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勇者にいきなり殺されかけた  作者: さつき


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16/40

その男、最低

 (#^.^#)

 私がいる場所は、魔王が前に住んでいたお城らしい。あたりでは魔物がうじゃうじゃしている。

 ロディは、私を人質にした割には手荒な扱いはさせなかった。

 人質生活ってなかなかいいかもしれないと思うほど、素敵な生活を用意してくれたのだ。

 おいしいご飯、ふかふかのベッド、私の住んでいた部屋の5倍くらい広い個室……何もかも最高だった。

 そしてたくさんの女の子が、まるでメイドのように私の世話をしてくれた。

 そうだ。ロディの周りには、たくさんの女の子がいた。

 彼女たちは、ロディの駒であるかのように彼の命令通り動いた。こんなにたくさんの女の子とは一体どういう関係なのだろうか?今度聞いてみることにしよう。

ロディは、暇人なのか知らないけれどしょっちゅう私の部屋に来ている。そして一緒に紅茶を飲みながらお菓子を食べるのだ。人質の扱いがおかしくないか?と思いつつも、まあいいやという気分になりがちである。

「そういえば、コーネリアとあなたはどういう関係なの?」

「ああ、あの子は俺の彼女だ」

 ロディは、しゃあしゃあと答えた。やっぱりイケメンだし、彼女くらいいるのか。

「じゃあ、ダイアナは?」

「あの子も、俺の彼女だ」

 彼は、平然で答えた。

「シャーロットは?」

「あの子も、俺の彼女だ」

 ……。

 私は、一瞬、言葉を失った後、冷たい瞳で彼を見た。

「あなたが最低最悪な浮気男であることがよくわかったわ」

……小さい頃は、あんなに純情そうだった少年がこんなにエロくなってしまった。

 何か地味にショックだ。

「これには深い事情がある」

「言い訳無用よ。あなたは有罪よ」

 これが裁判だったら、今すぐ死刑になるくらいである。

「気が付いたら、ハーレム王になっていただけだ。俺を愛した女の子達が勝手に俺をハーレム王にした。俺は悪くない」

 こいつマジでカスだな。これほどカスになれる人間も珍しいかもしれない。

「どれくらいの女の子があなたのメンバーなの?」

「多い時は、20人以上はいたな」

 すごい。孤児院にいた時の一つのクラスの人数くらいだ。

「よく刺されて死ななかったね」

 奇跡だとしか言いようがない。憎まれっ子世に憚るという言葉は本当だったのだろうか。

「だって、ハニー達はみんな俺のことを愛しているからね」

「そういうあなたは、彼女たちをどう思っているの?」

「欲望処理の道具かな。最近の悩みは、ハーレム要員が多すぎて名前を覚えられないことだ。でも、名前を忘れたときはハニーと呼んで誤魔化している」

「最低ね」

「何を言っている?男なんてみんなそんなものだよ」

 もし彼の言葉が本当ならこの世界は、恐ろしく腐っていることになるだろう。

「ひどい。今すぐ土下座して世界中の男性に謝るべきだわ。モテない男があなたの言葉を聞いたら、ぶっ殺されるでしょうね」

「その時は返り討ちにしてみせる」

「いや、もうそこまで最低ならぶっ刺されて死になよ。それが悪党の末路というものでしょう」 

「嫌だね」

 ロディは、ふてぶてしく呟いた。

「大体、そんな風にハーレムを作って何をしたかったの?」

 ハーレムは男の夢とか理想郷とか聞いたことあるけれど、私にはとてもめんどうくさいものにしか思えなかった。女の子が自分を求めて争うことで、自分の存在理由でも示したかったのだろうか?

「別に、ハーレムを作りたかったわけじゃない。気が付いたら、ハーレムができていた。

 俺を巡って修羅場を繰り広げていた女の子が、『ロディオンが私のものにならないなんて耐えきれない。だったら、みんなで共有しましょう』と言い出したことがきっかけで」

「モテる男は辛いね。でも、ロディに道徳精神があれば誰ともつきあわないはずでしょう」

「女の子を襲って性液を摂取しないと生きられない体質だから仕方がない」

「何その体質!」

 まるでどこかのエロ小説の設定みたいだ。こんなあほらしい設定を持った人物がこの世に存在していたなんて。

「困ったことに俺のセックスには中毒反応があるみたいだ。何人かの女の子が中毒少女を引き起こし、精神が病んでしまったことがある。涙を流し、叫び、狂いながら俺のことを求めていたな。かわいそうだとは思ったけれど、俺はその時、別のかわいい女の子達といちゃついていたけれども」

「お前、最低すぎるだろう!」

 人間はここまでクズになれるのかと感動し、自分がとても素晴らしい人間に思えてくれるレベルだ。

「一か月くらい突き放すと、元に戻るらしいからある意味突き放した方がいい」

「ああ、じゃあもういっそ全ての女の子を突き放せばいいのに」

「だけど、そうしようとすると、みんな俺なしでは生きられないって泣き叫ぶ」

 ……かわいそうに。こんなクズ男に人生を捧げながら生きていくのね。

 女は悲しみを乗り越えて強くなる生き物よ。がんばれ。

 私は、心の中で彼女たちにエールを送った。

「それにみんないい子達だ。突き放せないよ。俺に貢いでくれるし」

 そんないい子達にさらりと悪逆非道なことをしていることをロディは白状した。

「女に貢がせているの?」

 私は、ゴミでも見るかのように彼を見た。

 しかし、ロディは肩をすくめながらしゃあしゃあと答えた。今すぐ肉片が残らないくらい悲惨に爆発してしまえばいい。

「ああ、俺のディープキス一回オークションをして、10万円儲けたこともある」

「詐欺だ……」

「こんな絶世の美少年とキスできるから、10万円なんて安いものだ」

「絶対にぼったくりよ」

「リアとだったら、無料でキスしてあげるよ」

「お断りします」

「いや、君には拒否権がない。キスどころじゃない。一緒に寝よう。

うっへっへっへっへ、今からお前を襲ってやる」

 まるでどっかのエロ小説の悪役みたいだ。そういう人物は大抵デッドエンドを迎える。

「そんなことしたら、後でルーカスに首をぶっ飛ばされるわよ」

「最近思うけど、一回リアを抱いたらもう俺は死んでもいいかもしれない」

 きっとこいつは、こういう甘いセリフで女の子を騙しながら生きていたのだろう。

「そんなこと言わないでよ。あなたはカスだけど、いなくなったら寂しくなるから」

 そう言ったとたん、ロディの顔が真っ赤になった。顔どころか、耳までリンゴのように真っ赤になった。

 怒らせてしまったのだろうか?しかし、いつもはもっとひどい言葉をこいつに向かって言っていた気がするのだけれども……。

「くそ……。これだからリアはずるい」

「はあ?」

 言っていることが意味不明だった。私は何かずるいことを言ったのだろうか?

 こいつがただ言い間違えただけだろう。

「と、とにかく俺と寝たら気持ちよくなれることは保証する。唾液も含めて、体液は全部、媚薬だからな」

 エロい。エロすぎる。今すぐこんな男、燃やすべきかもしれない。

「そっか。あなたって淫魔だからか」

「握手しただけでも女の子が発情してしまった時は驚いた」

こいつと寝たら精神どころか、魂まで壊されるだろう。

 今すぐゴミと一緒に廃棄処分してしまいたいレベルの恐ろしい男だ。

「お願いだから私にそれ以上近づかないで」

「そう言われると近づきたくなるな」

 彼は獲物を見つけた鷹のような目で私を見ていた。


 かわいい曲は癒されるな。

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