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45/51

45.やばい。誰にも気づいてもらえないんだが


「なんだったんだろう……」


なんて無駄な日を過ごしたのだろうか、身心ともども疲れ果てたメイリーンが城下についたのは夕方17時頃だ。いつも通りスピード狂を発症した私はユスタを置いてきてしまっている。


距離的に30分ユスタは帰って来ないだろうな……


今日のご褒美的に、少しくらい城下によってもいいだろうか、そろそろ腕相撲で男子に勝てるくらいになったかもしれない。


メイリーンは愛馬を降り、城下に寄ることにした。残念ながら、ぱっとみた限りでは腕相撲大会はやっていなかった。

そのため、刀勝負のところを探してみる。


「おぉ!またあの青年が勝ったぞ!何者なんだ!みたことねぇ!」


すごい歓声だなぁ。どれどれ?あぁあの赤い髪の青年が活躍してるのか。同い年くらいなのに、随分強いな


「よぅ!誰か俺に挑もうってやつはいねぇのか?対したことないなぁ!」

「兄ちゃんくらい強いやつ、あんましみねぇな!」

「たまに、すごく強い女の子がいるんだけどよ!そいつと戦ってほしかったぜ!」

「あー!後ろで髪をくくってるどこかのご令嬢だな!騎士になれないのがもったいねぇくらいだもんな」



……もしかして、私のことか?


「あんなに強いのに、正体はあかさねんだよなぁ!」

「まぁ、持ち物とかで俺らとは違うご身分だっていうのはわかりきってきるがな!」

「お付きの人もいつもつれてるしな!」


いや、完全に私だねぇ!お忍びなのにばれてら!今行くの気まず!

あれ?でも今私、誰にも気づかれない男装してら。

じゃあ別にいいか!


「僕と相手をしていただきたい」


メイリーンは意気揚々と前を出る。






カンっという音が何回も奏でられる。

模擬刀と模擬刀が何回もぶつかり会う。

周りが、今までの何倍も盛り上がっている声が聞こえる


「何者なんだあの少年は!」

「赤い髪の兄ちゃんも凄腕だぞ!」

「今まで手加減していたんだ!」


確かに……強い。一撃が重いし、何より速い。体型補正もあり、タオル巻き巻きのこの服では、動きづらく、追い付くので精一杯だ。

騎士団にもこの強さの人はあまりいない。

しいて言えば…

「君……何者なんだ?」


「しゃべってると舌噛むぜ!」


「じゃあ僕が勝って聞くまでだ!」

ぐっと踏み込む。相手の懐めがけて一撃を放つ


……かわされた


……くっ!


かわされたところを相手が打ち込んでくる。

やばい、体勢が。


慌てて模擬刀で防ごうとするが……

ピシッっという音と共に模擬刀がきれいに割れた

「げぇ!」

何回も打ち合ったから、割れたのか!?


相手がにやりと笑う

「もらったぁ!」




「簡単にはあげないよ!」


鈍い音が小さく響く


地面に手をついたのは赤い青年の方だった。

「……くっ」




はぁ……はぁ……


お互いの荒い息づかいが響く



「……僕の敗けだ」


模擬刀が折れてしまってはこの戦いには勝てない。

ただ勝ち負けを決めるのであれば戦ってもいいが、この試合は、模擬刀での戦いがルールなのだから。




わぁぁぁぁぁぁぁ!と壮大な歓声が私たちを囲む

「すごい戦いだったなぁ!!最後見たか!」

「あぁ。剣が折れた時は赤い髪の兄ちゃんが勝つと思ったよ」

「それを蹴り飛ばすなんてなぁ……!」


「くっそー!!悔しいぜ!」

すぐに青年は立ち上がって、こちらによってきた。

……た、タフだな。結構重たい一撃を急所にいれたような気がしたんだけど。

「お前すげー強いんだなぁ。俺もまだまだだぜ。じぃちゃん。わりぃなあんたの模擬刀折っちまったぜ」

青年は模擬刀開催者のひげじぃに話かける。



今回はひげじぃが開催してたのか、ということはこの青年警備隊に引き込まれるのでは?そして、私も声かけられそうだな…。さっさと逃げようかな。


「あんなにいい試合を見せてくれたんじゃ構わせんよ。しいて言うなら、後で一個手伝ってくれんかのぉ?ところで兄ちゃんは何者なんだい?」


「ああ。いいぜ。模擬刀分くらいは働くさ。俺はアレックス・ハッシュって言うんだ。隣の国からダチと遊びに来ててよ。腕には自身があったんだけどなぁ~悔しいぜ!一回りも小さな奴によ!」

さ、爽やかに笑うな~。彼の正体に耳を傾けていると、去るのを忘れてた。

当たり前だが、此方にも話が降られる。

「あんたは何もんなんだ?」


「僕はこの国騎士団だ……ラナックって言うんだ」

メイリーンは英雄王ともましてや王女とも言えず。当たり前のように、勝手に名前を借りる。もちろん常習犯であるし、さきほどの領土での恨み。ありがたく受け取って欲しい。


「よしよし。お互い自己紹介もすんだことだし、お二人にはちょいと警備隊に入ってもらおうかのう。なに助っ人じゃ。ワシの手伝いが終われば今日中にでも解放するつもりじゃ」


「!?なんでわたっ僕まで?」


にやりと笑ったひげじぃは耳元による

「お嬢ちゃんいつだったか、約束をしたじゃろう?恋人に正体をばらさんかわりにワシの言うことをきくと。」


!???


なんでばれて……

「お前さんに長く目をつけてたワシじゃ。他の奴らはごまかせても、さっきの戦いかたですぐにわかったぞ。」

くぅ!ひげじぃ侮れない!でも私の男装見破ってくれて正直嬉しい……!ありがとうひげじぃ!


「まさか、嬢ちゃんじゃなくて、坊主だったとはなぁ……」

ほっほっほと朗らかにひげじぃは笑う



いや逆ぅ!全然気づいてないよー!このぼけじいさん!



「それで?何を手伝うんだ?」


アレックスがひげじぃに話しかける。






「お、そうじゃった。武器の密輸をな」

もう後5話くらいで終わる予定です。長い時間かかってますが、目を通して頂いてありがとうございます。

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