再び動き出す純粋
ノワールについてです。
しかし、ノワールの夜の夢は終わっていなかった。
終わっていれば、彼の人生はとてもロマンチックなもので終わることができただろう。
彼はきっとクリスティーナ以外の人にも物にも心を揺さぶられることなく、生涯たった一人の人間を心から愛しぬいた人として終えただろう。
しかし、ある日、彼は出会ってしまった。
彼は、クリスティーナを見つけたのだ。
いや、違った。クリスティーナにそっくりな少女を見つけたのだ。
そして再び彼の心は動き出した。
生気のなかったビー玉のように青い目が、星屑を埋め込んだようにきらめいた。
ああ、クリスティーナがいた。
死んでいなかったのか。
ようやく見つけた。
髪の色と目の色が変わっている。染めたのだろうか?ただの突然変異なのだろうか?
ノワールの頭の中では彼女が別人という選択肢はなかった。
ずっと会いたかった。
きっと離してあげられない。
もう冷たい少年はどこにもいなかった。
僕、ノワール・ブラックは、久しぶりにクリスティーナの墓参りに行った。
いつも通り、本屋で発売されていた新しいBL小説も忘れないで持ってきた。
ルーカスのリアに対する思いはまっすぐで純粋だ。
彼は一人の人間を真剣に愛している。他の人なんて目に入っていないのだろう。
だけど、僕は違う。
リアをクリスティーナの代用品にしていただけだ。もしも、クリスティーナが生きていたら僕はダイアナという少女に興味すら持たなかっただろう。
リア・ローレンス。
最初はクリスティーナそっくりの彼女の容姿に惹かれた。
リアがクリスィーナではないとわかっていても、自分の中の孤独や悲しみを埋めるように少女を求めてしまった。
君の存在は甘美な拷問であり、ソドムのリンゴみたいなものだ。
僕は、クリスティーナに対して純粋でいたいと願うのに、リアに惹かれていく。いつしか傍にいるリアが思い出の中の少女よりもずっと輝いて見えてしまった。
それをどうすることもできない。
だから、嫌いになろうとした。
クリスティーナの居場所を奪ったリアを憎もうとした。
だけど、そうしようとすればするほどリアを好きだという気持ちがあふれ出てしまう。
「ごめん、クリスティーナ。
僕はリアが好きだ。
君だけを愛すことができなくて……ごめん」
お墓のクリスティーナは、何も答えてくれなかった。
いつか勇者の過去も書くつもりです。
でも、その前に一人、どうしても書きたい男がいます。




