秋の大陸到着。そして増えた信者と下僕
--ヒナ--
私とシルさんのそれぞれの両親が似た者同士ということや、シルさんの相棒さんのことを色々話し合ったり、
シルさんを私が甘やかしてシルさんの心の支えになることが出来てうれしく思っているヒナさんです。
シルさんの立場的にどうしても弱音を吐くことが出来なかった。
その部分を私が偶然補うことが出来たらしくシルさんはすごくうれしかったんだとか。
・・でも、私からするとお世話になりっぱなしでそのお返しが少しでもできたことの方がうれしかったんですよ?
そして、そのことがきっかけになったのか、なれたのかわからないけど、シルさんを始め、ノア君とイブちゃんが自分から私に甘えるようになったことがものすごい大進歩。
この子たちは、所謂甘えたりと言った、普通の子供としての行動がわからない子たちだから、そうやって自分の意志で自分の気持ちに素直になって行動するようになれたことがすごい大進歩らしい。
シルさんはそうなって欲しくて必死になって頑張ってたようで、余計に私に感謝してるみたい。
で、私は私でこんなかわいい子たちが私に甘えてくれるんだからご褒美以外の何物でもなくて嬉々として甘やかしてます。
そのせいなのかな?
その後からなんだけど、私に料理のレシピや調理法やコツとかの教えを乞いにちょこちょこやってくる船上の料理人さんたちが出会った当初よりも私に対して減り下った態度の度合いが増したの・・。
そして、世間で下手に笑顔を見せるな犠牲者が増えるってシルさんが言うんだけど、どうすれと?
そう言われても制御無理だよ?
だって、笑顔とかって勝手に出てくるものだよね?
やろうと思えば、笑顔は作れるけど・・それでも無自覚に出ちゃうものは出ちゃうよね?
とりあえず気にしないことにしたら、絶対にシルさんやアイリスさんのそばを離れるなと、釘を刺されました。
で、その弊害になるのか、シルさんが私に甘えてる最中だったり甘えようとしたりするところで私をナンパしようとやってきた人や、私を小娘と認識して馬鹿にしようとやってくる人がちょこちょこいて、邪魔されてシルさんがブチギレました。(過保護さが増した?)
そして、相手がトラウマになるレベルでボコボコにし続けたから、シルさんがトラウマの対象となるか、下僕にジョブチェンジするという有様に・・。
気にしないことにしようそうしよう。
ちなみに、シルさん宛のナンパ等の人たち相手に関してはシルさん、ものすごく面倒くさそうに雑に蹴りを一撃入れて沈めるだけだったけど、それはそれでどうなんだろう?
まぁ、色々あったけど、結果的には私たちの邪魔をする人はいなくなりました。
正しく言うと、そういうちょっかいをかけようとする人を顔を真っ青にしながら全力で周りが止めてると言った方が正しいけど。
なんとなくシルさん目当てに近寄ってくる人が少ない理由がわかったような気がしたヒナさんです。
そんな中、私たちが使ってる部屋をノックする音がする。
すごく控えめに鳴ってるところから推測するに、船長さんっぽい気がする。
船長さんは私を尊敬しているのに加えてすごく気を使ってくれる気づかいさんなんですよ。
シルさんは私に甘え終わって気分がいいのでタイミングは良かった。
ドアを開けると予想通り船長さんだった。
「ん?どしたの。」
「申し訳ありません・・1つ可能であればお願いがありまして・・。」
「とりあえず何があったか言ってくれる?そこがわからないと私たちで解決できるかどうかがわからないから。」
「ありがとうございます。」
「とりあえず、立ち話は面倒だから入ってきなさいよ。」
「お邪魔します・・。」
とりあえず、花茶を出しながら話を聞く。
最近のお気に入りで透明なポッドを使った開花茶ってやつです。
すごく見るのも楽しければ香りも好きなんですよ。
そのため、透明なポッドを港町で見かけたときに速攻で購入しました。
