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21.やばい。城下の情報やばい。

シエル様と一勝負終えた後(といっても勝手に私がそう思っているだけだが)現在はお昼御飯を食べている。おやつではない。お昼ご飯だ。例え今3時だとしても!

昼に起きて何時間かぶらついたらそうなるよね!

メイリーンは開きなおることにした。


そして、何を血迷ったのか、今ここは酒場。ただ、酒は飲んでいない。城下に忍んだ時何回か来たことがあり、ここのご飯がボリュームもあり凄くおいしいのだ。


やってしまったなぁ……。酒場て……酒場だよ……。しかもここ……。


メイリーンはイカスミパスタを頬張りつつ、ちらりと辺りを見回す

右の席にはがたいのよいおっさん

左の席にはがひげ面の筋肉もりもりなおっさん

シエル様の後ろの席にもがたいのよいおっさん

私の後ろの席も声や話してる内容から察するに……筋トレ大好きおっさんだろう。

見渡す限りむっきむきなおっさんが多い。

他の客もいるが、むっきむきな筋肉達に囲まれて姿が見れればよい方。むしろ見れたらラッキー、そのくらいむきむきマッスルのおっさん率だった。

ちなみにウェイターもそれは見事なマッスルをお持ちのおっさんだった。この分だと厨房もむきむきなおっさんに囲まれているに違いない。


なんでこんなにむきむきのおっさんいっぱいいるの?まっちょなおっさん製造店なの?こんないたっけ?

思い出そうとするも、自分の記憶は、ある日はエルウェンとイカ飯うめー!さらにある日はラナックとパエリア最高かよ!ときゃっきゃしてた記憶しかない。

思うとエルウェンもラナックもむきむきなおっさんだから、私はその場に溶け込んでたような気がする。私自身も筋肉達に囲まれ、見えたらラッキーみたいな存在だった気がする。

ちなみにユスタとはここには来てない。ユスタと城下に遊びに行くときは、ケーキやクッキーを女子同士きゃっきゃうふふしながら食べるのが楽しいのだ。そして、お土産には一番おいしかったものを姉にプレゼントするのだ。

そうすると、雷が少し和らぐ。ほんの気持ち程度。ほんとまじで1ミリくらい。

しかし、男ども行くときは公務もあるが、ユスタと行くときは姉に黙っていくので、ほんの気持ち、例え1ミリ程度でも効果があると信じている。

……信じている……。


話がそれたが、こんなおっさんたちの中でシエル様とご飯を食べるのは些か違和感がある。

荒れ地に咲いた一輪のバラ。魔王に支配された世界での勇者の誕生。

そのくらいの奇跡さ、珍しさ。


「あの、シエル様、なんか、すみません……」

おっさんばっかで、筋肉もりもりしてて、


「……?、どうしたの?イカ飯おいしいよ?」


「そ、それはよかったのですが……」


「僕が要望したんだし、メイリーンのオススメの店にこれて嬉しいよ」


そうなのである。お昼御飯を食べようという話になり、姉にここにいったら間違いないからいっとけとオススメされた場所もあった。しかし、シエル様の要望はユスタとあまりいかないようなところと、それはもぅ可愛らしく言われたので、てんぱって深く考えていなかった。

それ故に、パッと思いついたところがここであった。当然血迷っている。


もぅちょっとなぁ……。シエル様と一緒にくるところじゃあないよなぁ……。

シエル様は居心地悪くないのかな。回りはもりもり筋肉たちだよ……?


なんてシエルの方をみると、シエルの奥に、レアキャラ、つまり普通の体型のしかも女性を見つけた。

どうやら筋肉ウェイターに話しかけていた。

「ねぇきいたぁ。お城の王女様ついに結婚するらいわよ」


ごふっ……


「え?大丈夫メイリーン」


「あ、はい。大丈夫……です。ちょっと驚いたというか……」

え?城下の情報はっや!

あれ、まだ正式に発表してないよね!


「おぉ、なんでも、隣国の王子様とらしいな!まぁライラックとは今後も仲良くしたい所だし妥当なんじゃねぇかなぁ。」


「妥当!?見たことないの?隣国の王子様!なんでも天使の生まれ変わりといわれるほどの愛らしさらしいわよ。すんっごくかわいいのよ!……なんてまぁ私も姿絵でしか見たことないんだけどね?でも、文武両道で国民にも慕われているらしいのよ!そんな方と結婚なんて、私も王女になりたかったわ」

あわわ。流石シエル様。国境を越えてまで轟く勇姿。すごいなぁ……すごいなぁぁ。


対する私は世間様でなんて言われているかご存じか?確か姉が昔……

「そんな事いったらうちの国の王女様だって絶世の美女だぞ?視察に来るときに見かけた。あれは誰もが心を奪われる美女だった」

え?まじで?あれ?いつの間にかそんな評価上がった?私やれば出来るこだったか。YDKか、それはそれは。

「こぅ、雰囲気としてはどこまでも儚げで、誰もが守ってあげたくなる。そんな感じだった。噂では話も仕草も完璧令嬢、深窓の姫君らしいぞ」

おおおぉ。まじかまじか。私そんな風に今なってるの?

「俺は王子になりたかったよ」

おおぉ。いいこといってくれるじゃんムキムキウェイターくん!私は凄く感動したよ!ありがとう!

「まぁなんでもいいけど幸せになってほしいよな。アイリーナ王女様にはよ」


ってそれ姉ーーーーー!!!!!!


えぇぇぇ!!え!姉!ねぇそれ姉!!

結婚するの姉じゃないよ!!

なんでそうなった?え?じゃあ、あの誉めは全部姉?結婚したいのも全部姉?おいおい、それはないんじゃないか?


心の中で永遠とムキムキウェイターくんにツッコミを入れる。



「…………ふはっ……」

すると、イカ飯を食べ終わったシエル様が急に笑だす。


「ど、どうか、したのですか?」

いつもより何処か無邪気そうに笑う表情にきゅっと胸が締め付けられる。


「全部、顔に出……いや……」

「可愛いなぁと思って」


「へあっ?!」

え?いや、貴方の方がかわいいけど!?


くすくすと笑うシエルは破壊力抜群である。確かにいつものようにキラキラ背景纏うシエルも可愛らしいが、今日はいつも見る表情と違う。少し大人びていて、此方を見る瞳が悪戯めいている。優しい、甘いだけの瞳とはなんだか異なる。

見たことない表情。それがメイリーンの胸を高鳴らせる。



「ねっ、メイリーン、そろそろ次の所に行こうか」

あどけない表情をメイリーンに向けたままシエルは次の場所へ誘った。


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