46.やばい。長くなってしまった。
「武器の密輸」
「それを君達に止めてもらえんかのぅ」
「なに犯人まで突き止めなくてもよい。今宵行われる武器の密輸が失敗に終わればいいんじゃ」
「なんで、そんな事」
ひげじぃが知っているんだ…?
と、思ったが、メイリーンがそういうことを探っているというのを悟られたくはなく、あえてその言葉を飲み込む。幸いにもあちらから話してくれた。
「近頃若もんが、金になると言って手伝っておる。警備隊に言うたが証拠がなけりゃ動けんというんじゃ。ワシはこの王都が好きなんじゃ。誰かわかりゃせんが武器を密輸なんてろくなことはない。多くは望まん。武器の密輸は怖いことじゃと若者がしってくれればいい。今夜は何やら大物を運ぶらしくてのぉ」
意外なところで物語が繋がってきたぞ!?
「時間は太陽が沈む19時じゃ。場所は……」
一通り話をきいた後、ひげじぃは先程の店に帰っていった。どうやら手伝ってくれるわけではないらしい。
「お前、一回り縮んでないか?」
怪訝な視線を向けながらアレックスはメイリーンに尋ねる。
「まぁ。服着替えたから。あの服鍛える用だから、色々かさばってて」(ユスタが用意してくれた嘘)
用意された警備隊の服は漆黒に包まれており、スレンダーラインに作られていた。そのためタオルまきまきだと入らなかった。めちゃくちゃ動きにくくて仕方なく、全ての物を取った。ひげじぃ私のサイズがわかるなんて…いつもどれだけ私に目をつけ…
そこで、さらにアレックスからの視線が強まるのをメイリーンは感じた。
「な、何、ジロジロ見て」
え?もしかしてついに女ってバレた?やっと??え!嬉しい!
「いや、こんな細いガキにさっきの試合勝てなかったんだと思うと、鍛え直さなきゃなぁって」
あっそう。紛らわしいことしないでくれる?期待して損した。どうせ、胸ないよ。ガキだよ。あるのはありったけの筋肉。なんだよもう、ほっといてくれよ。
なぜこんな所にきても悲しい思いをしなければならないのか。
「にしても、俺たち3人でどうしろってんだ?あのじぃさん場所5ヶ所も提示してきたぞ?お互いの場所は距離もあるしよ。しかも本物は1ヶ所!どうやって同時につぶせばいい?人数がたらねぇよなぁ?」
ユスタと合流して今は私と青年とユスタだけ。確かにこの3人で制圧は難しい。
「後1時間じゃ準備は難しいね。」
少なくとも30分前には引渡し場所につきたい。
「友達を急いで呼んでも対応してくれるかどうか」
ユスタが先程ミエルダを呼びに行ってたがギリギリだ。ラナックも見つかれば呼んでくるが…彼はこの時間どこにいるかもわからない。城で剣の訓練をしてればすぐ見つけれるけど、今日は休みなのでカードゲームしに行ったり飲みに行ったりしてる可能性がある。
それにこの青年はラナックくらいの強さはあるけど、ユスタやミエルダは彼らには劣る。女っていうのもあって何かあったときには一人だと危ない…。できれば二人で一つの場所に行って欲しいが…
「そうだ、あいつ今頃宿で過ごしてるな。俺のダチに頼んどくよ。そいつが泊まっている宿はこの場所が一番近いから、ここはそいつに行ってもらう。」
「さっき仲間を呼びに行ったあんたの侍女は戦えるのか?」
「二人とも僕ほどでは…」
「じゃあまぁ本命じゃないことを祈るしかねぇなぁ」
せめてラナックを見つけてくれれば…
先程思ったのだ。この青年と張り合える部下はラナックくらいしかいない。多分ラナックの方がスピードが遅いがパワーや、戦い方は上だろうと思う。
そう思うとこの青年こんなに若いのにバケモンだなぁ…
ともかくラナックが見つかれば…
と、願ってはいたものの
「ラナッじゃなくて友達は飲みに行きました。」
返ってきたのは無惨な報告
ラナックぅぅぅぅぅぅぅ!!ラナックのばかぁぁぁぁぁ今日1ばかぁぁぁぁぁ!!!!
