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38/51

38.やばい。私強い。

さて、何話目かにして戻ってきたのである。


ん……くぅ、なんだか、急にいやな寒気がする。誰か噂してる?

頭……痛い……。

ぐわんぐわんする……。なにがおこったんだっけ?


手で頭をおさえようとして動かない事に気づく。どうやら後ろ手で縛られてるらしい。

目を開けると自分が寝てるところはベッドの上ではなく多分板。しかもカビ臭い。というのも袋を被らされていてよくわからない。酸欠にならないだろうか。


あぁ、あのオレンジお酒以外にもなんか入ってたんだなぁ。アイリーナが飲まなくて本当に良かった。

しかし、ここどこだろぅなぁ。

まだあまり薬が抜けて無いような気がする。

あの子確か王女と確認した上で拐ったなぁ。王女を拐うって勇気あるよなぁ。

今生きてるって事は私の命に交渉の余地ありってことなのかな。

お父様もお姉様もユスタたちも心配してくれてるかなぁ。生きてても迷惑かけるとか……

シエル様は、どうだろう、心配してくれるかな。私に愛想つかしてたら、そうでもないかも。


寝たまま考えていると、下から声が聴こえる。3人の声だ。一人は私をさらった侍女の声。もう二人は声の低さからして多分男。自分の部屋にはとりあえず誰かいる気配はない。


もぅ少し寝ててもいいかも?

どうせやることもないし、今頃少なくともユスタ辺りは捜索してくれているだろう。



………………

姉の言葉が思い出される。なんかできることをしとかないと姉がキレて5時間コースじゃすまない気がする。

敵が3人だと仮定して私一人で乗り切れるか?ここには愛刀も愛馬もいない。愛刀のない接近戦はいささかふりか?

いや、考えろ戦争の英雄王。私の戦略を。ここから抜け出す方法を!

まずはよく見る。働いてない脳ミソでも、何があるかくらいは見えるだろう。


って袋かぶってるんだったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

やっぱ、この脳ミソ働いてねぇ。こうなりゃごり押しするししかないな!

腕のロープはほどけそうもない。あ、まてよ確か短剣着けなかったか?


王女ともなると、自分で自分を守る術を少なからず持たなければならない。

普段は温厚な父にかつて厳しく言われた言葉だ。

そのことに対し、姉は交渉という武器できっと身を守れる。

私は言葉通りの武器で身を守ろうと思った。ので、日頃ドレスであろうと、鎧であろうと大腿部に短剣を装着していた。


今日ももちろんつけていたが。

……ないな。盗られたなこりゃ。うぅぅー乙女のスカートめくりやがって。男だったら後で制裁を加えねばなるまい。

うーん。この靴のヒール使ってロープの穴ひろがらないかなぁ。

よっほっ……

んんー。むりぽいか。


靴のヒールをロープとての間にいれようとするもなかなか入らない。

そもそもあんたこけるでしょ。と姉から渡されたヒールなので高さはあるがヒールの部分が太い。

入るわけないかとがっくりしながらも続けるとポクっと音がする。それはとてもいやな音でまるでヒールが折れたときのような音。血の気が引きながらも慌ててヒールを探すとやはりおれている。


うわぁぁ。姉からかりた靴壊すとか。殺されても仕方ないパターン……。

えぇぇこのヒールどうしよう。くっつく?くっつかないかな?3秒ルールとかない?


と、ヒールをもちつつごちゃごちゃしているとカシャッっという音ともに手首に軽く痛みが走る。この痛みはよくわかる。小腹がすいたと、厨房にいって包丁を使ったときによくある痛みだ。


ということは、あれ?もしかしてこれ。刃がついてる?

メイリーンは恐る恐る持ち方変えてみた。もし本当に刃がついていてもかまわないように、手を滑らせるようなさわり方だけは避けて。

………………刃、ついてるわ。姉グッジョブすぎんだろ!


いそいそと手のロープをきる。靴に仕込んでいる割りにはなかなか切れ味がよい。しばらく上下に刃を揺らしているとやがて両手が自由になった。その手で頭の袋もとる。ぶはっ。と可愛げの皆無な言葉を発し、やっと新鮮な空気を吸えた、と安堵する。

酸欠で死ななくてよかったぁ……。これのヒールにつけた隠しナイフだったのかぁ。物騒なものもってんなぁ。とひとしきりに感動したあと、辺りを見回すとロッジのような所だとわかる。窓からみるにここは2階。

しかし、外は森で現在の靴では走れそうもない。ましては裸足では不可能に近い。自分がいる部屋の中を見渡しても武器になりそうなものはない。あるのは布団と机と椅子のみ。机の上にはここで食事していたのだろうか食器が多数。


ってまって、布団あるじゃんか。なんで床で寝っころがされてた私?ふざけんなよ?


