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22/51

22.やばい。どう考えても甘い

昼食?の店を出た後から何だか、町の雰囲気が違う。どう違うのか目を凝らしてよくみると、兵士が多い。兵士だけではない、うちの騎士もいる。


「何か……あったのでしょうか?」


「そりゃ、何かあってるからね」


「え?」


「隣国の王子の僕と王女様が、今護衛の目の届かない場所にいるからだよ」

「ユスタさんを撒いてかれこれ3時間。全力で探して、くるであろう昼食の場所にもいなかったら、何かあったか心配になる人も、いるのかもね」


確かに、ユスタとはぐれてから結構たつ。戦場でよくおいていってるけど、必ずユスタは私をまず一番に探してくれる。そして開口一番に「お嬢様の実力は信じてますけど、それでも心配なのです!」と怒ってくる。

成る程。それと同じ状況なのね。


「夕方まで時間くれるかなぁと思っていたけど、僕がそんなに信用ないのか、過保護なのか。どっちもって事かなぁ」

「最後の日だし、もう少し誰にも邪魔されず二人っきりになりたかったけど、こんなけ目が多いと難しいね。さすがに僕も此方の城下図までは頭にいれてないからなぁ」

「見つかったらまた護衛つけさせられるもんなぁ。まいた意味ないもんなぁ。うーん」

はぁ……と少しため息をついたシエルは

「メイリーン。残念だけど帰ろっか」

そういいメイリーンの手をとり、兵士の方に歩こうとする。



かえ、る……。

そっか、確かに凄く探されてる。帰った方が良いのかも。

でも……


「メイリーン……?」


思い出すのは今日の出来事

石の店でシエルは経済を大事にしてると知った

大会ではシエルの観察力に驚いた

そのあと将来についても少し話して

お昼ご飯の時にはいつもと違う表情をみた


まだ3時間。でも、今日は凄く楽しい。

それが、もう、おしまい


メイリーンの足が全く動かない。鉛がついたように凄く重い。

不信に思ったシエルが再度メイリーンの名前を呼ぶ。



繋いだ手に力が入る。

「帰り……たく、ないです。もっと。もう少しでいいから、シエル様と一緒に……いたい」

わかってる。わがままだって思う。みんなに迷惑かけてるし……

でも……でも……




「メイ……リーン」

「………………」


しばし、二人の間に沈黙が流れる。

やっぱりダメかと思った時。シエルがため息をつきながらメイリーンに言う。


「はぁ……そんなさぁ、瞳揺らしてさぁ……。ずるくない?ずるいよね?全く……今に僕に拐われてもメイリーンは文句言えないよ。完璧に君が悪いよ」


「??」

「シエ、ル、様?」

何を責められているのかよく、わからない。


え?どういうこと?


なんて思っていると、タイミングよくシエルが答える。


「つまり」

シエルがまたメイリーンの手を引っ張る。今度は兵士がいた方と反対側

「僕も、もう少し君と二人でいれるように努力したいってこと」

「僕1人じゃうまく逃げられないけど、メイリーンと一緒なら土地勘あるし、なんとかなるでしょ。いや、なんとかする」




「だから、もう少しだけ、デート続けよう?」

ね?っといつものように笑ってくれた。

私、今日後何回彼に胸を締め付けられればいいんだろう。この甘い雰囲気に酔ってしまいそう。メイリーンは確かにそう思った。



その後は二人で、こそこそとまるでアサシンかのように動き回った。狭い路地を抜け、時にはでこぼことした道じゃない場所を通ったり、はたまた屋根の上をまたぐといった、貴族、ましてや王族らしからぬ行為をくり返した。

そして、たどり着いた場所は人気の少ない城下の北側にある寂れた教会。





の。






屋根の上。



ロマンチックになると思った?私は思った。ならなかった!!

あれ!おっかしぃな!教会ってファンタジーだと結婚の真似事したりすると思うんだけどなぁ!

