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39.やばい。なんで慰められてるの?

「で?あんたたち誰に雇われたのよ」

男女仲良く拘束している。縄とかなかったのでドレスちぎって拘束した。なんでも物は使いようである。下の男はガラスだらけで危ないし運ぶ気にならなかった。起き上がって再戦求めてくるような強者なら金払って部下にしてあげよう。そのくらい痛め付けてある。女の方は2階で瞬殺したあと運ぶの面倒だったから階段そのまま転がり落としたため、まだ暫く起きないだろう。というわけで起きているのはリーダーっぽい男だけ。


「しらねぇよ。金と手紙と行動計画が乗ってやがったんだよ。前金で1000だぜ。終わったらさらに2000だ。やるっきゃねぇだろ」


「とんだ、ばかたれね。その情報私たちに売った方がリスクなく金になったでしょうに」


「はっ。こんな話誰が信じるんだよ」


「私が信じたわ」


「っ…………」

「とんだ王女殿下だな。こんなじゃじゃ馬だと知ってたら受けなかったぜ」


「じゃあ次は受けないことね」


「はっ。脳内お花畑かよ。王女をさらっておいて次までの命があるかよ。考えなしかよ」


「…………」


「ないのは胸だけにしときな」


「…………は?今なんて?」


「あ?どうみても胸ないだろ王女さま。それで婚約者殿を満足させれるのか?」


「もっかい言ってみ?」

馬乗りなって相手にいう。


「胸なし!貧乳!絶壁!」



「おーまーえー。」

メイリーンのボルテージが再び上がる

「うるさいわね!ばか!なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないのよ!こんなんでもね!シエル様かわいいってゆってくれるんだからね!」

「っていうか、私がマウントポジションとってんのによく生意気なこと言えるわね!根性と勇気Sランクか!」

相手の胸ぐらを掴み、ぐわんぐわんと相手を揺らす。

「ちょま、しぬしぬ。王女さんまじで俺死ぬ」

ともかく話しかけ続ける。

「しょうがないじゃん!自信なかったんだもん!お姉様の方がシエル様とお似合いにみえたんだもん!」

ポロポロと涙がこぼれる

「胸もない、頭もない、女子力だってない!おまけに嘘もついてる。好きになってもらえる要素どこにもない!!」

「でも、お姉様はアイリーナは違う。誰もが振り向く美貌に、演技でも、演技じゃなくても可愛いく笑うの!お菓子だって上手だし……!私と全然違うの!!」

リーダーみたいな男を揺らす手をとめ、自分の涙を拭う。どんなけふいても涙はつぎから次へと流れてくる


「王女さん。相手のこと好きなんだな」


「好きよ。だから、幸せになって欲しいって思っただけなのに!」


「俺もよ。好きな女がいたさ。まぁどんなに手を伸ばしてもてに入らんような女だったがな。甘味屋の看板娘で俺のようなならず者にも優しかったんだ。遠すぎた存在で俺も王女さんのようにただその女の幸せを祈ってたさ」

「その女、結婚しちまう前によ。俺に言ってくれたんだ。『本当は貴方がアプローチかけてくれたら、私今貴方のそばにいたんだよ』ってな」

「関係ないだよ。こんな俺でも好意を寄せてくれる人がいるように。確かめもしねぇで、身を引くってのはばかみてぇな話だ」



「ぐす……リーダーっぽい人」


「な、王女さん頑張れよ」


「ってなんであんたに励まされなかんのだぁぁぁ。おかしいでしょー!!」

リーダーっぽい人の顔を掴む


「いででででででで。王女さん握力ゴリラか?こめかみ死ぬ死ぬ死ぬ!」


「メイリーン!!!!」

激しく扉があくと、ともに。愛しい人の焦ったような声が部屋に響く。


「し、える、様?」

なんで、ここに……

って、まって。この状況もしかして。やばい?

捕まえられたあと、3人の見張りを倒した挙げ句、馬乗りになってその中の1人の顔を締め付ける王女って他にいる?ねぇ他にいる?

「あ、あのこれ」



「ちょっとまってなにこの状況」

あ、完全終わった。言い訳しようとしたところ、先に婚約者の低い声が響いた。

メイリーンもシエルもお互いに閉口する。

「いや、まぁ、とにかく、メイリーン無事で良かった」

またもや先に口を開いたのはシエル。足早にメイリーンの近くまで来たシエルは下敷きの男をちらりと見たあと、メイリーンを引き寄せる。そしてそのまま腕の中へと閉じ込めた。


「…………」


「…………」


いつまでそうしていただろうか。お互いに無言な時間が過ぎる。


こんなにもキツイ抱擁は初めてかもしれない。ぎゅうぎゅう締め付けられてる気もする。この鍛え上げられた体からしたら、痛くも痒くもないんだけれども。メイリーンがそう思っていると、