「じゃあしゃあねぇか…せめて侍女さん達は町の中心部側にしよう。何かあってもすぐ逃げれるように」
しょうがない…何もないことを祈るしかないのだ。
そろそろ午後19時。
日は沈み、辺りは暗くなる。
受け渡し場所として提示された場所の一角は山沿いだった。人気もなく、街灯も少ない、城下の端の方で鉱山がよく取れる山へ続く道沿いだ。
メイリーンは息を潜める。虫が顔につこうが、なんだか美味しそうなきのこがあろうが動いてはいけない。辺には枯れた草木が散乱しており、少しでも動いたら音が出そうだ。
みんな大丈夫かなぁ。お腹空いたなぁ。
そういえば、ちょっと寄るだけだったから何もたべてないやぁ
帰ったら何かごはん作ってもらおうなどと考えていると、5人ほど、青年がやってきた。武器を持っていたり持っていなかったりだ。
何で持っていたり持ってないなかったり?全員持っとけよ?アホか。襲われても文句言えないぞ?
という、襲う側が謎のツッコミを入れつつ様子をみる。
後から荷馬車を引いてローブ姿の男が3人やってくる。
頭のローブ被るとか魔法使いかよ。怪しすぎるな。
怪しい男達は大きな荷馬車を5人の男達に引き渡す。
1対8なのは別に良いとして。一人も逃さないってのは難しいなぁ…。
どう攻めたもんかなぁ。多分今話してるのが一番強いでしょ?そんで短剣持ってる人はキョロキョロしてるからビビリかなぁ。
問題はローブ達が体格見えないから、どのくらいの強さなのかまたは逃げ足の速さなのか、皆目検討つかないとこだよなぁ。
それにしても各場所8人だとしたらやっかいかも。私はこのくらい人数なら余裕だけど、ユスタとミエルダ大丈夫かなぁ…。
心配だ。さっさと終わらせて行ってあげなきゃ。
よし、まずは、奇襲を
ぐーぎゅるるるる
「な、なんの音だ?」
「人がいるのか!」
「!?誰だ!!!」
「……っっっ!?」
ぎゅるぎゅる…ぐぅぅ
おおおぉ、お腹の音ぉぉおお…
自分に奇襲され、メイリーンは慌てて飛び出す。
8人の男共は全員こちらを見る。
「……」
なんだ、こいつ腹をすかせて浮浪者か?と言わんばかりの目だ
よし、メイリーン!冷静になるのよ!ここは、ハードボイルドに決めて。
…ぐぅぅうぅぅうぅぅ
「………」
「…ぼ、僕のこの音を聞いて、生きて返ったものはいない」
…キマるわけないね。知ってた。
「なんだコイツ?警備隊のくせに、やけにちびじゃねぇか。へっガキはおねんねする時間だぜぇ?」
「あいにくまだ僕は眠くない。寝るのは君たちの方だろ?」
右手を前にだし、相手に来いと指で誘う。
不適に笑うメイリーンは月の光を浴びてどこか妖艶な様だ。
「舐めやがってクソガキがぁ!」
そこからメイリーンが一人だけ立っているようになるには30分もかからなかった。荷馬車を確認するとそこは空だった。
ハズレ…
メイリーンは腰を抜かしてる一人の青年に詰め寄り胸ぐらを掴んで顔を寄せる
「どうして、僕が君を気絶させなかったかわかる?友達の命と家族の命。後、好きな人の命、それを奪われる前に吐くといい。本物の積み荷はどこだ?誰に頼まれた?」
「ヒィィィ!見逃してくれ!!頼むよ!!まだ死にたくねぇ!荷物なんか知らねぇ!俺たちは酒場で儲け話があるからって!睨むなよ!!セルナート通り1の酒場だよ!」
あぁ。あの眼科の近くの…。そいえばシエル様ちゃんと眼科に行ってくれたんだろうか?いや、今はそんな場合じゃないか。
「武器の取締がきつくなった。今日は見逃すから、その荷馬車使って友達運んでくれ。いいか?取締がきつくなったからな?お前を返すのはそれを他の連中に知らせてもらうためだ。ちゃんと拡めてくれよ?お前の顔覚えたからな?」
相手との交渉が終わり一番軽そうな頭巾野郎を1人担ごうとしたところで空を見上げる。
ちょうど一箇所から煙が上がり始めたところだ。
あれは、ミエルダのところ!ミエルダが当りだったか!
