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またもや雷雨である。
ちなみに今回は本物ではなく。姉からの。不吉な暗雲は確かにずっと出ていた。ゴゴゴゴというのは音ではないが、姉の背後にそんな言葉が見える。晴れやかな姉をいつ私は見れるのだろうか。たまには晴れやかな太陽を背負った姉を見てみたい。
いつものことなのだが、姉は私が動作しながらでも怒ってくる。着替えようが、顔洗おうがおかまいなしだ。
ちなみに今は姉が私の髪を整えている最中だ。女子力高いだけあって、人の髪をいじるなんてちょちょいのちょいだ。
そんなわけで、姉の怒声が本当に雨みたいに頭に降り注いでくるのだ。逃げ場もない。
「貴女ねぇ! どういうつもりなの!シエル様に見つかって正体ばれそうだから変わりに鎧に入る人を派遣してってのはまぁメイリーンは間抜けだから許すけど、送り終わった後に、事件解決したのでもぅいいです!ってふざけてんの!?この忙しい時期に!」
「ドレスだって持たせたのに使わずじまいじゃない!私の労力を返しなさいよ!」
「返す言葉もございません」
「何言葉遊びしてるのよ!それに、殿方と夜小屋で二人っきり?大事とは言えど、しかも貴女だけネグリジェって頭おかしいでしょ、そんな王女何処にもいないわよ」
「ここにいました。」
「そうね!!全く昨日の事なにもかも腹立たしいわ!だいたい私気をつけてっていったのに!」
「まってそれは聞いてない!」
「言ったわ!心のなかで!なんなら24話参照してごらんなさいよ!」
「かつてない理不尽をみた!そしてかつてないメタ発言をきいた!」
「だいたいメイリーンは、私が何を心配して怒ってるのか全くわかってないでしょ!」
「うん」
「ほらみなさい。素直でいい事だけど、ばか正直にいうんじゃないわよ!」
「でも、嘘ついていても……」
解決してこいと、私に言ったのは姉なのに、解決したら怒られるといういつもの理不尽に耐える。
「それにしても……」
まさか、派遣者に姉が入ってくるなど、誰が予測できたであろうか。
昨日、シエル様に見送られ、ベッドに倒れた後。彼の言葉を思い出してはもんもんとしていた。
そして、ひとつ思い出したのだ
やっべ、あの大男達のことなんも処理してねー!
しかも、人が欲しいって言ったの訂正してねー!!
訂正しよう。メイリーンは2つの事を思い出していた。
その事に気がついたメイリーンは、早速仕事に戻った。まずは姉に、解決しました。人員いなくて大丈夫です。という内容の手紙を送ってもらうように手配し、さきに帰っていたユスタの元へむかう
そして主犯3人を領主の元へ届け、そのまま牢へエスコートも行った。
その頃に拐われた人全員を送り届けたラナックに出会う。ラナックが対応してるなら、まぁいいかと、思ってそのままお願いしようとしたら、
「俺今日は誰かさんの替わりをして非常に疲れてるんで後お願いします!」
と、調子のいいこと言ってきやがったが、代役を頼んでいる以上逆らうのも難しかった。あんにゃろ。
拐われた人の処理の後は、任務中にのみくらべて全員倒れるなんてことあってよいのかと、飲み潰れて寝ていた部下に、しかも、夜中に闇討ちをかけた。
実に全てが終わって一息つく頃には
あー太陽が登っていたら今ちょうどおやつの時間なのになぁ。届いたシエル様のお菓子が食べたいと、思うくらいに時間がたっていて。
どうやら、一息ついた際、椅子に座ったまま寝てしまったようだ。無意識に布団も手にしていた。わたしすごい。
そして、ぐっすり寝ている中、ふと感じた人の気配。
夜襲?殺気はない…大丈夫だなぁ…………
…………
………………
いや?
