↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の部屋がアイテムボックスになった件  作者: ぎあまん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/119

世界的隣人ではない



 ワゴン車を追いかけるため、変身して走る。

 国道とは逆方向、山の方に行く道か。

 このまま車の後ろを走り続けるのは目立つな。

 こんなことになるとは思っていなかったから妖刀・風魔魂や隠れ身パーカーとかが当然ない。

 つまり、人目を忍ぶ方法がない。


 どうしたもんかなと思っていると、いきなり左腕が勝手に動いた。

 前に突き出し、左手の先から黒い糸が飛ぶ。

 サンドスライム?

 ネバネバ砂鉄な寄生スライムは手の先から糸のように射出すると、ワゴン車に命中した。

 意図を理解した僕は宙に飛び、糸を引っ張ることでワゴン車の屋根に着地した。


「な、なんですかその技は⁉︎」


 真白が当然驚いている。


「ええと……」


 ワゴン車の屋根にベッタリと張り付いて目立たないようにしつつ、真白に経緯を説明する。


「そんなのダメですよ!」


 やっぱり寄生されているのはダメだよな。


「それは蜘蛛の人の技です。旦那様は蛇モデルですよ!」


 ん〜〜そっちかぁ。


「それ言い出したら飛ぶ時用の翼はどうなるのさ」

「空を飛ぶ蛇もいますから!」


 いや、あれは滑空しているだけというね。

 でも、それなら……。


「……蛇の尻尾的な技ってことでどう?」


 ほら、蛇も長いしさ。


「あっ、なるほど! それなら問題なしです」


 納得しちゃったよ。


「ええと……寄生されていることに対してはなにもなし?」

「それを言ったら、ましろも月丸を呑んでいますよ?」


 そういえばいたね、あいつ。


「義姉上様が大丈夫と太鼓判をしてくれているのですから、心配ありません!」


 うちの姉がそんな絶大な信頼を勝ち得ていることに納得いかない気持ちになりつつ、車内の音に耳を澄ましてみる。

 だめだ、聞こえない。

 死んでたらどうしよう?

 とはいえ、こんなところで車を止めさせるわけにもいかない。

 ワゴン車自体が人目の少ないところに移動しているようなので、向こうの目的地までじっとしていることにする。


 ざっくりと山の方に向かうと言ったけれど、堂城さん家のある巣馬子町とは反対側に向かっている。

 山側の道を選び続けた結果、ワゴン車は隣の市に入り、そこで狭い道に入り込んで一軒の建物の前で止まった。

 五階建てぐらいの建物。

 一階は飲食店だったみたいだけれど、すでに閉店している様子だ。

 降ろされたところで助けようかと思っていたんだけど、その飲食店の前ですでに五人の男が待ち構えていて、さらに店の中にも何人かいる様子だった。


 作戦変更。


 見つからないように建物とは反対側に下りて、様子を伺う。

 車から引き摺り出されたのは、やっぱりシキの運転手をしていた男だ。

 移動中にも暴行を受けていたのか、ぐったりとしている。

 運ばれるってことは生きてるってことだろう。


 とりあえず、裏口から静かに入れないか試してみるか。

 ワゴン車から離れて建物沿いに進んでみると、裏口らしき扉は見つけた。

 けど、鍵がかかっている。

 当たり前……か。

 ううん、こういう時はやっぱり……うん?

 サンドスライムが左手から触手みたいに姿を見せて揺れている。

 任せとけ? ってことかな。


 試しにドアノブに近づけてみると、触手を鍵穴に潜り込ませた。

 すぐにカチリと音がする。

 便利だな。


「やるじゃん」


 と言ってみると「まぁね」って感じで答えた気がした。


 ドアを開け、なるべく音をさせないよう、抜き足差し足で進んでいく。

 倉庫だったらしい場所から厨房に辿り着き、そして客席のあるフロアが見えた。

 客席の一つにLEDランタンを置いて、そこに連中は集まっている。

 運転手の男は腕を縛られ、床に座らされているようだ。


「……で、アレはどこだ?」

「…………」

「黙ってんじゃねぇ!」

「ゲホッ!」

「お前が隠し持ってんのは知ってんだよ。さっさと吐け!」

「……誰が」


 運転手は質問に答えるのを頑なに拒否して暴行を受けている。

 まさか、ヤクザの物を持ち逃げして捕まったとか……そういうんじゃないよね?

「アレ」っていうのがなんだかわかんないから、どうにも対応が難しいな。


「旦那様」


 悩んでいたら、真白が囁きかけてきた。


「あいつら、人ではありません」

「え?」

「悪角(おづの)。蛙どもです」


 悪角。

 前に聞いたことがある。

 蛇と蛙と蛞蝓の妖怪世界の三すくみ。

 この辺りでは断鬼(蛇)と悪角(蛙)と斜九字(蛞蝓)がその代表なんだったかな?

 だけど、いまは蛇が神に昇格してるから一強状態だとか。


「相手が悪角なら、どうせろくでもないことです。やってしまいましょう」


 それも偏見な気がするけど……。

 まぁ、襲われてるのがシキの知り合いなんだし?

 フォローなら後でもできるかな?


 それならまずは……サンドスライムで車に飛び乗った時のあの技……よし命名スネークウィップで知り合いをまず掴み、隠れている厨房の方に引き寄せる。


 ほぼ気絶状態の知り合いは薄闇を縫って走ったスネークウィップに胴を掴まれ、あっさりと引っ張られた。

 宙をかけ、厨房の中へとやってきたところでキャッチ。


「あ、あんたは」

「休んでて」


 とりあえず縛られている縄を手で千切ってから、僕がフロアに出る。


「なんじゃテメェ!」

「おんどれあっ‼︎」


 よくわかんない脅し声が上がる中、客席に座っていた男がゆっくりと立ち上がる。


「変な格好しとるが、お前のその気……断鬼の者かぁ!」


 恰幅の良い中年男がそう叫ぶと、LEDランタンだけの薄暗い中に濃密な殺気が湧いた。

 そして、男たちの姿が変わる。

 額に一本から二本の角が生え、肌がボコボコになり、目が飛び出てくる。

 角を生やした蛙っぽい顔の相撲取りのような姿がそこら中に現れた。


 ぶつかり合いが始まろうとしていたまさにその時、強い光線が僕たちの間を走った。

 道路側に面してある大きなガラス壁がその光を透かしているのだけど、その大元がまっすぐこちらに近づいてきていた。

 バイクだとわかった時には、それはもう宙に浮いていて、ガラス壁を全力で破って中に侵入した。

 いくつかの客席を蹴散らしたバイクは、顛倒することなくその場にある。

 そしてその乗り手は堂々とバイクから降りると、右手に六角棒を出現させた。


「あいつを攫ったってことはアタシに喧嘩を売ったってことで良いんだよなぁ? 返事はいらねぇ、もうそうなってんだよ!」


 赤葉羽シキは暗闇の中なのにはっきりとわかる嬉々とした笑顔で、近くにいた悪角の一人を六角棒でぶん殴った。

 


よろしければ、励みになりますので評価・ブックマークでの応援をお願いします。

下の☆☆☆☆☆での評価が継続の力となります。


カクヨムで先行連載していますので、よろしければそちらの応援もお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アイテムボックスの中の人!スパイダーマッ!
ヴェノムかスパイダーマンの新作見たでしょ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。