メイリーンは駆ける。成人男性一人担ぎながら。
それはもう。何も背負ってないかのような速さで。
「くっ…」
積荷を見つけたはいいが、敵が多い。体格も随分あちらの方が上だ。
大丈夫発煙筒を使った。お嬢様が終わり次第すぐ来てくれるはず。自分はそれまで耐えれば、
相手の重い一撃を受け止め、手がしびれるのを感じながら、それでも剣は手放さない。
我が主の命令だ。死んでも背きはしない。ここは、私が守りきって見せる。
「私はお嬢様のために、負けはしない!」
そして、彼女はその先に見えた人影に、息を飲んだ。
「どうして、貴方様がここに…」
「ミエルダっ!」
メイリーンがミエルダを見つけると防戦一方の彼女がいた。
敵は10人。私のとこより多く配置されてる。
ミエルダは自分の名前を呼ばれてつい、相手から目線を切ってしまった。
そのスキに剣を弾かれる。
「あ、こら!ミエルダに触るなぁぁ!!おらァァァ!」
メイリーンは担いでいた者を投げ相手にぶつけ、怯ませる。
そして、そのスキにミエルダの前に出た。
「集中切らせてごめんね。ミエルダ!お待たせ!」
「っはぁ。はぁ。メイリーン様…ありがとう、ございます。随分、早かったですね?」
「あぁうん。走ってきた」
「走って…今投げたの男性ですよね?背負って来たのですか?」
「うん。口割らないかな?と思って。」
「…随分、早かったですね???」
「ちょうど終わったところだったんだ」
「私なら、メイリーン様の場所まで30分はかかりますが?」
「私も20分くらいかかったよ?」
「…20分。随分、早いですね」
「さっきからおんなじことしか言われない。大丈夫?ミエルダ?」
「いえ、随分なゴリラを主にもって、私達は幸せです。」
「突然のディス!」
「ところで、メイリーン様、先に妹のところに行って下さい。メイリーン様からは角度的に見えなかったと思いますが、おそらく同じダイミングで、煙が上がっています。ここは任せて妹のところへ」
「えぇー!?2箇所も当たり?」
「いえ、それより前に煙も上がっていたのでアレックス様もおそらく」
「わぁそれってまずいなぁユスタのとこ誰もいけないね」
もう一人の人はアレックスほど強くないって言ってたもんな。助けに行くのは難しそうだ。というか状況次第では助けに行った方がいいのかもしれないだろう。
「じゃあミエルダ。ここは任せて先に行って」
「!?いえ、なりません。メイリーン様を置いてなんて…」
「大丈夫すぐ追っかけるから!たぶんだけど、さっき投げた奴拾ってそこの荷馬車詰めてユスタのところにつく頃に私も追いつくと思うから」
「…確かに…。いえ!それでも」
「はやく行って!言い合いしてる間に後7人だよ!今6に減った!」
ここでお気づきだと思われるがメイリーンは会話中に4人の男をのしており。
さらにもう一人に手をかけようとしているところである。
あまりの速さに、ミエルダは呆気にとられながらも男を積み、荷物を運ぶ準備をした。
ミエルダが出発したのを見届け、メイリーンは楽しそうに笑う。
「さて、ユスタ追っかけるために、本気出させていただきますよ!」
メイリーンが本気を出してからさらに40分ほどすると、ユスタとミエルダが協力して半分ほどの相手のしたところに出くわした。
「ユスタ!無事でよかった」
肩で息をし、相手の攻撃を避けながらユスタはメイリーンのところまで駆ける。
「お、お嬢様。いつ来ました?」
自分が来たことにユスタはひどく驚いている様子だった。
「今さっきだよ。遅くなってごめんね。ミエルダと一緒に耐えてくれてありがとう!ミエルダはいつ来たの?」
「ほんの5分ほど前です」
「じゃあ一人で結構なぎ倒したんだねぇ」
「あー。いえ、えっとラナックが途中通り過ぎまして。えぇ」
「ラナックが?飲みにいったんじゃないの?」
メイリーンが目をパチクリさせ、さらには相手を殴りながらユスタに問う。
「途中まで助けてくれたの?そんなことってある?今何処にいるの?」
「えっと、はい、まぁ。気分が悪くなったと先に帰りました?」
「???なんで疑問?」
女子に大勢で殴りかかってくるような奴ら相手に例え酔っていたにせよ、ラナックは途中でいなくなったりするだろうか??