ノア君とイブちゃんも楽しそうにした後、香りと味を楽しんでたのでよかったよかった。
それとお土産に、透明なポットと開花茶の元?をシルパパとシルママ宛に前に話した唐辛子と一緒に送ってますよ。
実は色々とちょいちょい送ってるんですよ。
それと同じくらい、シルさんのお家からいろんな荷物が来るのでほぼほぼ物々交換の親戚のようなことになってるわけです。
私たちが持ってるのは大抵そんな感じで揃ったものもあったりするのです。
そして、どこか幸せそうに花茶を堪能して落ち着いたらしく船長さんは話してくれた。
「実は、先ほど暴力沙汰が発生しまして・・」
「そんなのいつものことじゃないの?」
主にシルさんがブチギレてボコボコにして放置したりとか、よくあるのが訓練のやりすぎとかで。
「それならよかったのですが、所謂逆切れに巻き込まれたような状態なのです。」
逆切れでシルさんに助けを求めるって・・かなり被害者さん危険なんじゃ・・。
「は?何があったのよ・・って、とりあえず現場に行って治療が先ね・・。私たちに治療する薬か魔道具がないか聞きに来たってところでしょ?」
シルさんも私と同じ考えになったらしく事情を聞く前に被害者さんの手当てを優先するべきと考えたみたい。
船長さんは、シルさんの冒険者ランクもご実家がどこの誰なのかよく知ってるからこそシルさんに尋ねに来たんだと思う。
「はい・・その通りです。お礼は頑張りますので・・。」
「良いわよ。馬鹿やらかしたやつから徹底的に搾り取るから。」
シルさん・・正義感強い人だからそういう人大っ嫌いだからガチでトラウマを植え付けるレベルで徹底的にやるんだろうなぁ・・。
「そうしていただけると被害者の方のためになるのでありがたいです。」
「ヒナ、適当な料理頼める?他にも薬も用意しないとダメだけどあんたの料理が多分あった方がいいわ。」
「大丈夫ですよ。ちょっと待ってもらいますけど。」
「どのくらい?」
「10分くらいです。ちょうど作ってる最中だったので。」
「船長、そのくらい待てる?」
「大丈夫です。現地で応急処置をしたりしてくれているメンバーがいますので。」
よかった・・現場にそういうのが出来る人たちがいて・・。
「よし。じゃあ、ヒナの料理が出来たら向かうわよ。・・・あ、そのやらかした馬鹿は止めてるのよね?」
「はい。現地の冒険者の方々が止めてくださってます。多少激しめに。」
あれだろうなぁ・・・蹴りを入れて動きを封じたり縛り上げたりみたいな感じ・・。
「そのくらい問題ないわ。私がそれ以上に〆るから。」
やるだろうなぁ・・シルさんなら。
「はは・・」
で、
なんで私の料理がけがの治療に向いてるのかというと、こんなのをいつの間にか覚えてたからなんです。
【健康料理】
心を込めて作った料理を食べさせることで、体内のあらゆる毒を解毒し、
体の自己回復能力を一時的に向上させる。
多く食べさせても一口だけでも大して差はないが、幸せな気持ちになれるだろう。
つまり、精進料理のすごいバージョンみたいな感じ。
それにプラスして、体がもともと備え持っているケガを直そうとする力を高める効果もあるから、効果的ってこと。
後、シルさんが言う薬は、魔法薬と言われる特殊な薬で、ゲームで見たようなケガとかが表面から体内へという順ですごい速度でケガを治したりするすごい薬のことで、お値段次第でその効力は高まるらしく、シルさんの身分とか立場的に効果の高いものを持ってるんじゃないか?
という意味を込めて、シルさんのもとに船長さんはやってきたみたい。
それと関係ないけど、私のステータスに従魔の欄にアイリスさんがいるのは良いとして、
守護霊(2)
って、項目が増えてたのはなんだろ?
お父さんとお母さんがそばにいてくれてるのは知ってるんだけど、もしかしてどうやったか知らないけど守護霊としての力が強まったから出てきたの?
