・・もしくは、及第点ってことですか?」

「そうなるわね。だからこそ、及第点で認められたメンツはそれ以上に認められたくてますます真剣に精進するのよ。というより及第点扱いされるメンツも基本1割以下だけど。」

「相当な辛口評価なんですね。」

それなら確かに私のことを直接見たわけでもないのに気に入られてたら実の娘であるシルさんもびっくりするよね。

「そうなるわね。だからこそ、陛下や王妃様はお父様とお母様を信頼してるのよ。お父様かお母様が良しというなら心配いらないって即答するくらいに。」

少なくとも、辛口評価だからこそのOKを出せば問題ない人だって見る目がないとか言われることが皆無なれっきとした証拠になるわけだしね。

「私が想像している以上に信頼しあってるんですね。」

「えぇ、その信頼関係は我が国では誰もが憧れらしいわ。所謂戦場で背中を預け合うことが出来る関係らしいから。」

互いの得意分野で支え合う姿はまさしく誰もが憧れの存在なんだとか。

おまけにガチの実績ありで、美形だから余計に。

「なるほど。」

すごくわかる気がする。

下手な親友よりも戦場で背中を預け合う存在同士ってそっちの方が憧れるのはよくわかる。

だからこそ、同性による妬みとかもないんだって。

それはすごく珍しいよね。

割と物語だとあるあるなのに。



あれ?

「そういえば、相棒さんってどういう人なんです?」

「そういえば言ってなかったわね。」

「女性で近接戦が得意で声のトーンが低めの歌が上手な方以外知らないです。」

「そうだったわね。一応言うと、私の相棒は第一王女よ。そして私の相棒で親友で物心つく前から付き合いのある所謂幼馴染でもあるわよ。」

「公爵令嬢ってことは、親戚同士?」

「そうなるわね。前にも言ったように我が家の初代が初代国王の弟だったのよ。その関係でね。」

「そういえばそうだった。」

自ら王位を捨てて、兄を支えることを誓い、国全体の部下のレベルを底上げし、あらゆることから王族を、そして国を現代も守り続けている国の守護者。

それだけすごい存在だからこそ多くの人が認め、崇拝している一族なんだとか。

私は貴族階級とか、その一族の長として引き継ぐ覚悟とか名誉とかの重さはわからないけど、それでも国のトップでもある王様になる権利を自ら捨てるわけだからどれだけの覚悟かなんとなくわかる。

・・それだけ、家族を守りたかったんだと思う・・すごく立派な人だったんだな・・シルさんのご先祖様。

シルさんのお家に着いたらお墓参りさせてもらおう。

「でね。なんとなく察してるだろうけど、所謂男装の麗人なのよね。本人は動きやすさ重視と短パンは好まないから結果としてボーイッシュな服装になってるだけで、胸とかは隠してないし、女性だって言ってるのに王子扱いされてるけど。」

所謂女性にもてるタイプの女性らしい。

見た目も中身も。

だから、その人のことを町の人たちはお姫様とも王子様ともどっちともとれる呼び方として殿下と呼んでるんだとか。

・・確かに女性でも男性でもどっちをそう呼んでも違和感ないもんね。

「・・・よかった、想像通りで」

「どういう想像してたのよ・・。」

「声のトーンが低い女性って聞いてたから、男装の麗人だったらぴったりとは思ってたんですけど、それで綿あめみたいなふわふわでほわほわな女の子だったらどうしようって・・。」

「・・それはそれで面白そうだけど、頭がバグりそうね。」

「なので、ほっとしました。」

割と本気で。

「納得。」

「ちなみに、斬殺王子って二つ名よ。」

「・・・ものすごく物騒な二つ名なんですけど、それ・・大丈夫なんですか?」

いろんな意味で。

「大丈夫よ。斬り殺すのは敵だけだから。」

それはそれで大丈夫なのかな?

「・・・」

一応、その王子だけどお姫様は斬ることが得意な人ってことで良いらしい。

ってことは、剣か刀かその辺りかな?

