一人ヒーローショー
出来上がったパワーアップパーツを付けてポーズを決めるという一人ヒーローショーを見せることによって、真白の来客への怒りは収まった。
「これで改めて義姉上様奪還に迎えますね」
「そうだね」
真白はご機嫌。
ふんすふんすと鼻息も荒い。
僕はやり慣れないことをしたから疲れた。
なんか、変な所が筋肉痛になりそう。
でも焦って行く必要もない。
「さすがに今日は休みにしよう」
「ええ、もちろんそのつもりです」
慌てて行動して失敗しても仕方ない。
深呼吸。
一回、ちゃんと休憩をしよう。
せめて今日一日はちゃんと体を休めないと。
戻ってきてからバタバタとしすぎだ。
休憩……。
二人でダラダラとしてみたけど、すぐに時間を持て余した。
でも、東京観光とかする気にはなれないな。
せっかく来てるのにもったいないとは思うんだけど、気分が向かない。
ああ、そういえばと思い出したことを真白に聞いてみることにした。
「真白が中学生ぐらいに見えたのって……」
「えっ⁉︎」
と、僕が呟くと真白が驚いて体を起こした。
「ましろ、中学生だったんですか⁉︎」
「? そうだけど?」
赤葉羽シキとの戦いの時に見えた真白は中学生くらいだった。
「うう、もっと魅力的に見られないと……」
なにか無念そうだけど、僕が気になっているのはそこではない。
「あれってつまり、霊感が開いた的なことだったのかな?」
「ええまぁ。はい、そうですね」
ご機嫌だった真白のテンションが一気に下がってしまった。
悪いことをした……のかな?
「コホン」
しばらくベッドでぐだぐだした真白は、気を取り直してその場で正座した。
僕も合わせてベッドで正座する。
「旦那様の場合、霊感というか見鬼はもう開いていると思うんですよね。ただそれが、とても限定的というか」
「限定的?」
「はい。月丸の結界とか見えていましたよね?」
「うん」
いきなり月丸の名前が出てびっくりした。
結界というと、あのモールでのことだよな。
うん、見えていた。
「あれ? 普通の人なら訳がわからないまま気分が悪くなって倒れるだけです。でも旦那様は違いました」
それは……月丸が説明したからじゃないかな?
それに、倒せたのは変身スーツのおかげのような?
「もともと旦那様にその方面の素養があったのかはわかりません。ですがいまは、義姉上様のアイテムボックスから溢れる大量の霊気を浴びていますし、異世界の食事によって特殊な能力に目覚めてもいます」
「特殊な能力って……」
「スキル、というものを使いこなせるのは、間違いなく食事の影響だと思いますよ?」
と、真白が当たり前のように言うので、ああなるほどーと納得しそうになった。
なったけど、そうなのか?
真白は納得してるみたいだけど、僕はまだ肌感覚で理解しきれてない感じだな。
「それにこれは……聞いたことありません? 霊感は移る、みたいな話」
「ええと、怖い話?」
「はい、そうです」
動画とかの怪談なんかを聞くことはあるけど、たしかにそんな話を聞いたことはある。
「あれは本当にあることでして」
「そうなんだ」
「そもそも、人間は自分で霊力を発生させることはできません。この星や宇宙に流れている霊力を受け止めて、一時的に体内に留め、それを介していわゆる霊能力などを使っているのです。修験者などが山で修行するのも本来はそういうことです」
「はぁ〜」
なるほどね。
「対して、おそらくですが義姉上様が転生なされた世界の人間は、霊力を自分で編み出すことができるのだと思います。その原因はおそらく食生活にあるのでしょう」
つまり、僕に霊感が移ったのは姉が原因と?
「ええ、そんなことってある?」
ありそう、というかそう言われたら大体は姉が原因って納得できそうだけど。
でも、食事だよ?
内臓って普通、人間に必要な栄養素を取り込むことしかできないんじゃないかな?
「でも地球にいる人たちでも、場所によって消化できる物に差があったりしますよね?」
「ええと、日本人とかしかワカメを消化できないとか?」
「そうです。後は、日本人は塩分の摂りすぎに耐性があって、アメリカ人は糖分の摂りすぎに強いとか」
民族独自の腸内環境の問題であるとか?
本当〜? みたいな内容もあったりするけど、まぁそういうこともあるのかもしれない。
「ええと、つまり?」
「人はその土地独自の食習慣の影響を確実に受けているということです」
と、真白は言い切った。
「食事をすることで細胞が変異しているのか、あるいは腸内の常在菌に変化が起きるのか、あるいはそれ以外なのかはわかりませんが、旦那様は義姉上様のアイテムボックスで大量の霊力を浴び、そして異世界の食事をしたことで霊感を身につけています。確実に、絶対に!」
なんか最後の方の押しが強いな。
そして、僕ににじり寄ってくる。
「なので、もうちょっとましろをがんばって《《視て》》ください!」
「ううん」
そんなことを言われてもな〜と思ったり。
「ましろはいまのままで可愛いよ?」
「でも、手を付けて下さらないじゃないですか〜!」
その叫びは聞かないことにした。
よろしければ、励みになりますので評価・ブックマークでの応援をお願いします。
下の☆☆☆☆☆での評価が継続の力となります。
カクヨムで先行連載していますので、よろしければそちらの応援もお願いします。