・・・・ちょっとだけ期待しつつ、一旦、気にしないことにして早くお料理完成させなきゃ。
・・よし
「出来ました!」
「急いだほうがいいだろうし、船長!アイリスにさっさと乗って案内して頂戴。」
「かしこまりました!」
私は作ったものを手早く弁当箱タイプのバスケットに詰めて、私のスキルで謎空間に仕舞うと、シルさんが素早く動けない私を鮮やかに脇に抱えて軽やかにアイリスさんの背中に飛び乗り(すごくかっこよかった)、
ノア君とイブちゃんが治療セットを準備して既にアイリスさんの背中の上に乗ってる(さすが・・空気の読める子たち)
そして、アイリスさんは船長さんが言う方向へ素早く移動してくれる。
走ってる最中にシルさんに伝える。
「私、お父さんから応急処置とかの対処法も習ってるので、被害者の方は任せてください。」
サバイバル術の一部としてしっかり習ってるんですよ。
「わかったわ。双子ちゃんは、ヒナのサポート。私がその馬鹿を〆るから。船長は、野次馬を黙らせてもらえる?アイリスはヒナたちを邪魔する馬鹿がいたら問答無用で殺れ。」
私のお父さんの規格外を知ってるのでシルさんは私を信用して任せてくれることに嬉しく感じる。
「ウォフ」
「お任せください。船員たちにも手伝わせます。」
((コクリ))
「アイリスさん!そこの大扉です!」
「ウォフ!」
軽やかに駆け抜けるアイリスさんに大きな扉の前でそわそわしながら待ってくれていた船員さんが船長さんと私たちを見て目を見開いてる。
「船長!?どういう登場ですか!?」
「そんなことは良い!早く扉を開けろ!!けが人の治療が先だろうが!!」
「はい!」
そして急いで扉は勢いよく開かれ、アイリスさんは飛び込んだ。
そこには、関節技を決めて動きを封じられてるチャラそうな男数名と、
血まみれで苦しそうに息をして倒れてるシルさんと年が近そうな男性と、泣きながらその男性を心配しながら片腕と両足を引きずってる女性
そして、そのけが人たちを添え木を止めたり血をぬぐったり魔法薬と思われる薬を怪我している場所に振り掛けたりしている冒険者と思われる数名(男女バラバラ)という状況だった。
シルさんは、勢いよくアイリスさんの背中から飛び降りながら、関節技を決められてる男性に向かって飛び降りた勢いのまますごい速度で走っていく。
シルさんの表情を見て、瞬時に察したそのチャラ男たちを止めていた人たちは速攻で道を開け、チャラ男から距離を取る。
「貴様らかぁぁ!!」
走る勢いそのまま飛び蹴り&空中回し蹴りを同時にチャラ男たちの首に容赦なく炸裂させ、地面にたたき込む。
ズドンという音と地響きが響く。
その後は、ガスガスと腕や顔面を蹴りを入れながら相手の反撃を一切許さずにふざけたことをするなという感じの説教をしながら蹴り続けている。
そして、そんな連中を足止めしていた人たちは何も悪くないのになぜか、無表情でひたすら説教しながら蹴り続けるシルさんに顔を青ざめながらへっぴり腰になった状態で距離を取っている。
・・はっ。
そうじゃなった。
鮮やかな蹴り技を見ている場合じゃなかった!
それよりも被害者さん!
私が治療セットをもって駆け寄る姿を見て瞬時に察した周囲の人たちが応急処理としながら道を開けてくれる。
「よかった!来てくれた!!」
「状況は!?」
「とりあえず、女性は骨折と打撲だけだったから添え木で固定して下級だが魔法薬を飲ませて安静にするようにした。男性の方がほぼ全身切り傷と打撲にあちこち骨折してる状態だ。こっちは中級の魔法薬を飲ませるよりケガに振りかけてる。」
魔法薬は飲まずに振りかけることでも効果を発揮します。
こうした見た目が明らかにヤバいときは振り掛けた方が手っ取り早いから。
でも、さすがだ。
しっかり応急処置されてる。
「さすがですね。」
そう言いながら、私の力じゃ大人の人を動かすのは無理なので指示を出して手伝ってもらい、地面が硬いからなぜか大量にシルさんが持ってた毛布を取り出して敷き、所謂回復退位の体勢になってもらい、体を冷やさないようにしたりしてあげつつ準備する。
その体勢は初めて見たらしく、私が説明すると感心してしっかり覚えようとしているようだった。
ぜひ次回機会があれば活用してどなたかを助けてあげてください。
「まぁ・・な。」
「けど、女性の方はとりあえずは絶対安静にすればいいとして、男性の方が血を流しすぎてて正直中級でも安心できないのが本音よ。」
