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魔女と聖女は紙一重  作者: 未々山田


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2.アリアと聖女学院

 入学当初、アリアは4年遅れで入ってきたため、力が低いものがあとから入ってきたと軽んじられた。その上、聖なる力を持つ者は高貴な身分の者が多く、アリアの同学年も11人中10人が貴族の出身であったため、孤児院から来たアリアを見下していた。


 しかし、その扱いは最初の授業で一変した。


 幼い頃に絵本の見よう見まねで魔法もとい聖なる力を使え、こっそり魔法を練習し続け、14歳の時には隠しきれないほどの力を持ったアリアが他の聖女見習いに劣るはずがなかった。


 はっきり言ってしまえばアリアの才能は別格であった。


 格の違いを見せつけたアリアは、完全に貴族の娘たちを敵に回した。彼女たちのプライドを傷つけたのだ。


 以後、アリアへの嫌がらせが始まった。アリアの机を隠したり、アリアの持ち物を隠したり、大声でアリアの悪口を言ったり、アリアにわざとぶつかったり、と様々な嫌がらせが始まった。


 しかし、そのたびに元来強気なアリアは犯人がわかっていれば即3倍返し、犯人が特定できなければ怪しい奴を片っ端に殴るのであった。その上、アリアがどれだけ暴れようと、アリアの才能を認めていた教員たちは強くアリアを叱ることができず、嫌がらせの犯人が特定されていた場合はその犯人だけがこっぴどく叱られた。


 結果1週間もせずにアリアへの嫌がらせはなくなり、多くの者がアリアと絡まなくなった。


 そんな中、アリアに話しかける女生徒が二人いた。


「アリアちゃん、ご飯一緒にいい?」

 ひとりはアリア同様、平民でありながら聖女見習いとなった少女ジェンヌであった。ジェンヌは短い黒髪に、本人は気にしているが、そばかすが良く似合う、笑うとえくぼができる、可愛らしい女の子であった。


「勿論、というか、もうそんなのいちいち確認しないでよ」

 ジェンヌはアリアが入学したその日からアリアに積極的に話しかけてくれた。アリアは最初は同じ平民の出というだけで、話しかけてきたものだと思ったが、ジェンヌと話しているうちにそれは間違いだったと理解した。アリアとジェンヌはすぐに友達なった。


 ふたりが食堂で昼食を楽しんでいるその横を、ひとりの女生徒がアリアがお茶を口にしたその瞬間を見計らったかのように通り過ぎながらアリスの頭に肘をぶつけた。


 アリアは口に含んだお茶をすべて吐き出した。


「ちょっと!! 何するのよ!!」

「あーら、ごめんなさい。でもあなたのお顔がでかいのが悪いのではなくて? アリアさん」

 女生徒の名はリリー。黒く艶やかな長い髪を持ち、人をおちょくっているような釣り目が可愛らしいと評判の女の子であった。


「なにがごめんなさいよ、明らかにわざとじゃない」

「失礼ね、わざとじゃないわよ、事故よ、事故。だから今こうして謝ってるじゃないの。心優しいアリアさんは許してくれますよね?」

 リリーはただひとりいまだ心折れずアリアに突っかかっていた。


 リリーはアリアが入学する前まで首席であった。しかし、その座を絶った数日でアリアに奪われてしまった悲しき聖女見習いである。それ故に、他の誰よりもアリアに対抗心を燃やしていた。そして、それほどまでにリリーが首席にこだわる理由があった。

 アリアはその理由をこの後すぐに知ることになった。



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