そんなラナックは未だかつてみたことがなかったが、よほど調子を崩したのだろうか?
「私がそろそろメイリーン様が来ると申し上げたら彼は交代だと去りました。今夜はたっぷりのんだそうで、呂律も回らないようでしたよ」
ミエルダが剣でぶつかりあいながら会話に入ってくる。
あぁラナックお酒弱いもんなぁ。それなのに、たまたま来て、ちょうど危機を救ったのか。すごいやつだな。後で褒美でもあげちゃおうかな。
メイリーンはふむふむと納得言った様子を見て二人の侍女は戦いの最中だというのに、安堵の顔をする。
それから程なくして殲滅した後、アレックスと合流した。
ひげじぃに任務完了の旨を説明すると。引き止めることもなく、借りはこれでなくなってしまったのぅと残念そうに私達を開放してくれた。
「最後にもっかい勝負しようぜ。今度はハンデなしだ。あんたの望むもんでいいからよ。」
町中に戻って来たあと、アレックスが爽やかにわらいかけてくる。結構戦って疲労が積もってそうだが、微塵も感じさせない爽やかさだった。
自分ももう一勝負くらいしてもいいくらいの体力なら余ってる。
「じゃあ……」
ミエルダに戦利品という名のローブ姿の男と武器を先に持って帰ってもらい、ひげじぃに審判の合図を依頼する。
両者腕をとる。相手の手を触ると、沢山の豆があり、剣を何時間も握っているんだとわかる。
いい腕だな。シエル様も豆があるけど、この人ほどじゃない。ラナックと同じか、それ以上に鍛えてるんだ…。でも、大丈夫!私だってあんなに鍛えて来たんだ!
「ほっほ。よもや、腕相撲とはのぅ〜。よしよしじゃあ見合って~。」
ひげじぃは楽しそうに両者の手を握る。この手を離したら試合開始の合図。
相手は瞬発力があったから、合図の瞬間に飲まれないように気をつけなきゃ。
「レディ~…ファイっ」
両者力が入る。お互いの腕は、右にも左にも動かず、傍からいい勝負だ。
…動かねぇ。
この細腕坊主、脳筋かと思いきやちゃんと手首を巻き込まれないようにガードしてやがる。後めっちゃ手がいたい握力どんだけあるんだよ。化けもんか!?
目の前の少年は自分より一回りもふたまわりも小さくて、さらには年下であろう。試合した時は剣の重さと手数の多さに驚いた。剣が折れても足で対応してくるその姿からてっきり頭脳戦は全くだめなのだと思ったが…。
びくともしない。しかし、こちらも力で押し負けるほどではない。
筋肉の耐久勝負だなぁと思っていると、
「あ、こんなところにいた!探したんだよアレックス」
「うげ、シエル」
!!!???シエル!!??
「緩んだ!うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ズシンっという音とともに腕が倒れる。
勝者は赤い髪の青年。
「っしゃあ!!!どんなもんでも勝ちは勝ちだろ!」
爽やかに青年は笑う
くぅ、悔しい、集中力が途切れて負けるなんて…!
いや、それよりも、怖くて振り向けないんだが。私の後ろにいるのって?シエルて?シエル様のシエル?別のシエル??どこ産?どこ産のシエルなの?