「なるほど・・。とりあえず、これとこれを女性の方の骨折した場所に塗っておいてください。」
シルさんがしっかりとたくさんの薬を港町でお金を惜しまずに準備してくれたから塗り薬も飲み薬もたくさんあるんですよ。
下級から上級までしっかりと。
そして、どれも魔法薬なのでただの薬草を調合したお薬よりも効き目抜群で、用途用途に合わせた上級クラスなのです。
例えば打撲用とか切り傷用とかそんな感じでかなり細かく種類が分かれてたのはびっくりしました。
でも、そうやって細かく用途ごとに分かれているとそれだけ効果は他のいわゆる万能薬的なやつよりは効き目は強いらしい。
つまり、狭く深くか、広く浅くか・・みたいな感じなんだとか。
大抵の人は、お金の関係で広く浅くの方を選ぶんだとか。
じゃないと、いつどういうときにどういうケガになるかが判断がつかないのできりがないから。
シルさんの場合は、お金があったことと手元に余らせてもしょうがないという理由で結構広範囲で狭く深くのジャンルを片っ端から上級から下級まで幅広く大人買いしてたのが今回は幸いしました。
後は、シルさんのお家からも別途魔法薬は届いてるのでホントに潤沢なんですよ。
「わかったわ。」
「男性の方には、これとこれとこれを怪我した場所に塗って、これとこれを飲ませて下さい。」
男性の場合は、塗り薬だけじゃ足りないから飲み薬も。
造血薬も含んでるんですよ。
2人とも意識はあったから、どうにか自分の力で飲んでくれてよかった。
「後、これをゆっくりで良いので男性の方に飲ませてください。」
「わかった。」
所謂栄養ドリンクの親戚みたいなやつでこれも魔法薬の一種らしく、通常の飲み薬よりも効き目は弱いけど体への吸収性が高く持続性が高いんだとか。
普通の魔法薬が即効性があって短時間なら、これはゆっくりだけど持続性がある。
こういう時だと両方使った方が効果はてきめんなのです。
そして、さすが上級の魔法薬。
目に見える速度でケガがなくなっていく。
「さすが上級だな・・。」
「上級をあれだけ惜しみなく準備するとか・・さすが姉御だ・・。」
「天使様・・。」
なんか最後に聞こえたのは気のせい気のせい。
「あ、ついでにお二人ともこれを食べてください。」
女性はだいぶ落ち着き、男性はもうろうとした意識がだいぶ安定したらしくある程度返事が出来るようになった。
「えと・・良いの?」
「お金が・・・。」
「お金が欲しくて使ってるわけではないので、必要ありません。とりあえず食べてください。これは命令です。」
口が開いた隙を見て2人の口の中に押し込む。
「!?」
「!?」
喉に詰まらない程度にしてるから大丈夫。
モゴモゴさせながらも味を気に入ったらしくどこか嬉しそう。
ちなみに、ノア君とイブちゃんは気配を消して私が欲しいものをくれたり、傷口に汚れが入ったりしないように【浄化】魔法が付与された指輪で周囲をきれいにしたり、薬を渡したりしてと、大変活躍してくれたよ。
そして、被害者2名に食べさせたのも手伝ってくれたお駄賃代わりに、同じものをこの子たちにも渡してるので今はモグモグしてる。
「なんて強引な・・」
「容赦ない・・気持ちはわからなくもないけど・・。」
「だがそれが良い・・。」
「羨ましい・・。」
そして、ちょうど食べ終わったくらいで地味に回復速度が早まる。
全員「!?」
「食べただけでケガの治りが早くなった!?」
「お嬢ちゃん!?何を食わせた!?」
「天使様の御業だ・・。」
最後のセリフはスルーします。
「食べ物というより、私のスキルの影響ですね。」
他人のスキルについては詳しく聞くのはタブーと言われてるのであっさりと引き下がってくれた。
「スキルか・・」
「料理系の癒し系か・・珍しいスキルだな。」
「だが、こういう時に有効だな。」
そして、ようやく落ち着いたところでシルさんが相手をボコボコにしながら容赦なく有り金や装備品を巻き上げてる光景を横目に被害者さんたちを落ち着かせることもかねて周囲の治療を手伝ってくれた人たちを軽く雑談。
「ってさ・・それとは関係ないんだが、その料理・・何なんだ?見たことなかったが・・」
私のスキル効果の回復は抜きにして、初めて見た形状だったらしい。
「ちょっと研究中のもので、おやつと携帯食の両立化というか、兼用できるようなものを作ってまして。」
