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勇者にいきなり殺されかけた  作者: さつき


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27/40

美しい光景

 完璧じゃなくても、拙くても、下手くそでも何とか形にしていきたい。

 孤児院では一人だけ成功した子供がいた。

 シャルル・バトラー。実験に成功した彼は、醜い顔から、天使のように綺麗な顔になることになった。

 僕は、日に日に美しくなっていくシャルルを許せなかった。

 何で生き残ったのがルチアーノじゃなくて、お前なのか?

 ただの八つ当たりだとわかっていた。けれども、僕は彼を殺そうとした。

 その現場を一番、見られたくない奴に見られた。

 それがルーカス・ダナフォールだった。彼は、シャルルを庇うように剣をとった。

 そこで、僕はルーカスに向かって、シャルルを殺せば母親の秘密を教えてやるという取引をもちかけた。ルーカスはシャルルを殺すことを選んだ。

 本当の母親を知ったルーカスの絶望に満ちた顔は忘れられない。

「何だ。ジルに殺されて当然の女だな」

 全てを知った彼は、自分がジルを殺したことを後悔しているように冷たい声でそう言った。

 暗い色を宿したエメラルドの瞳は、ぞっとするくらい綺麗だった。


 やがてルーカスは、勇者となり町から出て行った。

 僕は、孤児院でルチアーノのいない日々を送り続けた。

 何年も生き続けた抜け殻のもとに、昔会ったことのある少女と少年が現れた。

 リア・ローレンス。

 初めて見たとき、驚いた。

 血のように紅い目に、黒い髪。

 その少女には、確かにジル・キャットの面影があった。

 絶対に似ていないと思っていたけれども、似ていたかもしれない。

 彼らは僕を殺すためにやってきた。

 僕の手に持っていた銃がルーカスの剣によってはじきとばされ、床に転がった。

 銃を取出し構えたリアが、僕をめがけて狙いを定めた。


 かつてルチアーノがジルに殺されたように、私は紅い目の少女に殺されるのか。


 銃声が聞こえると同時に強い痛みを感じた。

 力をなくしその場に崩れ落ちた。


 胸から赤い血が流れ出した。

 白いシャツを鮮やかに染め上げていく。


 意識が闇に飲み込まれていく。

 痛みが徐々に薄れていく。

 何もかもゼロになっていく。


 瞳を閉じかけていた僕は、ルチアーノ・ダナフォールがいるのが見えた。


 太陽よりもずっと輝いている、滝のように流れる金髪、陶器のように白い肌、サクランボ色の唇、朝露に濡れて輝く紫陽花よりもずっと鮮やかで綺麗なアメジストの瞳。

 少女は白いワンピースを着て立っている。

 僕が憧れていた姿のまま、少しも色あせていなかった。

 僕は魂を奪われたようにその光景に何もかも奪われた。

 これは、幽霊だ。

 僕の理想が形になっただけの幻かもしれないし、本当にルチアーノが僕を迎え手に来てくれたのかもしれない。

 僕にはどちらが正しい解答かわからなかった。


 ルチアーノが死にかけた僕に向かって手を伸ばした。

 その顔には天使のように柔らかく美しい笑顔を浮かべている。

 アメジストの瞳には僕が映っている。

 彼女が笑った。真珠のように白い歯が見えた。

 僕が憧れた少女はとても輝いていた。


 それは、とても孤児院では一人だけ成功した子供がいた。

 シャルル・バトラー。実験に成功した彼は、醜い顔から、天使のように綺麗な顔になることになった。

 僕は、日に日に美しくなっていくシャルルを許せなかった。

 何で生き残ったのがルチアーノじゃなくて、お前なんか?

 ただの八つ当たりだとわかっていた。けれども、僕は彼を殺そうとした。

 その現場を一番、見られたくない奴に見られた。

 ルーカス・ダナフォール。彼は、シャルルを庇うように剣をとった。

 そこで、僕はルーカスに向かって、シャルルを殺せば母親の秘密を教えてやるという取引をもちかけた。ルーカスはシャルルを殺すことを選んだ。

 本当の母親を知ったルーカスの絶望に満ちた顔は忘れられない。

「何だ。ジルに殺されて当然の女だな」

 まるで、自分がジルを殺したことを後悔しているように冷たい声でそう言った。

 暗い色を宿したエメラルドの瞳は、ぞっとするくらい綺麗だった。


 やがてルーカスは、勇者となり町から出て行った。

 僕は、孤児院でルチアーノのいない日々を送り続けた。

何年も生き続けた抜け殻のもとに、昔会ったことのある少女と少年が現れた。

 リア・ローレンス。

 初めて見たとき、驚いた。

 血のように紅い目に、黒い髪。

 その少女には、確かにジル・キャットの面影があった。

 絶対に似ていないと思っていたけれども、似ていたかもしれない。

 彼らは僕を殺すためにやってきた。

 僕の手に持っていた銃がルーカスのパンチによってはじきとばされ、床に転がった。

 銃を取出し構えたリアが、僕をめがけて狙いを定めた。


 かつてルチアーノがジルに殺されたように、私は紅い目の少女に殺されるのか。


 銃声が聞こえると同時に強い痛みを感じた。

 力をなくしその場に崩れ落ちた。


 胸から赤い血が流れ出した。

 白いシャツを鮮やかに染め上げていく。


 意識が闇に飲み込まれていく。

 痛みが徐々に薄れていく。

 何もかもゼロになっていく。


 瞳を閉じかけていた僕は、ルチアーノ・ダナフォールがいるのが見えた。


 太陽よりもずっと輝いている、滝のように流れる金髪、陶器のように白い肌、サクランボ色の唇、朝露に濡れて輝く紫陽花よりもずっと鮮やかで綺麗なアメジストの瞳。

 少女は白いワンピースを着て立っている。

 僕が憧れていた姿のまま、少しも色あせていなかった。

 僕は魂を奪われたようにその光景に何もかも奪われた。

 これは、幽霊だ。

 僕の理想が形になっただけの幻かもしれないし、本当にルチアーノが僕を迎え手に来てくれたのかもしれない。

 僕にはどちらが正しい解答かわからなかった。


 ルチアーノが死にかけた僕に向かって手を伸ばした。

 その顔には天使のように柔らかく美しい笑顔を浮かべている。

 アメジストの瞳には僕が映っている。

 彼女が笑った。真珠のように白い歯が見えた。

 僕が憧れた少女はとても輝いていた。


 それは、とても美しい光景だった。



 読んでくださりありがとうございます。

 救いのある絶望は好きです。

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