スカートめくりに布団……だんだん怒りのボルテージが上がり嫌でも脳が働きつつある。


この砦……制圧できるだろうか。

再びメイリーンは考える


敵は3人、愛刀も愛馬もなし。この条件は同じ。しかしそこに、小型ナイフ、働きつつある脳ミソが追加された。


これは……勝つしかあるまいな。


英雄王、メイリーン・センチュリー。例え敵陣で1人という状況でも、白旗をあげるなんてマネ、できるはずない。


というか、そもそもいつも大将に攻撃をするときは1人だしなぁ。

愛刀、愛馬がないくらいなんだってのよ!


メイリーンはスカートを見る。姉とおそろいで勿体ない気持ちがあったが、まぁ、余り迷惑をかけずに帰れたらまた買ってくれるだろう。このままじゃ非常に動きにくい。そう思い切れ込みを入れる。


ここは戦場ー。地の利はこちらにない。使える駒は数個。あの時読んでた「兵力差がありすぎる戦、10の戦術」ここがフラグだったか。








椅子持ち上げ、窓に向かって投げる。ガシャンと派手にガラスが割れた音の後、鈍い音を奏で椅子は落下する。下の部屋から物音が聴こえる。どうやら気づいてもらえたらしい。

大きく息をすい

「きゃああああああああああああああ」

メイリーンは明らかに下の人間にも聴こえるように叫ぶ


「なんだ!お前は外を見に行け!俺は上にいく!」

「っち、命令すんじゃねぇよ」

ガタガタと階段を昇る音。そして鍵をあける音。


鍵閉めてたんだ。よかったそっちいかなくて、音でバレルとこだった。

扉がどんどんと音がする

「くそ開かね!なにが起きてやがる!おい、オメーも手を貸せ!」

何も起きてはいない。机を扉の前に持ってきただけである。握力ゴリラ(姉談)の私に引っ張れないものなどない。幸いにも布団の上にのせて机を運べば音は出なかった。ドアの前に机を置いたあとは、布団を机の上におき、中を見えなくしつつ重量かさまししている。


これぞ、時間稼ぎの完璧な戦略。


窓の下を見ると男が1人椅子のしたに出て来ている所だった。

ばかめ、なんのために。食器を今足元においてあると思うのかね。

それはこっからお前向かって食器を投げるためさぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

気分は悪役であぁあぁぁる!!

なんて英雄王口調で叫びつつ。男に向かって食器を投げつける。

以外と当たらんなぁと投げつつ。最後にもった灰皿がラッキーにも頭部にクリーンヒットし、1人の男が沈んだ。ついでに上からもう一つの椅子も落としておいた。戦場では相手に情けなど無用。

そろそろ扉が飽きそうだ。

じゃあなドア破壊担当諸君。ちょっと獲物をとってくんぜ。

なんて決めポーズをしつつ。2階から飛び降りる。下は粉々になったガラスだらけで危ないがあの男の上に落ちればなんとかなるだろう。そんな鬼みたいな考えの元降りる。

踏みつけた男は正直二度と再起不能だろうな。情け無用といったけど、ちょっとかわいそうかな?生きていたら、その後の人生、生きていける金の援助をしてあげよう。

そして、貴方の獲物借ります。外に出て来てくれてありがとう。

長身。剣か。まぁ悪くない。愛刀に比べ少々重いが許容範囲だろう。

メイリーンはロッジに戻る。あいつら扉の前でまだやってんのか。飽きれながら後ろにいた女を鞘のまま殴って瞬殺。うむ。あっけない。

後はリーダーっぽいこの男だ。女が倒れたのをみて剣を握り直している。

「くそ!お前いつの間に!」

右手に剣を左手にナイフ。両利き。やっかいなタイプだ……。そうだ。ここは前シエル様がやってた観察を…………。

相手の男をじっと見つめる。そしてあることに気づく。


おいまて、お前が左手に持ってるそれ。そのナイフ。それ私のナイフか??

それ私がスカート中に隠し持ってた私のナイフか??

太もも上の方に隠し持ってた私のナイフか???

「この変態ーーーー!!!!!」


怒りのボルテージってまじですごい。






ともあれ、自分でいうのもなんだけど、流石は戦争の英雄王といった所だろうか。

見事砦は制圧できた模様。


後はユスタが迎えにくるのまつだけ。


シエル様は……くる、かな……


なんて……来るわけないか

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