すごい威圧感がする。そう思って目を開けたら。
姉がいた。
うわぁ……やっば。
そんなことを思っても遅い。かなり遅い。起きた瞬間雷が落ち。スコールに負けないくらいのどしゃ降り。
ともかく、なんとかしないと、永遠怒られるはめになるぞこれ。なんとか話変えないと……。
「そいえば、シエル様は」
「話変えようなんて、しても無駄よ!」
ばれてら。流石姉。
「でも、シエル殿下なら今日の早々に帰ったわ。私が来た時にはもぅいなかったらしいわよ。何しにきてたのかしらね」
「はぁまぁいいわ。メイリーンもぅ帰っていいわよ。貴女がここにいてもやることないもの」
「そうなんだ、昨日途中までやって領主さんに投げちゃった。みんな無事だったの?」
捕まえるのは私の仕事であったが、売買された人の事はよくわからない。そこは姉の領域だと思い何もしなかった。
「そのことなんだけど」
髪結いが終わると同時に、姉が話を少し切る。
タイミングいいことに、その時ドアからコンコンという音が聞こえた。ノックの強さや感覚からしてユスタだろう。姉が怒ってたらきこえなかったろうなぁ
「失礼します」
といってやっぱりユスタが入ってきた。
後は知った顔とみたことあるような顔の男女。
知った顔の男性は昨日までユリアユリアと泣いていた男で、みたことある女性は昨日助け出した人の中にあんな顔がいた気がする程度の人だ。
「お嬢様。この方たちがどうしても御礼を言いたいとのことで」
「へ?」
「あの俺」
と男性がいいかかった所に、女性がくいぎみき覆い被さる。
「メイリーン様、私、ユリアといいます!昨日は助けて頂き有り難うございました!」
少し頬を赤らめながら女性は興奮気味に話す。
「私、拐われた後すごく怖かったのです。カビ臭い牢は日も当たらないし、泣いている小さな子もいたのです。男性は何を言っても還してくれないし、昨日、刃物を突き付けられたときは本当に死ぬかと思いました。」
「でもその時メイリーン様が助けて下さりまして!!!」
「お一人で助けに来てくださり、それにあんなに一瞬で男性を…」
「私、メイリーン様に惚れ惚れと致しました!」
「それに、それに!」
「大丈夫?安心して、貴女にもう危険はないよ。絶対家に返してあげるからね」
「でももう少しまってて、他の人も助けてあげたいから」
「と、にこやかに言って頂けたこと!とってもかっこよかったのです!」
「私、我が国の妹殿下。メイリーン様は体が弱く、人前に出ることはない。それは建前で、人に見せられないような容姿をしており、姉殿下のアイリーナ様とは似ても似つかないほど。それだけではなく、容姿を気にし、公務にもでない、王族の勤めすら果たせない出来損ないの殿下」
うわぁ。人が気にしていること、本人目の前にしてズバズバ言うてくるじゃん。城下の評価って的を得てて心に刺さるんだよなぁ…。
「その噂をずっと鵜呑みにしていました。でも違ったのですね。美しく勇気のある妹殿下。この事実が国中を埋め尽くすくらいに広めます!」
「国中に広めることができたら……」
「……」
「そしたら」
「また、私に微笑んでください!!」
そう女性、ユリアは顔を真っ赤にしながら走ってでていった。
男性は彼女がでていったのをみて、驚き、慌てて「あ、あのユリアを救ってもらって有り難うございました!ユリアだけじゃなくて、みんな無事だったみたいです!王女殿下のおかげです」とペコリとお辞儀をした後、彼女を追いかけて行った。
空いたままの扉からヒュオオオと冷たい風が通る。
「な、んか。告白された気分」
そう、呟くと
あっははははははと上から笑い声がふってくる。
「なに男前してんのよ」とか「目覚めさせちゃってまぁ」とか「こりゃあのカップル破局ね」とか聞こえてる。
困惑して周りをみるとユスタもうんうんと姉の意見にうなずいているようだった。
「え、えぇ。私なんかした?」
「充分な働きをしたのよ。もぅ、帰ってもいいわよ」
「手伝うことは?」
「充分な働きをしたのよ。もぅ、帰ってもいいわよ」
「なにそのループ。まるで定型文しか話さない村人のよう」
「メイリーンの例えこそなんなのよ。ここにいてもやることないのよ。私だって領主にちょっと話きいたらもぅ帰るわ」
「あんたと帰ろうにも、どうせ私を置いてって一人で走っちゃうでしょ?スピード狂なんだから」
「お姉様も馬車でスピードをだせば…」
「バカ言うんじゃないわよ」
冒頭のまえふりはなんだったのか。というくらい雷雨はさり姉の晴れやかな笑顔をみた。
まぁ、私も椅子で寝たせいか、朝イチ起こされたせいかまだ眠い。城にかえってもう一度寝なおそう。
ふぁーあと王女が人前では許されない欠伸をした後メイリーンは身一つで馬に乗る。
いつものような早掛け。風が気持ちよい。
昨日はいろいろあったけど、今日は昼からぐっすり寝れそうだ。
心地よい風に包まれ晴れやかな雰囲気の中、
また、ひとつ思い出したのだ。
やっべ、鎧忘れてきた!!
しかも、今顔隠してねー!!
訂正しよう。また、メイリーンは2つの事を思い出した。
しかし、今回は何もしなかった。
あの場所には姉や侍女がいる。そのうち怒りながら持って帰ってくるだろう。顔も別にこのスピードならば、誰にもばれない気がする。顔を認識される前に通りすぎるだろう。
そう思いながら城への帰り道を掛けた。