刀自体は存在するらしいし・・世界的な割合で言うと少数らしいけど、得意な戦術で言えばシルさんと同じレベルらしいので、所謂剣豪とか言われるくらいすごい人なんだと思う。


「あぁ・・でも、あんたの膝はすごく心地いいわ。」

あの・・嬉しそうに私の膝をほおずりするシルさんは可愛いけどくすぐったい・・。

一応言うと、部屋の中では長い靴下は穿いてないし、エプロンドレスというかワンピースの親戚だからシルさんは普通に私の生膝を枕にしてる。

ノア君とイブちゃんも私の生膝がお好みだけど・・よくほおずりしてる姿は可愛い。

「そうなんですか?ノア君とイブちゃんもよく私の膝を枕にしてますけど。」

「柔らかくてなぜかほんのりと柔らかい花の香りがするのよね。・・後、すごく安心するのよ。」

ノア君とイブちゃんもコクリと頷いてる。


・・私からは花の香りがするの?

そう言えば、お父さんとお母さんが同じことを言ってたような・・。

あれ、気のせいじゃなかったんだ。


柔らかいのは否定しない。

だって、ガチで貧弱だから筋肉ないもん。

とはいっても、太ってるわけじゃないけど。

・・太るほどたくさんご飯が食べられないというのと、食べすぎたら速攻で体調不良になるのと、太らない体質だから細いままともいうけど。

だから、基本的には健康とか栄養バランスは気を付けてるけど、気にしなくても太らなかったりする。

・・まぁ、そんなことすれば速攻でバタンキューまっしぐらだからやらないし、お父さんがそうだって教えてくれたから知ってるだけだけど。

「・・・って、割と頻繁に膝枕してもらってるけどきつかったら言ってちょうだいね?ずっと正座はきついでしょ?」

「いえ?慣れてるので大丈夫ですよ。・・なぜかお父さんもお母さんも私の膝を枕にしてたので。」

10年近く続いてるので正座はホントに慣れてるんですよ。

後、意外だけどお父さんの実家はいわゆる神職で、代々お寺の関係者なんですよ。(当然お経も唱えられるんですよ)

その関係で、お参りもお経を唱えることも出来るし、当然長期間正座を続けることも出来るんですよ。


そして、お母さんの実家は芸術関係の才能の持ち主が多いんです。

絵を描いたり、立体作品を作ったりする方面が得意なおじいちゃんとおばあちゃんでした。

とはいえ、お母さんが亡くなってからは性格が変わったのか何なのか、個人的にすごく生理的に合わなくて距離を取るようにしてた。



・・まぁ、それはさておき、その関係で私、梵字が描けるんですよ。

そのおかげであの場を脱出できたんだから人生ってどんな時に役立つかわからないものですね。



「嘘を言ってるわけでも、強がりでもないようね・・本気で慣れてるのね。それならよかった。」

「ふふっ。気にしないで良いですよ。割と好きでこうしてるので。」

撫でる手が止まらないのは癖になってるので気にしないでいただきたい。

ホントは年上のお姉さんにそんなことするのは失礼なんだろうけど・・

「あぁ・・ダメだ。あんたのこの膝枕された状態でそうやって撫でられると甘えたくなる。」

「良いですよ。年上だからとか同性だからとかそういうのは気にしないので。」

割とノア君とイブちゃんも私のなでなでを要求してる節があるし・・かわいいから嬉々として撫でるけど。

「・・本気であんたに依存しそうだわ。」

膝枕されながら私に抱き着いて私のおなかにほおずりするシルさんの耳がほんのりと赤い。

「このくらいしかできないので。」

「料理もピアノもホントに感謝してるのよ。・・むしろ私の方が感謝したい気持ちよ。」

私のおなかに顔をくっつけたまま喋るシルさんに静かに耳を傾ける。

「双子ちゃんのことは言ったわよね。」

「聞きましたよ。」

「あの子たちには幸せになって欲しい。年相応に楽しいって、嬉しいって気持ちを知って欲しい。でも私は、生きるために必要なことは教えられても甘やかすことは苦手なのよ。」

「・・・」

「料理も苦手だし、どうしても生きるため、将来のためになる勉強とか訓練とかの堅苦しいことばかりになっちゃう・・。ほんとはもっと甘やかして遊んで、好きなことをたくさんしてあげたいのに・・。」

「・・・」

「でも、あなたが・・ヒナのおかげで、おいしい料理も楽しむことも、甘やかすことも甘えるってこともたくさん私が教えたいことをあの子たちに教えてくれた。・・ほんとにうれしかったのよ、私は。」

「・・・」

「そして、私はどうしても導く立場だから・・こうして甘やかしてくれる人がいなかったわ。・・・すごくうれしいのよ。みんな私を頼りにするだけでこうして甘やかして寄り添ってくれる人はいなかった。お父様とお母様は別だけど。」

