表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/15

第92話:空を覆う番人

本当に守るべきものは。


命か。


街か。


それとも。


誰かとの約束なのか。


その答えは、

いつも戦いの中ではなく、

心の中にある。

ゴォォォォォ……


低い唸り声のような振動が空を震わせる。


厚い雲がゆっくりと裂けた。


姿を現したのは。


巨大な飛行兵器だった。


翼は街一つを覆うほど巨大。


無数の砲塔。


白銀の装甲。


まるで空そのものが敵になったようだった。


教育係の顔から血の気が引く。


「識別完了……」


震える声が漏れる。


「旧制圧兵器……」


「《アーク・ガーディアン》」


失敗作が舌打ちした。


「冗談だろ……」


E-01は静かに空を見上げる。


「旧世界最終防衛兵装」


「脅威レベル……最上位」


主人公はため息をついた。


「相変わらず、でけぇ敵ばっかだな」


その一言に。


失敗作は思わず笑った。


「そこ笑うところかよ」


しかし。


巨大兵器は攻撃しない。


ただ。


街全体を見下ろしている。


老人――大富豪が静かに前へ出る。


「あれは命令を待っている」


主人公が振り向く。


「命令?」


「最後の管理者の認証だ」


教育係が息を呑む。


「まさか……」


老人はゆっくり頷く。


「私だ」


静寂が訪れる。


主人公は驚きながらも。


責めることはしなかった。


老人は苦く笑う。


「この街を守るため」


「私は最後まで責任を捨てられなかった」


主人公は空を見る。


巨大兵器。


眠る街。


そして。


怯えながら空を見上げる子どもたち。


「……終わらせよう」


老人が主人公を見る。


「本当にいいのか」


主人公は笑った。


「守るための力なら」


「誰かを怯えさせ続けるために残しちゃ駄目だ」


その言葉に。


E-01が静かに主人公を見る。


「記録」


「守るとは、支配ではない」


教育係は微笑んだ。


「また一つ、学びましたね」


その瞬間だった。


空の巨大兵器が赤く発光する。


【管理者認証を確認】


【新規対象を検索】


【認証不能】


【脅威判定開始】


低い警報音が響く。


ゴォン……


巨大な主砲がゆっくりと街へ向いた。


老人の顔が青ざめる。


「まずい!」


「私の認証が切れ始めている!」


主人公は前へ出た。


「なら」


黒糖飴を握り締める。


「俺たちで止めるしかねぇな」


失敗作が拳を鳴らす。


「待ってました」


教育係は端末を構える。


E-01は静かに一歩前へ出た。


「戦闘を開始する」


しかし。


主人公は首を横に振る。


「違う」


全員が主人公を見る。


主人公は巨大兵器を見上げた。


「あいつも命令だけで動いてる」


「だったら」


「まずは話しかけてみる」


失敗作が目を丸くする。


「……お前、本気か?」


主人公は笑う。


「ああ」


「あいつも昔のお前らと同じだろ」


E-01はその言葉に、小さく目を閉じた。


「……肯定」


空を覆う巨大な番人。


そして。


一人の男が。


武器ではなく。


言葉を持って歩き始めた。

第92話でした。


この作品は戦いがあっても、「倒すこと」が目的ではありません。


主人公が最初に選んだのは、武器ではなく「対話」。


これは第1話で黒糖飴を守った時から、一度も変わらない主人公の生き方です。


次回、大富豪が隠していた「最後の約束」と、旧世界最大の防衛兵器の真実が明らかになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