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僕の部屋がアイテムボックスになった件  作者: ぎあまん


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妥協案はどこに?



「私は納得していないわ」


 と、ここで意地悪を言う堂城さん。

 僕は片手にスマホを出して真白にメッセージを送信。

 そして堂城さんのスマホからメッセージの通知音。


「!」


 シキを抑えたまま片手でスマホを見て固まる堂城さん。

 そして僕をギギギと睨む。


「尾羽くん、あなた意外と策士ね」

「いや、これで策士とか言ってたら孔明にダッシュパンチされるよ」


 真白に「堂城さん暴走中ヘルプ」って送っただけだからね。

 ちゃんと「ありがとう」と送っておいたよ。


「ふう。わかったわ」


 堂城さんが手を離す。


「それで? どう妥協案を出すのかしら?」


 堂城さんが僕を見る。

 シキも僕を見る。


 つまり、僕に妥協案を出せと?


「ええ……」


 ほとんど事情のわかっていない僕にやらせるとは……。


「堂城さんは百鬼夜行が起こらない方がいい?」

「そうよ」

「シキは起こした方がいい……っていうか、戦いたい?」

「ああ」

「ていうことは、戦う相手は百鬼夜行じゃなくてもいいんじゃないの?」

「いいや、百鬼夜行がいい」

「むむむ」


 これは……あれか?

「今日はパスタの気分!」的なのを強情化させた感じか?

 さすがバトルジャンキー。

 食事の気分で戦う相手にこだわりをみせる。


 いや、感心してる場合じゃないな。


「ううん。それなら……」


 うんうん唸って頭に浮かんだのは……アイテムボックス。

 困った時の姉頼みにしたいけど……なにを頼むかぐらいは考えないと。

 そして、アイテムボックス……限られた空間。


「どこか一ヶ所……運動場みたいなところに限定的に百鬼夜行を出現させて、そこで戦わせるとか……そんなことはできないのかな?」

「へぇ! いいじゃんかそれ⁉︎」

「……それで散らせることができれば、再封印よりはマシかもしれないわね」


 シキはノリノリ。

 堂城さんは渋々という雰囲気かな?


「問題は集まった魑魅魍魎を出さないようにする結界ね」

「入ることはできても出ることはできないってことだな」


 う〜んと二人が唸る。


「できない?」

「できなくはないかもしれませんが……」

「本家の連中に言えばなにか思いつくかもしれないが、アタシは知らん」

「僕も伝手を頼ってみるけど……」

「では、こうしましょう」


 と、堂城さんが提案してきた。


「次の文化祭までにこの方法が見つからなかった場合は封印ということで」

「はぁ? ふざけんなよ?」

「自分の願望を他人任せにして恥ずかしくないの?」

「ぐぬぬぬ」


 シキは不満そうだけど、堂城さんの言い分も正しい。

 僕としてはそれよりも。


「文化祭までって、そんなにのんびりしてて大丈夫なの?」

「夜行さんが人に憑依するというのが普通ではないの。つまり、それだけ疲弊しているということでしょう。なら、それぐらいの余裕はあるはずよ」

「それなら……」

「とはいえ、楽観視して失敗するというわけにはいかないから、家の者にそのマッハとかいう人物に見張りを付けます。悪角が狙っているという不確定要素もあるので」


 そういうことなら安心かな?

 話し合いが終わったかなと思ったところで昼休憩終了のチャイムが鳴って、僕たちは教室に戻った。


 で、学校も終わる。

 もしかしてマッハさんが迎えに来てるかもと思ったけれどいなかった。

 シキに事故物件に連れて行かれることもなく、真っ直ぐ帰宅。


「おかえりなさいませ!」

「ただいま〜」


 真白に出迎えられ、今日のことを報告する。

 マッハさんのことはどうでも良さそうだったけど、堂城さんとシキに弁当を持って行く話にはご不満な様子。


「旦那様の手作り弁当を……」

「真白にも渡してるよね?」


 人の姿になれるとわかったから、僕が学校に行く時は弁当を渡すようにしている。


「そういう問題ではないです。旦那様のお弁当はましろのなんです!」


 ううん。

 とりあえず頭を撫でよう。


「なんで⁉︎」

「なんか可愛かったから」

「え〜えへへへへ」


 よし、機嫌がなおった。


「というわけで、二人をしばらく弁当で飼い慣らすことになったから」

「お母様を飼い慣らす……旦那様、悪ですね」

「そうそう……こういう……本来の目的とは関係のないことでまで全力で行動したくないよね」


 なんか、流れで人助けしたら仲裁役とか色々しないといけないって……どうなんだ?


「むう。お母さんを注意したいですけど」

「まぁまぁ、百鬼夜行って起こったら大変なんでしょ?」

「そうですね。その地域の霊的なバランスにも影響してきますし、人が鬼になることもありますし」

「人が鬼?」

「はい。負の感情が強すぎる人に魑魅魍魎が集まって鬼になる人がいるのです。関東のあの御方とか、太宰府のあの御方とか、白峯のあの御方とか」

「え〜本当に?」


 ビッグネームを出してきたけど、ちょっとそれは凄すぎない?


「あ、いまはそこまでの鬼は出てこないと思います。霊的整備がかなり進んでいますから」

「裏東京みたいなの?」

「あそこまで大規模なものではないですけど、はい」

「でも、そんな危険があるならちゃんとやらないとね」


 地域の平和のために。


「旦那様はやっぱりヒーローになれますね!」

「なる気はないんだけどねぇ」


 悪ノリとはいえ、なんであんなのを作ってしまったのか。

 ちょっと後悔したのだった。

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