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終末世界の解析者(リコンストラクター)~現代ダンジョンに滅ぼされた世界で最強クラフトスキルを駆使して送る、快適楽園スローライフ!~  作者: はむかつ
4章『俺の手を汚す必要はないよ』

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37 クロイワ最後の決戦

「て、テメエ!!」


 木造校舎に辿り着いた俺は、運悪く下駄箱を過ぎたところでお頭と鉢合わせしてしまった。

 そばにあった鉄の棒を拾い、こちらに向かって構えるお頭。

 出来れば会わずに目的を達成したかったが、仕方がない。


「そうか……この騒ぎ、全部おめえらの仕業だったんだな!」

「まぁ、そういうことになるのかな」


 魔獣の侵入は意図したことではないが、騒ぎを起こした張本人と言えば、確かにその通りともいえる。

 まぁそもそもの発端は『クロイワ連合』側の非になるが。


「タケル君はどこだ?」

「ああ? ふざけんな! 俺らの集落をめちゃくちゃにしやがって。オメエはブッころしてもコロし足りねえ……」


 お頭の目がバキバキに決まっている。

 人間、追いつめられるとここまで殺意を纏われるものなのか。


「死んで詫び入れろやゴラァッ!!」


 ガシャアァァァン!!


 お頭の振り回した鉄の棒が、空を切って窓ガラスを弾き飛ばす。


 ドガッ ガゴンッ!


 一心不乱に鉄の棒を振り回すが、この狭い施設の中では壁や物に当たるばかりで比較的避けやすかった。


「おのれ、ちょこまかと逃げやがって……」


 このままじゃ埒が明かない。

 お頭が振りかぶった鉄の棒を横に飛んでかわすと、スリンガーに羽矢を装着してお頭の足を狙って放った。


ビュッ ドガッ ガラン ガラン……


「ぐおぉぉぉ!」


 放った羽矢はお頭の足ではなく右手の腕に命中、鉄の棒を弾き飛ばした。

 絵面だけ見れば非常にマンガ的だが……まぁ結果オーライだろう。


「くそっ!」


 お頭がすぐさま踵を返し、長い廊下を走っていく。

 ある意味、この状況判断力の素早さがお頭のリーダーたるゆえんなのかもしれない。

 俺は一呼吸おいて冷静になると、お頭の後を追った。


 廊下の先には左手に3つ、教室が並んでおり、突き当りには『視聴覚室』と書かれたプレートが見える。

 右手は窓ガラスが配置されているが、全て開かないよう木の板が×の形で打ち付けられていた。

 俺は順番に教室を覗いていき、二つ目の教室のドアを開けた時だった。


ドオォォォォォン!


 大きい衝突音とともに、建物全体が揺れる振動に俺は転びそうになった。

 おそらく、グレート・ボアが木造校舎に突っ込んできたのだろう。

 見つかったら厄介だ。


 俺は急ぎ足で廊下を進むと、最後の『視聴覚室』の扉を開けた途端に鋭い殺気を感じた。

 感覚に従って首を引っ込める。


 バァァァン!


 破裂音とともに俺の顔があった場所を何かが掠め、×型の木の板に突き刺さった。


「ちっ、これを避けやがるのかよ……大した奴だなテメエは」


 ドアの隙間から中を覗くと、お頭が右手で銃を構えていた。

 銃口から一筋の煙が立ち上っている。

 そして左腕には拘束されるタケルの姿があった。


「タケルくん!」

「おっと、動くなよ、動いたらわかってんだろうなぁ」


 そう言ってお頭は右手の銃をタケルこめかみに当てた。


「うえぇぇぇん」

「うるせぇ! 耳元で泣くんじゃねえ! マジでぶっ殺すぞ!」


 タケルは鼻をすすりながらも声を上げるのをやめた。

 しかし目からは大量の涙がポタポタと垂れている。


「子供を人質に取るなんて、最低最悪だなお前は」

「へ、なんとでも言えよ、この世界、生き残ったほうが勝ちなんだよ! まずはその武器を捨てろ」


 下品な笑みを浮かべながら、お頭は銃砲でペチペチとタケルの首筋を叩いた。

 俺は大人しく腰に付けた羽矢とスリンガーを床に落とした。


「ようし、それでいい。いいか、少しでも動いたらコイツの頭に風穴があくぞ」

「お前の要求は何だ? なぜ子供を攫うなんて真似を……」

「ああ? お前は馬鹿か!? 奪ってなんぼの世界でなんで品行方正でいなきゃなんねえんだよ。お前らから全てを奪うために決まってんじゃねえか」


 お頭は右手の銃をくるくる回しながら言った。

 タケルは唇をかみしめ、泣かないようにするのが精いっぱいのようだ。


「お前らの拠点を明け渡せ。そうすればコイツは無傷で返してやる。聞けば何やらいい暮らしをしているそうじゃないか。お前らばかり、不公平とは思わんのかぁ?」


 その時、再び大きな衝突音と激しい振動が辺りを包む。


 ドオオオォォォォン!


 天井からほこりがぱらぱらと頭上に降りしきる。

 どこからか何かが焦げるようなにおいが漂ってきた。


「ちっ、松明の火が建物に燃え移ったか。ダラダラしてらんねえな」


 後ろに意識をやると、扉の向こうからパチパチという破裂音とともにわずかに熱気を感じる。

 ここは古い木造校舎だ、耐火設備なんてものはないだろう。

 火が回るのも早いかもしれない。


「どうせこの集落はもう駄目だ。あの時、お前らが来てから全部の歯車が狂っちまった。みんなお前のせいだ!」


 お頭は憤怒の表情で続けた。


「お前の作った拠点をありがたく使わせてもらうことにするぜ。女どもは全員奴隷で死ぬまでこき使ってやる。だがテメエはダメだ。ここで炎に焼かれて死ね」

「その前にタケルくんを離せ!」

「コイツを離すのはお前が死ぬのを見届けてからだ。ダッハッハ」


 じりじりとお頭は後ろに下がっていく。

 おそらく窓際にある非常用出口から出ていくつもりなのだろう。

 背中に感じる熱気がはっきりとわかるほど熱く感じてきた。


 その時、泣くのを必死に我慢していたタケルが、自分を掴んで離さないお頭の左手に思いっきり噛みついた。


「ぎゃぁ! い、痛てぇ!!!」


 ドダアァァン!


「うぐっ!」


 思わずタケルを壁に放り投げる。

 おそらくこれがお頭を仕留める最後のチャンスだろう。


「うおおおおおぉぉぉおぉぉお!」


 俺はこれまで上げたことのない雄たけびを上げ、お頭に突進していった。

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