表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/5

後編②幼馴染

 

 一方その頃、王都では、ビリーとニコラが苦しんでいた。


 王都の迷宮は厳しかった。敵は強く、探索者の質も高い。

 《赤狼》のメンバーも容赦がない。


「遅い!」「判断が甘い!」

 叱責が飛ぶ。


 最初、ビリーは食らいつこうとした。

 だが次第に気づいた。

 今まで自分たちが評価されていた理由。その下地はジェシカとマークが作ってくれていたこと。

 荷物管理、資源配分、地図記録、薬草知識、危険察知。

 ジェシカとマークがやってくれていたことに、どれだけ支えられていたか。自分たちが、それにどれだけ甘えていたか。


 ガルドも途中で察した。だが彼は見捨てなかった。

「連れてきたのは俺だ」

 だから鍛えた。厳しく。何度も。



 ビリーもニコラも、続く毎日に心も身体も擦り減っていった。宿で動けなくなる日もあった。


「……しんどいね」

 ニコラがぽつりと言う。

「ああ」

 ビリーは天井を見る。


 ふと、ジェシカが料理を作っている光景が頭に浮かぶ。

 マークが黙って装備を直していたことを思い出す。


 命令なんてしてない、お願いだってしてない、

 やって当たり前だなんて、思ってもない。

 でも

 二人がしれくれていることを、何にも考えずに受け取っていた。

 受け取るだけだった。


 二人が王都に来なかった理由が、なんとなくわかった気がした。


 見捨てられたんじゃない。

 きっと、あのまま四人でいたら、ずっと分からなかった。だから二人は離れたんだ。



 ビリーと二コラは、一年間、王都で頑張った。


 ジェシカのくれた小さな手帳には、今までの探索で得た心得とノウハウ、二人の好きな料理のレシピがびっしりと書かれていた。

 それを見ながら、毎日二人で必死に王都の生活にしがみついた。


 ジェシカとマークが応援してくれている。

 それが二人の支えだった。



 ―――――



 一年後、ビリーとニコラは話し合った。


「もうやれるだけやった。無理しなくていいと思う」

 ニコラが言う。

「俺もそう思う」

 ビリーも頷いた。


 《赤狼》を抜ける時、ガルドはため息をついた。

「まあ、お前らには王都は早すぎたな。でもまぁ、よく一年耐えたよ」


 二人は王都近くの小さな町へ移った。アルディアへは戻らなかった。

 戻れば、また甘えてしまう気がした。

 だから、自分たちの足で生きたかった。


 ビリーは町の兵士になった。真っ直ぐで体力のあるビリーには向いていた。

 ニコラも町で子どもたちに読み書きを教える仕事を始めた。


 そして二人は結婚した。

 小さな家。子どもの笑い声。

 派手ではない、でも今の二人に合った、穏やかな幸せだった。


 ジェシカのくれた手帳はだいぶ薄汚れて、二コラの書き込みだらけになってしまったが、今でも二人の支えになっている。



 ―――――



 三年後、アルディアの《薬草亭》に、一通の手紙が届いた。

 差出人を見た瞬間、ジェシカは目を見開く。


「ビリー……!」

 マークとともに、手紙を開けた。

 

 手紙には、不器用な文字でこう書かれていた。

『あの時はいろいろごめん。本当にありがとう。

 今さらだけど、俺たちすごく甘えてた。

 でも、あの頃一緒にいた時間は本当に楽しかった。

 そっちは元気か?』


 ニコラからも追伸があった。

『ジェシカ、たくさん助けてくれてありがとう。

 今になって分かることが、いっぱいあります。

 またいつか、会える時がきたらうれしいな。』


 ジェシカは少し泣いた。マークは笑う。

「よかったな」

「うん……」


 そこから文通が始まった。子どもの話。仕事の話。小さな失敗。

 離れていても、繋がっていた。



 ―――――



 さらに二年後、ジェシカとマークは子どもを連れて、ビリーたちの町へ旅行に行った。


「久しぶりー!!」

 ビリーは昔と変わらない大声で走ってきた。でも少し落ち着いた顔をしていた。


 ニコラは子どもを抱きながら笑う。

「ジェシカー!」


 二人は抱き合った。昔みたいに。


 ジェシカと二コラが料理をしてる横で、子どもたちが一緒に遊んでいる。マークとビリーが酒を飲みながら笑う。夕暮れの食卓は賑やかだった。


「なんか、不思議だね」

 ニコラが言う。

「昔はこんな未来想像してなかった」

「うん」

 ジェシカも頷いた。


 村を出たあの日、こんな穏やかな未来が来るなんて思わなかった。

 傷ついたこともあった。苦しかったこともあった。でも、全部が今に繋がっている。


 夜、宿へ戻る道で、マークがジェシカの手を握った。

「幸せ?」

 ジェシカは笑った。

「うん」

 迷いなく答えられた。


 遠くで子どもたちの笑い声がする。

 暖かな家がある。大切な人たちがいる。それだけで十分だった。



 その後も、手紙のやり取りは続いた。

 時には会いに行き。時には贈り物を送り合う。

 それぞれ違う場所で。違う人生を歩きながら。

 みんな、自分たちなりの幸せを見つけていた。


 そしてそれは、長く穏やかに続いていった。




ビリーは本当になんにも考えていなかった。

二コラはビリーが好きだったので、ビリーが料理をすっごく褒めたのをジェシカが作ったって言えなかった。アルディアでは基本どこでも4人一緒。2人になれることが全然なくてあの日ビリーが宿で自主トレするって言ってたので具合悪い振りした。

ビリーも二コラもいいこです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