異世界の皆さんにわかりやすく言うと所謂、栄養補助食品ってやつです。
カロリー何タラとか、大豆がどうのとか言われるのが有名なタイプですね。
私の場合は、携帯食よりもカロリー摂取が簡単なおやつ代わりでよく食べてましたよ。
「へぇ・・。」
「確かに携帯食としてなら、持ち運びも便利そうだし何より食べやすそう。」
「それにおやつも兼ねてるなら普通に旨そうだな・・。」
「なんか遠目だが、細かくした何かが入ってなかったか?」
「何種類か研究中なんですけど、薬草とかドライフルーツとかお野菜とかを細かくして混ぜ込んでるんです。」
「なるほど。」
「組み合わせ次第では、味が変えられそうだから飽きることもなさそうだな。」
「人によっては、好みの組み合わせを探しても楽しそう・・。」
「野菜嫌いな子供でもこれなら食べてくれそうな気がする・・。」
「な、なぁ・・言い値で払うからそのレシピって売ってもらえたりするか?」
「あ、ずるい!私も欲しい!」
「レシピは、普通に無料で差し上げますよ?無償で広めていただいて構いませんし。」
「無料!?」
「マジで!?」
「太っ腹すぎないか!?」
「では、宛先をレシピと一緒に教えるので感想とか、アレンジしたレシピを思いついたりしたらギルドを経由して送ってもらえますか?」
後は、率先して助けたり手助けしてくれたりしていたお礼も兼ねてたり。(内緒)
「そういうことなら喜んで。」
「そのくらいお安い御用だ。」
「じゃあ、契約成立ですね。」
レシピを皆さんに配る。
「お?意外と簡単に揃えられるものばかりだな。」
「へぇ・・準備するものも変えれば大分大きく変えられるんだな。」
「私でも簡単に作れそう・・」
「凝り性なやつなら色々アレンジしてもある程度は失敗しなさそうね。」
「色々試せて面白そう・・。」
「・・・って、今更だが、嬢ちゃんってさ・・黒天使様か?」
どこまで私の二つ名は広まってるの?
「え、えぇっと・・・・そうですね、最近そう呼ばれてますね。」
えへっと苦笑いしながらそう答えると全員が絶句してる。
「・・マジか。」
「超絶美少女だとは思ってたが、まさかあの黒天使様だったとは。」
「見た目も天使様なら中身も天使様か・・。」
「でさ・・全員あえてスルーしてたがあっちでボコボコにされてる方は?」
「あぁ・・・賠償金とかもきっかり巻き上げて、ついでにトラウマもプレゼント中っぽいし、放置で。」
「だな・・。」
「触らぬ美女に災いなし・・」
「うんうん。」
全員見ないふりをすることにしました。
私も賛成です。
アイリスさんは、数歩くらい離れたくらいの場所で寝そべって待機してくれてます。
全員そっちも気づいてないという感じであえて視線を頑張って逸らしてるのがちょっと面白い。
「と、とりあえず、状況を改めて聞きたいんですけど・・大丈夫ですか?嫌だったら無理して話さなくてもいいですけど。」
落ち着いたらしく女性の方が教えてくれた。
「い、いえ!無償でこれほどいただいたんですからそのくらいはさせてください。」
ちなみに、この人たちにもレシピは渡してますよ。
まぁ、後で大したものじゃないけどって言いながら感想の紙と一緒に銀貨が数枚送られてきたけど。
タダでは気持ちが落ち着かなかったらしい。
そして感想はものすごくびっしりだった。
ついでに言うと、上級の魔法薬は軽く銀貨が十数枚はするから足りないのは確かだけど、それでも渡したかったらしい。
不足分は返そうとしている気持ちが通じたから入らないから、幸せな将来を歩めって返事を出しておいたそうです(Byシルさん)
話してくれた内容をまとめると、
被害者2名のお兄さんとお姉さんは、秋の大陸にあるお二人の故郷で結婚式を挙げるために帰省中だったそうな。
で、あのチャラ男さんたちがお姉さんをナンパしだし、お兄さんは強さに自信はなくてもお姉さんをかばい、お姉さんもおびえつつもしっかりと拒否したんだとか。
それに関しては、すごく正当な反応だったと手伝ってくれた人たちは賛同。
そしてあっという間にチャラ男さんたちが劣勢になり、いきなり逆切れした挙句、お姉さんを人質にしてお兄さんをナイフや拳、蹴りで攻撃し出し、人質を取られて手助けに入ることが出来ず、しばらくして
隙が出来たところで死角からお姉さんを救出し、急いでチャラ男たちの動きを封じ、