「あんたにも紹介しといてやるよ!驚くなよ。隣の国の王子なんだぜ!」
おぉ…あうとぉぉ。なんでいるのシエル様……。
「え。突然の身バレ。勝手に身分を明かすなんて困るなぁ。今日は一体何なの?さっきから。急に俺の仕事手伝えとか。僕だって暇じゃないんだよ?」
いや、大丈夫!私誰にもばれない男装してるから!
「これはこれは…驚きました…。はじめまして…貴方がアレックスのご友人だったのですね。」
ぎこちない笑顔を張り付けながら、一応の挨拶をする。目も泳ぎまくって海を一周してるレベルかもしれないけどともかく頑張った。
「わぁ…。こんばんは。ふふ。こんな可愛らしい子がアレックスと何してたの?」
「あぁ?試合した後にじいさんに付き合って、悪い奴を凝らしめてた。そんでさっき腕相撲した。」
「それに僕が付き合わされたわけ?いや、もういいけど、それで?どっちが勝ったの?」
「まぁ一勝一敗ってところだな。」
「わぁ……アレックスと一勝一敗だったんだ?友人兼護衛でつれてきたのに。」
すごいね~流石だね〜といいながら、此方を見る。
「あ、それじゃあ僕もう行くね!侍女がうるさいからね!今日はありがとう」
メイリーンはシエルの印象に残るまいと、急いで視界から消えた。
城に向かうのもバレないように随分遠回りした。
「なんだよ。シエル随分ご機嫌だなぁ。最初の試合の後にあったときはあんなに不機嫌だったじゃないか。王女が不在だったとかで。しかし、あいつすげー強かったよなぁ。あの試合お前も見てたろ?あん時あいつ動きにくい服装してたんだぜ!鍛えるために、わざといろいろ着込んでたんだとよ!俺もやろっかなぁ〜」
「そりゃ強いよ。アレックスも知ってるでしょ?あの子が戦争の英雄王なんだから」
「え!?そうなのか!?なんでそんなこと知ってるんだ?」
「そりゃあね。試合の時は遠くだったからわからなかったけれど、近くでみたらわかるよ」
アレックスに急に手伝いを頼まれたシエルは自分の言われたポジションでの武器の確認が終わったあと、発煙筒を目印に、応援に向かった。そこでは、メイリーンの侍女が囲まれながら戦っていた。そのため、自分といつもこの話では空気となっている付き人と参戦する。もう一人の侍女が来て、そろそろメイリーンが来るが、彼女のために、今回のメイリーンとは会わないでいてほしいと頼まれたので、シエルはすぐに物陰に隠れる。
そのあと5分ほどでやってきたのは、アレックスと勝負していた少年だ。アレックス以上に強い少年であったため、印象に残っていた。そして、その少年は近く見たら城に行っても会えなかった最愛の少女だった。男装してようがしてまいが見たらわかる。戦い方も彼女そのものであったし、これだけ彼女のことばかりみてるんだ。気づかない方がおかしい。
「さて、僕たちも帰ろう。随分遅くなってしまった。」
男装している理由を聞きたかったが、それを聞くと彼女は困りに困ってしまう。
彼女が自分から言うまではシエルもあまり突っ込まずに待ってあげたいと思っている。
眉毛も目尻も下がって悲しそうに俯いてしまう彼女を、あまり見たくないから。
「でも、それっていつになるのかなぁ」
待っても一生来ないかもしれない。隠してるのもつらそうだし、言うのもつらそうだ。
自分は最早彼女が言おうが言うまいがどちらでもいいのだが……。
「どっちにしてもメイリーンを離す気ってさらさらないからなぁ」
シエルは正直ここまで、心を奪われるとも思っていなかった。それであるからこそ。メイリーンが悲しむ姿は自分の心も苦しい。
「なんとか、楽にしてあげたいけどなぁ」
シエルは、メイリーンの心を楽にする方法を見つけられず、まだ迷うばかりである。
長い。すまぬです。




