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恋ではない
数日後。
男は一人の人間を連れてきた。
女は笑って挨拶した。
男はほとんど口を挟まなかった。
見るために連れてきたのだから。
ほんの僅かに。
女の目が変わった。
来た。
男だけが知っている。
喰っている。
今、この女は。
目の前の人間を喰っている。
喰っているのは自分ではない。
それなのに。
身体の奥が熱い。
もっと。
見たい。
女が満たされていくところを。
そして。
満たされたはずなのに、また欲しがるところを。
男の指先が震えた。
完成などしない、、、、この女は。
喰えば、また空く。
満たされれば。
また、その向こうを欲しがる。
終わらない。
なら、ずっと見ていられる。
店を出たあと。
「楽しかったですか?」
「俺に聞く?」
「ずっと見てたでしょう」
「見てた」
「気持ち悪いですよ」
「知ってる」
女が笑う。
「次は?」
「もう次?」
「お腹空くので」
男の身体の奥が、また震えた。
「知ってる」
自分を見てほしいとは思わない。 自分だけを選んでほしいとも思わない。
むしろ。
もっと会えばいい。 もっと喰えばいい。 もっと遠くへ行けばいい。
そのためなら。
自分が連れてくる。
恋ではない。
女を自分のものにしたいわけではない。
女が喰うところを。
ずっと。
見ていたい。
男は笑った。
その笑みが何に近いのか。
まだ。
自分でも知らなかった。