でも、教会の中だと兵士が見回ったりしてるんだもん。それに王女や王子が屋根の上にいるなんて誰も思わないよね?そう思ってここにしたんだけど。



メイリーンは項垂れている。


こんなとこ、可愛げのある王女様がくるところじゃないなぁ……。しまった……。めちゃくちゃしまった。どうしよう。今から姉みたいに「高いところ、怖いわ、貴方が支えてくれなきゃ」って隣にいるシエル様にくっついたらいいのかな?


今更。

そう、今更。

散々道じゃない場所を通ってきたのに。しかもここにきて30分以上は経ってる。


白々しいな……。


それにああいうのは姉だから決まる。私がやってもなんだこいつってなる。ラナックに一度姉のマネしてみてやったことあるけど、かわいそうな者を見る目をされたのは忘れられない。


シエル様はどう思っているのだろう。


彼の方を見ると目が合う


「え?」


「風が気持ちよくて、良い場所だね。それに景色も良い」

しっかり目を合わせたあと、ふんわりといつものように笑う。

「メイリーンの家?っていうか城が結構遠くに見えるね。あそこってお昼ご飯食べたところかな?へぇ意外と中心部にあるんだぁ」


「……シエル様…楽しそうですね」


「僕は楽しいから。メイリーンも冒険してる見たいで楽しかったんじゃない?」


「……楽しかったです」

確かに楽しかった。壁をのぼるために工作したり、高すぎで流石にドレスのメイリーンでは登れないところはシエルが引き上げてくれたり。本当に冒険してるような気分だった。やはり自分は退屈な城よりも外が似合うのかもしれない

「凄く、楽しかったのです!」


「ふふ、だと思ってた」


「シエル様も楽しかったの嬉しいです」


「まぁ。僕の思う楽しいとメイリーンの思う楽しいは少し違うかもしれないけど。確かに冒険も楽しかったんだけどね」

「だって、表情が違うからさ、花畑とか湖とかあのときもどこか緊張しているようで、慣れなさそうな感じで、まぁ君はいつでも可愛くて愛しかったけど」

「さっきのメイリーンは凄く楽しそうだった。僕は楽しそうな君をみて、楽しいと思った」



「……シエル……様」

そんな風に、思ってくれて……



「それにさ」

「今、本当に二人っきりだと思わない?」

「護衛もいないし、周りに人もいない。教会の人間だって誰も僕らに気づかないでしょ」


ん?



「昨日の夜の続き、する?」



ん???



「あ、あの、シエル様?あの?」

急にシエルの雰囲気が変わる。凄く覚えている。これは図書館で会った時と似てる。めちゃくちゃ色気があって……。



わたわたとしていると、最初に奪われたのは手。座る時に重なりあわせていた手を握りなおされる。指と指を絡めるように繋がれると慣れないメイリーンはそれだけでどきどきしてしまう。

距離を詰めてきたシエルに次に奪われたのは腰。腕を回され、なんだか逃げられないようになってきた。

最後に奪われたのはやはり唇だった。


シエル様との2どめ口づけは、いつもユスタと食べるお菓子より、姉の作るお菓子より、



―――甘い。



何度か口付けを交わした後。

メイリーンはもう限界だと訴えた。これ以上は心臓が持たないことを伝えると。


「確かに僕も、もたなさそう。心臓ではないけど」

「それに日が沈みかけてるね。完全に沈むと危ないから。帰ろうか」



なんて言われ、子供扱いをされた

「私……夜道は怖くないですよ?」

と、ちょっと拗ねたように返すと


「怖いのは夜道じゃなくて、隣にいる僕になると思うなぁ?」


「???」

謎な返しかたをされた。

あ、なるほど、襲われたときに私がシエル様を守れない可能性がある、そういうことね。

確かにシエル様を守りきれないなんて凄く怖い。




「帰ろっか。メイリーン」

「いい思い出をありがとう。本当に今日は楽しかった。すごく心が満たされた」


「そんな、私こそ、楽しかったのです。いろんなシエル様をみれて、幸せでした。く、口付けも、その

、、う、嬉しかったで、す」



「うん。最後に爆弾落とすのやめようか、帰れなくなって困るの君なんだからね」


こうして、シエルとの城下デートは終わった。


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