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運命の番の妹様は、溺愛されて幸せです!~今更、私が番だったと言われても困ります~  作者: 夕立悠理
一章

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その性を(レナード視点)

(レナード視点)

 紙吹雪が宙を舞う。華やかな歌声が空気を震わせる。

 その全ては、素晴らしい今日のために。

 これ以上なく、大切で、最良の一日になるべき今日のために、整えられたものだった。



「ね、陛下?」


 小首を傾げて、私を見つめるスカーレット。

 あんなにも愛おしいと好きだと叫んでいたはずの心は、今や急速に冷え切っていた。


「……はやく、」


 早く魔の森に行かなければ。

 そうでなければ、私の本当の番は、愛すべき私の番は。


 心ばかりが急くのに、体は暴風雨の中を立ち尽くすかの様に力が出ない。


「大丈夫ですよ、陛下」


 ーー大丈夫? なにが?

 

 大丈夫な要素など何一つはない。

 まるで慈愛のこもった、それこそ、聖女のような表情で、ただのスカーレットは微笑む。


 そう、ただのスカーレット。

 番ではない彼女に意味はない。それどころか、気を抜けば、殺してしまいそうだった。


「……あの子はあなたを愛さない。何があろうと。それだけは決まっているのですよ」

「ーー!」

「あら、怖い顔。私を殺しますか? それもいいですね」


 スカーレットは告げる。まるで、楽しむ様に、嗤うように。

「でも……あの子はどう思うかしら。あの子の姉である私を殺した陛下を、愛せるかしら?」

 ーー姉、そうだスカーレットは、我が番の肉親なのだ。


「姉なのに、大事にしなかった……」


 いつも寂しげに目を伏せた番を思い出す。

 私たちが二人でいる時、家族の輪に入れない時、使用人たちに噂されている時。


 いつも、彼女はその美しい瞳を伏せていた。


「『私』は、大事にしましたよ? あの子ほどではなくても、少なくとも陛下、あなたよりは」


 だってねえ、と笑いながらスカーレットは続ける。


「穏便に、優しく、他の国に逃してあげるはずだったのに。国外追放したのは、あなたでしょう?」

「!」

「言ったでしょう、陛下。あの子は、あなたのその性(さが)を愛さない。番以外はどうでもいい、番でさえいれば愛する。そんな性を受け入れられない」


 まるで、未来でも見通すかの様に、スカーレットは断定した。


「あなたが神の国で見初めたあの子の優しさは、あなたに牙を向く。あなたを愛さないという結果によって」

「……れ」


 ーーそんなこと、わからない。

 私が大切にできなかったのは、偽られたからだ。偽られたから、大切にできなかった。

 本当に愛すべきだったのは、彼女だったのにーー。

「黙れ、スカーレット。お前が、我が番を語るな」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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