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時は移り、爛々とした太陽が陰り、いくばか太陽の沈みが早くなってきた頃。
なーんで、呼び出されたんだろうなー。
暢気な考えをしながら我らが部隊の総長。エルウェンの部屋を訪れる。
「エルウェーン」なんていいながら部家をがちゃりとあけると
「ノックをしたらどうなのかね?」
という野太い声が帰ってくる。精悍な顔立ちの眉間にシワがよりまくりのダンディームキムキおっさんが早速苦情を申し立ててきた。
「そんな…そんな事気にしてるから顔にシワができるんだよ。そろそろマッチ棒挟めそうじゃない?」
「宰相殿はそんな風に怒ったりしないよ?」
「お前らが苦労をかけなければマッチ棒を挟めることは永遠来ん。それに叔父の部屋にはノックして入るではないか」
あれ?そうだっけ?でもエルウェンの部屋にノックっている?
なんて思ってると廊下からいつも耳にする足音が聞こえる。
コツコツと響く靴音は自分がいる部屋の前で一度止まる。
その後すぐにがちゃりと音がしたのち耳に響いた声は自分とよく似ていた。
「エルウェン用ってなんなのかしら?」
「…ノックをしたらどうなのかね?」
さらに大きいため息をつきながら先程と同じ言葉をエルウェンはくりかえしていた。
「ほら!やっぱりいらないよ!」
「あら?メイリーン貴女もいたのね」
そう、
姉がノックをせずに入ってきた。第一王女の姉がやっているのだから、間違いなく私もやらなくていいや。なんてメイリーン結論付けていた。
「エルウェン、そんなノックなんてものをいちいち気にしてるから眉間のシワが減らないのよ。その眉間、そろそろ定規挟めるんじゃないかしら?」
「宰相殿はそんな風に怒ったりしないわよ?」
姉の言うことにメイリーンは同意しかできない。なんならおんなじようなことを言った気がする。
「君たち、本当腹立つね。王女じゃなければ今頃胴と首が繋がっていなかったろうに」
「あっまた深くなったわ!メイリーン定規持ってきなさいよ」
「お姉様こそマッチ棒持ってないの?」
「持ってるわけないでしょ!?」
ケラケラ笑っている姉妹に何を言っても自分が疲れるだけだとわかったエルウェンは早速本題に入った。
「武器の売買が多いですって?」
「戦争でもおっぱじめる気なのかな?」
エルウェンの話では、最近武器の売買が多いこと人身売買も見られるようになってきた。ということであった。
「それって原因は一人もしくは一つの団体なのかしら?」
「それがまだわからなくてな。売買について王にも叔父から報告してあるのだが」
え?僕全然そういうのわからんわ。娘たちに任せておいた方がいんじゃね?
「と、申されたのだ」
「そう。私たちは忙しいって言ったのよね?」
それはそれは、凄く低い声がメイリーンの隣から聞こえた。おおよそ彼女の取り巻きはきくことないだろう低さだ。
「あぁ」
そして、返事をした人間もまた、凄く低い声がでていた。おまけにまたため息もついていた。
「そ。メイリーン行くわよ」
「え?どこに?」
「仕事をしない人間にお灸を据えるのよ」
そういいながらアイリーナは拳をにぎる。
姉の言いたいことはつまり一緒に父を一発ずつ殴りに行こうぜ!ということなのだ。
「そんな、お姉様の手が傷ついちゃうよ。殴るの私に任せて、いっぺんくたばっちまえって言うくらいにしたら?」
「そうね。その方がいいわね」
結論からいうといっぺんくたばっちまえじゃすまなかった。嵐のような罵倒が父を襲った。それはもう耳を防ぎたくなるような罵倒だった。姉が織り成す言葉は巧みで筋が通り、反論の余地もない攻めと織り混ざるような罵倒。父は困惑しながら、それは、でも、あ、いやなど言葉にならない言葉を青ざめながら落としていった。
そして、止めは物理。見事なまでのボディブロー。あの場所を戦闘の場と捉え、リングとするならばtechnical knock out、そんな言葉を誰もが思い浮かべただろう。
当たり前かのようにノックをせずに王の部屋を入りまるでそれが日課かのように罵倒と華麗な一撃をして去っていく。
姉妹の立ち振舞いはものすごく優雅で王は一撃も出すことなく沈む。
「あれが、世に言う蝶のように舞い、蜂のように刺すなのかもしれんの~。」
一部始終を見ていた宰相は後に、あれほどまでの見事な襲撃は見たことないと語った。