お兄さんとお姉さんの応急処置をするメンバーと、
船員を通じて上級の魔法薬をもってそうな人か、治療することが出来る人を探してほしいと人探しの計3チームに分かれて、
船長さんが私たちの元にやってきた
という状況だったらしい。
「・・・コケにされて、自分たちが誘ったら喜んでついてくるのが常識とか考えてる恥ずかしい人たちですか?」
「まさしくそれ。」
「俺らも同じ意見だった。」
「・・・女性の私の意見だけど、あれ・・かっこいい?石投げたら10回の内数回は当たりそうなくらいそこら辺に転がってそうな顔なんだけど。」
「男のこれが言うのもなんだが同感。」
「あれはどっちかというと、ただ派手なだけだろ。」
「金遣いが荒そうなチンピラだな。」
「自分に酔ってるタイプ。」
「うわ・・それは痛い」
やっぱり・・。
「けどまぁ・・あいつらは二度とそんな馬鹿なことはしないだろうよ・・。」
「あぁ・・・黒天使様の保護者・・容赦ねぇな。」
「ご両親もそろって正義感の強い人たちで、手を差し伸べるのが当たり前な方なので気に食わなかったのかと。」
「なるほど・・。」
「よくわかった。」
「あの・・黒天使様・・。」
「はい?」
もう呼び名に関してはスルーします。
きりがないから。
「あの保護者なんだけど・・・・まさかとは思うけど、舞踏爆弾魔?」
「知ってるんですか?」
「・・・マジか。」
「道理で強いわけだ・・」
「てか、強くて当然だろ・・上位ランカーだぜ?」
シルさん私が想像してる以上に有名人らしい。
「・・でさ。」
ちらっとアイリスさんに視線を向けながら・・。
「あの・・あっちのフェンリルに見える大きな狼は?」
「アイリスさんですか?」
「あいr・・・あぁ・・うん。」
「私の護衛です。」
「ウォフ」
当然ですと言いたげに私のそばでどや顔でお座りして控えてるアイリスさん。
全員そんなアイリスさんを見てなぜか頷いた。
「あぁ・・・」
「なるほど。」
「あれは、見間違うことないフェンリルの姿をした近衛騎士だ。」
タダの騎士さんよりも近衛騎士さんの方が対象を守り抜くことに特化してるんだとか。
主に王族等のすごい偉い人たちを守ることがお仕事ということもあって。
「よく言われます。私が貧弱なのでアイリスさんは心配で仕方がないらしく。」
「あぁ・・」
「わかる。」
「私もアイリスさんの立場なら同じ意見になるわね。」
それからですが、あーだこーだと雑談をしたりしている間に、被害者のお兄さんとお姉さんはリラックスできたらしく心に傷を作らずに済みました。
あ、この場にいる全員でおめでとうと言ってささやかながらお祝いしたんですよ?
私がおっきなケーキを作ってみんなで食べて、私のレシピを元に色々作ってくれた船員さんたちとで。
で、あのチャラ男さんたちだけど、シルさんが容赦なく精神的&物理的にボコボコにしたため、しっかりトラウマとして植え付けられてたよ。
そして、パンツ1丁以外すべて没収して、それを船が到着した港町で売り払い、その額を被害者さんたちに与えてた。
そして、あの被害者のお兄さんは実は、伯爵家の次期当主さんで、お姉さんは子爵家の次女さんだったらしく、家族仲も互いにいいこともありご家族がブチ切れて慰謝料を請求してチャラ男さんたちは真っ赤になったんだって。
まぁ、そんなこんなで秋の大陸に無事到着です。
お兄さんたちにお姉さんたち。
またね。
お薬ごとのランクについての軽い解説
ざっくりそのくらいかぁくらいの感じで理解してもらえればOKです。
下級の場合
⇒薄皮が張るくらい最低限の止血程度のため、無理をすれば傷が開くので応急処置&ないよりマシという認識が高い
中級の場合
⇒皮膚を塞ぎ、血管を修復までは治るが骨折や筋肉の裂傷までは無理だが、基本的にこのランクを持つメンツが大半
上級の場合
⇒筋肉の裂傷だろうが骨折だろうが治せるが、千切れた場合は無理だが、病み上がりなので無理したらダメ
⇒お金に余裕があれば欲しいが、無理して買った人の大半使い惜しむ場合が大半。
ちなみに、癒しの魔法の場合は最低限の威力でも中級の魔法薬レベルはあるので所謂ヒーラーは大人気で、熟練者ともなると上級の魔法薬くらいはこなせる様になる。
なので、どんな形でも癒し効果をもたらすスキル持ちが欲しい人は多いのでヒナさんは無自覚に注目度を上げてるという意味になります。




