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運命の番の妹様は、溺愛されて幸せです!~今更、私が番だったと言われても困ります~  作者: 夕立悠理
一章

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確信

 守り手になるということは、シュバルツの教育者としての責任、そして王太子の婚約者としての責任、背負うべきものはたくさんできる。


「ルカニア様もシュバルツも私に優しくして下さいました」


 優しくされたから頑張る。それだけだと、子供の様な理由だ。

 でも、きっと二人は私が守り手じゃなくても、優しくしてくれたのだと思う。だからこそ、私はその優しさが嬉しかった。

 優しさは、透明人間の様な私がずっと触れられなかったものだったから。


「私は、二人にも、二人以外にも、優しくありたい。もちろん、過酷な決断をする必要もあるでしょうけれど……その必要がないときは、二人の様に善意を差し伸べられる人でいたい。……なんて、甘すぎる考えかもしれませんが」


 私の話に割り込むことなく、耳を傾けてくれていたルカニア様は、ゆっくりと首を横に振った。


「ありがとう、アオリ嬢。あなたのその善性を、損なわせない俺たちであり続ける」


 ルカニア様はそう言って微笑むと、私の手の甲に口付けた。

「ーーあなたの全てを大切にすると、誓う」

「!」


 男性に手の甲とはいえーー口付けられたのは初めてだ。思わず、頬に熱が集まるのを感じる。


『ルカニア、かっ飛ばしすぎ』

「え? あ、ああ! すまない。感極まって、また同意も得ずーー」

「……ふふ」

 さっきまであんなに格好よかったのに。急にあたふたとしだしたルカニア様に肩の力が抜けた。


「アオリ嬢?」

「いえ。……ふつつか者ですが、よろしくお願いいたします、ルカニア様」

「こちらこそ、よろしく頼む」

 微笑んで、見つめ合う。きっと、この人となら大丈夫ーー胸に浮かんだ言葉に、強い確信を持てた。




◇



 ーーその後。夜も遅くなってしまったので、ひとまず、私のこれから滞在することになる部屋に案内されることとなった。


「ここがあなたの部屋だ」

 私の部屋はどうやら、シュバルツのすぐ隣らしい。教育係として対応しやすそうだから、少し安心した。


「はい。ありがとうございます」

「あなたの専属の侍女はーー」

 ルカニア様が呼び鈴を鳴らすと、すぐに侍女服を見に纏った女性が出てきた。


「はい、お呼びでしょうか?」

 まとめ髪に、緑の瞳が特徴的な綺麗な女性だ。


「アオリ嬢、こちらはイーズ。あなたの侍女となる」

 イーズは、私……そして、シュバルツを見て目を瞬かせたが、すぐに、うなずき、礼をした。


「イーズと申します、アオリ様」

「初めまして、イーズ……」

 なにか敬称をつけようか迷った結果、呼び捨てになってしまった。でも、イーズは特に気にした風もなく、頷いている。

 よかった、それで正解の様だ。


「イーズ。わかっているとは思うが、アオリ嬢は、守り手だ」

「はい。守り手様をお任せいただき、ありがとうございます、ルカニア殿下。誠心誠意お仕えいたします」

「ああ、頼む。……アオリ嬢」

 どうしたんだろう。

 ルカニア様は、私に向き直ると微笑んだ。


「もし、何か困り事で同性の方が相談しやすければイーズに。大抵のことはなんでもできる。そして、困り事があってもなくても、俺やシュバルツのことも頼ってくれ。俺たちは、いつだってあなたの力になる」

「……! はい、ありがとうございます」

 温かい言葉に胸が熱くなる。

「ああ。……また明日も説明や何やらで忙しくなる。今日は、ゆっくり寝るんだよ」

『ふわぁあ。僕も眠いや、おやすみ、アオリ』

「はい、おやすみなさい。ルカニア様、シュバルツ」


 二人の後ろ姿を見送って、部屋に入る。

 すると、イーズが真剣な瞳で私を見つめた。

「アオリ様、湯浴みの前にーー、お召し物を脱いでいただけますか?」


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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