静かに弱音を吐いているシルさんの頭を優しくなでながら聞き続ける。

弱音を吐き終えたところで私が優しく頭をゆっくりと撫でながら私の意見を伝える。

「私は弱いから・・こうしてご飯を作ったり愚痴を聞いてあげるくらいしかできません。」

「・・・」

シルさんは静かに私の話を聞いてくれる。

「逆にシルさんみたいにものを教えたり鍛えてあげたりすることが出来ません。・・私は守られてばかりで守る力がないから。」

「・・・」

「人はみんな得意不得意があります。私とシルさんはそれぞれ得意分野が違うだけ。」

「・・・」

「シルさんがノア君とイブちゃんのために精一杯頑張ってるのは私がよく知ってます。」

「・・・」

「2人もシルさんの頑張ってる姿はわかってますし、感謝してるからこそシルさんを頼りにしてるはずです。」

「・・・」

「1人で何でもできたらそれはすごく寂しいですし、人同士で支え合って、切磋琢磨することが出来ません。」

「・・・」

「出来ることが違うからこそ支え合って、守り合って、感謝し合う。一番理想的な付き合いだと私は思ってます。」

「・・・」

「こうして少しでもシルさんの力になれてるならそれはすごくうれしいです。」

「・・・」

「そうやって支え合って、甘えて甘やかして、ダメなことは注意しあって、教えあって、切磋琢磨する。・・それが家族なんだと思います。」

「・・・」

「血のつながりは大事かもしれない。でも私個人の意見としては、そんな心の繋がりが一番大事なんだと信じてます。私はもうシルさんもノア君とイブちゃん、アイリスさんとは大事で大好きな家族だと思ってますよ。」

「グスッ・・」

私のおなかが少し濡れてる気がするけど、きっと気のせい。


優しく抱きしめながら頭をなでる。


シルさんはずっと頑張ってきた。

1人で。

だからこそ、シルさんを支え、守る人がいなかったんだと思う。

相棒さんがいてくれたら別だけど、ずっと長い間そばにいなかったみたいだから、ずっと1人だった。


大変だったんだね。

頑張ったね。

大丈夫ですよ。

私は弱いけど、心の支えくらいにはなれると信じてるので、私に出来ることならこうして甘やかして愚痴を聞いてあげることは出来ますから。

弱いなら弱いなりの守り方があるんですよ。




「・・・あんたってホント・・質が悪いわ。」

目がほんのりと赤くなり、顔も微妙に赤くなって微妙に視線を逸らすシルさんがかわいい。

「私があんたに依存したらどうしてくれるのよ。」

「私は支えることしかできないので、好きなだけ甘えて良いですよ。」

ふわりと微笑みながら両手を広げておいでと合図すると、素直に私に抱き着いたシルさん。

「っ~~~!!!」

そして、私に抱き着いたまま声なき悲鳴を上げながら照れた顔を見られたくなくて私に抱き着いた私の胸に顔をうずめながら悶絶してるシルさんがかわいい。

シルさんほどおっきくないから、母性は少なめだけどそれでもシルさんからすれば十分な幸福感を得られたらしい。

どうやら私に甘えるのは良いとして、その後目がウルっとしたのが恥ずかしかったらしい。

気にしないでいいのにね?

ちなみに、さっきまでのやり取り中は空気を読んだノア君とイブちゃんはそっとシルさんが見えないアイリスさんの反対側に回って静かにしてました。

そして、シルさんが悶絶してる最中で何も知りませんという感じで戻ってきて私の膝を枕にしてたけど。(そして2人の頭をなでる私)


・・実際、ノア君とイブちゃんも私と出会ってから甘える回数が少しずつ増えてるし、私に抱き着いたり撫でたりと言ったことを要求する頻度も増えてるから良い傾向にあると思う。



ちなみに、今回のことがきっかけでシルさんが私に甘える回数が増えたのは内緒。

ノア君とイブちゃんやアイリスさんは別だけどシルさんが恥ずかしそうにしながら恐る恐る私に甘える姿がすっごくかわいい。

そして、笑顔で両手を広げておいでと合図するとそっと私の元にやってきて抱き着いてくるようになりました。

対象はノア君とイブちゃんは当然として、シルさんも。(顔を赤くして抱き着いてくる姿はすごく萌える)





後に、その笑顔を外で振りまくな、犠牲者が増えるとシルさんに言われ、ノア君とイブちゃんから強く頷かれたんだけどどうすればいいと思う?

その笑顔と言われてもわかんないんだけど。

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