第一話 NPCは「なんかパないキャラ」でも「ノーパンキャラクター」でもない
これは比喩ではない。文学的表現でもない。私は文字通り、村の外れの地面に横たわっている。朝から。昨日も朝から倒れていた。おそらく明日も朝から倒れている。直立した記憶がない。これは私の問題なのか、設計の問題なのか。考えるまでもなく設計だ。そうであってほしい。そうに決まっている。
私はNPCである。
正確に言えば、クエストNPCである。さらに正確に言えば、ゲームの展開に何ら影響を与えないクエストNPCである。この三段階の正確さの中で、私の存在価値は階段を下るように小さくなっていく。一段目で既に十分小さかったのに、三段目まで律儀に下りきる必要があったのか。設計者に問いたい。問えないが。
ノンプレイヤーキャラクターの略だ。決して「なんかパないキャラ」ではない。間違っても「ノーパンキャラクター」ではない。断じてない。
正しくは「プレイヤーではないキャラクター」だ。プレイヤーでは、ない。
パくもなく、ノーパンでもなく、ただ——プレイヤーではない。存在はしている。キャラクターではある。しかしプレイヤーではない。考えてみれば、三つの解釈の中で正解が最も傷つくというのは、どういう設計なのか。「なんかパないキャラ」の方がまだ良かった。少なくとも「パない」という形容詞がついていた。私には何もついていない。ただ「ではない」とだけ書いてある。
否定から始まる自己紹介を、私は生まれて初めてではなく、生まれた瞬間から続けている。
私の仕事は一つだ。薬草を頼むことである。
薬草はそこにある。私の視界の中に、はっきりと見えている。あの茂みの中に三本。誰に摘まれることもなく、雨風にさらされながら、今日も健気に育っている。私には足がある。両足、ちゃんとある。機能しているかどうかは分からないが、少なくとも外見上は存在している。しかし私はここに倒れている。足があるのに動けない。薬草が見えるのに取れない。これを設計と呼ぶ者がいる。私はそれを呪いと呼ぶ。あるいは精密な嫌がらせと呼ぶ。
そういうわけで私は、誰かに頼まなければならない。
誰かとは、旅人のことだ。この村を通り過ぎていく、希望に満ちた者たちのことだ。私はここに倒れながら、彼らを待つ。待つというより、待つしかない。待つしかないことを、私は完全に理解している。理解していることが、余計につらい。
来た。
また来た。
金髪だ。今度も金髪だ。なぜ勇者というものは全員金髪なのか。製造コストでも削ったのか。それとも金髪でなければ勇者になれない条約でも結ばれているのか。私が知らないだけで、このゲームには「勇者金髪条約」が存在するのかもしれない。であれば私が口を挟む余地はない。条約は条約だ。尊重しよう。尊重するが、せめて色くらい変えてほしい。三百人連続で金髪は、いくらなんでも創造性に欠ける。
あの目だ。
希望に満ちた目。きらきらしている。世界の輝きを全部吸い込んだような、嘘くさいほど真っ直ぐな目。私はあの目が苦手だ。いや、正確には、あの目が羨ましくて仕方がないので、苦手ということにしている。羨ましいと認めてしまうと、私の残り少ない尊厳が一つ消えるからだ。
あの目をした者が、何人この村を通り過ぎていったか。
私は知っている。本人だけが知らない。
近づいてくる。やはりこちらに来る。村の外れに倒れた私を、新鮮な目で発見している。そうだ、お前にとっては初めてだろう。私にとっては何百回目かだが。お前の「初めて」を私は何百回経験してきた。それがどういうことか、説明してやりたい。しかし私の口からは、決まった言葉しか出てこない。
「薬草を取ってきてくれないか。礼はする」
私の口が言う。
完璧だ。正確だ。一字一句、違わない。私の心の中で何が起きていようと、外に出るのはこの十五文字だけだ。叫んでいても、怒鳴っていても、泣いていても、この十五文字だ。設計者は徹底している。褒めたくないが徹底している。
金髪が何か言っている。引き受けるということだろう。みんなそう言う。断った者を私は見たことがない。これはつまり、私の依頼が断れない構造になっているということだ。頼んでいるようで、強制している。私は被害者のふりをした加害者だ。この発見を誰かに話したい。話す相手がいないが。
金髪が駆けていく。茂みに向かって。元気のいい背中だ。
ああいう背中を、私は一度も持ったことがない。生まれた瞬間から倒れていたのだから、当然だが。
しばらくして、金髪が戻ってきた。
薬草を三本持っている。笑顔だ。達成感に満ちた笑顔だ。お前が達成したのは、立って歩いて屈んで摘んで戻るという作業だ。それが達成感に値するのかどうか、私には判断する基準がない。なにしろ私は立ったことがないので。
「薬草を持ってきてくれたか。助かった」
私の口が言う。
嘘だ。助かっていない。正確には、助かる状態に私はない。薬草をもらっても倒れたままだ。これは何のためのクエストなのか。設計者に問いたい。問えないが。
金髪が去っていく。
振り返らない。当然だ。振り返る理由がない。あの者にとって私は、一つ終わったクエストだ。チェックリストの一項目だ。消化された用事だ。それ以上でも以下でもない。
私はまた一人になった。
茂みの薬草が、また三本になっている。
いつの間に。誰が。
考えても仕方がない。これも設計だ。明日も誰かが来る。金髪が来る。希望に満ちた目で来る。私の口がお決まりの文字列を言う。薬草が届けられる。去っていく。
それだけだ。
それだけが、私の一日だ。
そして私は今日も、倒れている。