「ケガしてる。ドレスもボロボロに……遅くなって本当にごめん」

震えた声が耳に届く。


あぁ。心配かけたんだなぁ…………。



怪我もドレスも自分でやったとか、なんとなく言える雰囲気ではない。

「ユスタさん彼女に手当てと何かけものを」

ユスタに引き渡されたあと、シエルはリーダーっぽい人の方を向く。そして私のようにマウントポジションを取ったのち天使からかけ離れた表情で同じような相手のこめかみを攻撃する。

「ねぇどゆこと?さっきの状況どゆこと?詳しく説明してくれる?ねぇ?」

「なんで彼女がお前の上に乗ってんの?あの子があんな風に乗っていいのは僕の上だけだと思わない?僕だってまだあんな風にじゃれつかれたことないのに何したの?詳しく教えてくれるだろ?」


「いででででででで!さっきよりは握力強くないけどなんでお前らこめかみ攻めるの!!死ぬって!」

「っていうか、あれじゃれつきに見えたのか?お前のめんたまおかしいだろ」


「し、シエル様。彼にひどいことは……」

私が散々したので……


「庇うの?彼を?僕じゃなくて、彼を?こいつ君に何したかわかってるよね?」


「わかってます!私の太もものナイフとったあげく、貧乳と罵った変態くそやろうです!」


「へぇ?そんなことしたの?」

再びシエルの手に力が入る


「いででででででで!!!!!王女さんわざと!?わざとなの!怒ってる?ごめんね!王女さんまだ胸育つよ!この人に揉んでもらったらいいじゃない!」


「お前はだまってろ!」

ボガスッと鈍い音がしたあと。男は気絶した。

「彼女へのセクハラは許さない」


「し、シエル様」

なんだかあんなにも、怒ってるシエル様をみるのは初めて。私が勝手なことをしてるから怒ってるのかな。


「メイリーン。僕は怒ってるように見える?」


「はい。とても」


「そんな顔しないでメイリーン。君にじゃない。僕は僕に怒ってるだけなんだ。君にあんなこと言わなければ。あのとき相談してくれたでしょ?」

「気づいてあげられなくて本当にごめんね」

「君がいなくなったと知って心臓が裂けるかと思った」

シエルが私の両手を包む。でもその手が震えている。

「こんなにもボロボロになって、でも無事でいてくれて本当にありがとう」

強く握ってくれてはいるが、震えは止まらない。こんなにも泣きそうなシエルをメイリーンは未だかつて見たことがなかった。


「シエル様……」

メイリーンは彼の手の上に自分の手を重ねる

「迎えに来てくださってありがとうございます。私、シエル様に愛想つかされちゃったかなって、だから迎えにくるのはユスタだけだと思ってました。…………今ここにいらっしゃること本当に嬉しいです」


「…………僕が、迎えに来ない訳……ないでしょう?」

シエルは苦笑する。


「はい。今はそう思います。私、シエル様が好きです。だからお姉様とくっついた方が幸せなんじゃないかと思いました。シエル様は私だけを見て下さっているのに」

「シエル様。今後もお姉様に負けないように精進致しますので私だけをみて下さいますか?」


「……ふ、当たり前でしょう?メイリーンは誰よりも可愛い僕の婚約者なのだから」

シエルが目をつむる。そして、顔を寄せてくる

え?まってもしかして、口づけ!?え??


「メイリーン!!!!!」

もぅ一度激しく扉があくとともに。自分の声と似た、でも焦ったような声が部屋に響く。


「お姉様!?」


「…………っ。邪魔が…」


「メイリーン!無事なのね!無事っていってくれるわよね!」

こちらもぎゅうぎゅうと姉が私を抱き締める。シエル様より力が弱くまるで赤子に握られいるかのような弱さではあるが。それでもぎゅうぎゅうと締め付けられてるのはわかる。

「ばか!ばかばか!ホントにばか!」

「考え知らず!向こうみず!超おばか!!低女子力!!貧乳!!」

まって、なんでそこまで言われなきゃ……


「こんなに、ボロボロになっちゃて!もう!もう!」

「心配したのよ!!」

「帰るわよ!メイリーン!ラナックに二人で叱られたあと!私があんたを5時間叱る予定なんだからね!!!」


「えぇっ」

まぁ仕方ない。覚悟していた事だし……。ラナックから怒られるのは想定外だけども。



そして城に帰った私は説教をラナックから3時間。姉から5時間。

といっても姉からの説教は夢の中でするわ!と意味不明なことを言われ、ただ一緒のベッドで寝ただけだった。

「この年になって妹と寝るなんて……」

と愚痴られながら。


だったら一緒に寝なければと思ったが

てを繋いだ後

嬉しそうに目を細めるもんだからメイリーンは何もいえなかった。














「……」

「あれ、結局おいしいところ全部アイリーナ殿がもってたよね?キス一つできないまま終わったんだけど……」


「まぁそういう時もありますね」

そう、全く別の部屋の寝台で愚痴がとんだそうな。

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