実験開始!
「さぁ、それでは早速魔力化してくれないか?」
「了解っす」
早速、実験が始まる事となった。ソニアさんに魔力化するよう指示されたので、指示に従い魔力化を施す。
「疾風迅雷!」
とりあえず、好きな風属性と雷属性の魔法を体に纏い魔力化を施す。バチバチと電気が迸り、周囲に風が吹き荒れている。
「ふむ……これが魔力化か。少し攻撃するが良いか?」
「バッチこーいっす!」
「では遠慮無く……光線!!」
ソニアさんが魔法を放ち、俺の腹部めがけて光線が飛んでくる。物理なら無効化出来るのだが、魔法は普通に効く。だけど、避ける事を意識していれば、魔法も無効化できる。
「ほう、やはりすり抜けるか! 面白いな!! 次行こう!」
ソニアさんが放った魔法は俺の身体をすり抜けた。なので、俺は無傷である。その結果を見てソニアさんはある程度予想していたにも関わらず、はしゃいでいた。
「では、魔法陣を描くから少し待ってくれ」
「ういーっす!」
ソニアさんは今自分が立ってる場所に魔法陣を描き始める。どんな魔法陣なのだろうかと覗き込んでみるが、さっぱりわからない。
「完成したな。今度はここに立ってくれ」
「ういういーす!」
魔法陣を描き終わったソニアさんは俺に指示を出す、指示された通りに、魔法陣の上に立つ。上に立っただけでは何も起きない。
「魔法陣起動! 魔力ジャミング!」
ソニアさんがそう唱えると俺の身体に異変が起こる。魔力化が保てなくなる。迸っていた電気も周囲に吹き荒れていた風も止んでしまい、完全に元の状態へと戻る。
「ぐっ……」
「くらえ、風球!!」
「うげっ!!」
腹部に風球が直撃してしまった。思い切り、後ろに昏倒してしまう。しかし、何故魔力化が上手く保てなかったのだろうか。
今の魔法結構な威力あったんだけど?
くらえ! って叫んでたし……
ソニアさん笑ってるし……
ジト目でソニアさんの方を睨む。ソニアさんも気付いたようで、咳払いをしてこちらに来る。
「成功のようだな」
「あの魔法陣はなんだったんすか?」
「あれは魔力の流れを乱す魔法陣さ」
「魔力の流れをですか?」
「そう。あそこに立てば、どんな魔法使いだろうと弱体化するのさ。無論、君は魔力そのものになったんだから余計にキツかったわけだよ」
「おお、なるほど! それよりさっき、思いっきり、くらえ! って叫んでなかったすか?」
「何を言う。君の勘違いだろう」
誤魔化してくるソニアさん。明後日の方向を向いているから嘘なのが分かる。別に怒ってはいない。武神のおかげでそこまでのダメージはなかったから。
「では、どんどん実験と行こうか!」
とことん付き合いますか……
結局、そのあとは酷い物だった。武器創造は、どこまで出来るのかと言われて同じ武器ばかりを何個も造った。三桁先からは数えるのをやめた。
しかも、神器まで造らされた。勿論、同じように何個もだ。
様々なことを質問されて造らされた。おかげで魔力が尽きるまで大変だった。魔力を使い果たして倒れる。
「魔力を回復させてやろう。今度は魔法薬の実験体だ」
「マジっすか?」
「ああ。試作品だが、まぁ……問題はない」
それ絶対何かあるからね?
もう色がおかしいもん!!
市販で売ってる奴と色違うもの!!
「グイッと行け!」
飲み会で一気飲みをさせられる気分だ。ガストンさんとしかやったことないけど、不思議と拒めない。
「……ん!!!」
一気に瓶を傾けて口に近づける。ゴクゴクと勢い良く喉を鳴らして、飲んでいく。その回復薬らしき液体を飲み干す。
あれ、意外と美味い?
これ成功じゃね!?
「ソニアさん! これ美味しいっす……よ……?」
なんだ……これ……
か……ら……だ……が……お……も……い?
「ふーむ……やはり、メドゥーサの種は使うべきではなかったか?」
「な……ん……す……か……そ……れ?」
「石化効果を持つ毒草の種だ。毒草だが魔力回復にはもってこいの成分が含まれているんだよ」
「そ……ん……な……も……の……」
ここで俺の意識が途絶える。正確には石化したらしい。
「死ぬかと思ったっすよ!!!!」
「アッハッハッハッハ!! 生きてるから安心したまえ」
「笑い事じゃないっすよ!」
「ショウ。落ち着いて」
「でも、ララちゃんも俺の石化を見て笑ったでしょ!?」
「そ、そそんなことは無いよ?」
「むっちゃ動揺してるやん!!」
そう、俺が石化から戻ったらララちゃんが目の前にいて涙目だったのだ。
最初は俺の事を心配して泣いてくれたのかと思ったら、ソニアさんが笑っていたと教えてくれた。
ちなみに俺達は食堂で飯を食べている。チルさんも帰ってきているので四人で食卓を囲っている。
「私も見て見たかったです」
「だそうだ! ショウ、もう一度やってみるか?」
「断固拒否っす!!」
「そう言わずに~」
そのあとは適当に談笑して風呂に入って部屋に行き眠った。こうして初の実験体としての一日は終わった。
改訂済み




