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僕の部屋がアイテムボックスになった件  作者: ぎあまん


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潜入と獲得



 月丸に囮をさせて僕たちはコソコソと赤葉羽邸へ向かう。

 途中で色々と怪しい存在、妖怪? がいたけれど全部無視した。

 最初から【透明化】とかで行けばよかったんじゃないかと思ったけれど、それは真白に止められてしまった。

 ああいうのは見えなくても使用された力の形跡というのが残るのだそうで、気付ける者にはすぐに気付かれてしまうのだとか。

 特に、こういうおかしな場所では力が視覚化しやすいので、使うのならここぞというタイミングがいいらしい。


「ここですね」


 真白が武家屋敷のような見た目の建物を示した。


「わかるものなの?」

「術法による防御がされています。こんな建物はここにしかありません」

「なるほど?」


 納得……はできるけど。

 よく考えなくても、こんな危ない場所に人が住んでいるのって、やっぱり変だよな。


「なんか、危険地帯でサバイバルしてるゲームみたいだ」


 テントから始めて武家屋敷にまで発展した的な?

 他に人がいる気配もないし、なんでこんなところに人が住んでいるんだろう?


「なんか、追いやられてるみたいだ」

「そんなものかもしれません」

「え?」

「キリスト教。海の向こうからいままでとは違う文化圏が訪れた時から、朝廷と幕府は種の違う霊力、呪術、術法による危険性を考え、この裏東京の基礎を作り始めました。そういったオカルティックな攻防をこの隠された地に集約させようとしたのです」

「うん」


 それは前にも聞いた話だ。


「そしてこの地の管理を任された元陰陽寮の家々は、ここに集まり続ける悪意との永遠の戦いを宿命付けられることになりました」

「永遠の戦い?」

「はい。国が続く限りは永遠の戦いです」

「そんなの……なんか、おかしくない?」


 永遠なんて、そんなこと……。


「まるで、厄介ごとを押し付けたみたいだ」


 それって……なにか、ふさわしい言葉があったような?


「はい。人柱ですね」


 真白が答えを言った。


「ただ、同情は必要ないかと」


 意外な答えに驚いた。


「どうして?」

「この場所に残るような人たちは、いわば戦闘狂です」

「戦闘狂って……なんでわかるの?」

「一度、会わされてますから」

「?」


 なんか、含みのある言い方だけど。

 そしてなんかちょっと不機嫌?


「っ! 隠れてください」


 質問する前に、真白の言葉で塀の影に隠れる。

 武家屋敷を囲う門の上に、誰かが現れた。


「あれは……人?」

「赤葉羽家の人間ですね。囮に引っかかってくれたのかも」


 遠くてわかりにくいけど、僕と同い年ぐらいっぽい感じの人影が、そのまま宙を跳ねるようにして月丸が暴れているだろう場所に向かっていった。

 さすが変な場所。

 人の移動も変だ。


「行きましょう。それと、ここからはなにがあるかわかりませんので」

「うん」

「あれしかありませんよね、アレ!」

「あ〜」


 変身ね。

 ワクワクしている雰囲気の真白に押される感じで変身した。

 真白の言う戦闘狂がどれくらいなのかわからないけど、僕としてもいざという時に顔を見られたくないし、ちょうどいい。

 こちらに正義はあっても法律は味方ではないのだから、顔バレなんてしない方がいい。


 それと、ここが使い所だ。

 妖刀・風魔魂によるジョブ【忍者】の力で【透明化】を使い、中に侵入する。

 門を飛び越えて中に入るのはすんなりできた。

 でも、なにか変だったような?

 空気になにかが混ざっていて、体に当たったんだけどすぐに消えたような?

 当たった時は、蜘蛛の糸が顔とかにかかったような感覚に近かった気がするんだけど?


「真白、なにかしてくれた?」

「はい。この屋敷に張られた法術を誤魔化しました」

「よくわからないけど、ありがとう。危ないことがあったら教えてね」

「はい!」


 庭に入ると、中にあるのも昔の日本家屋という感じだ。

 襖に仕切られた空間ばかりだし、軒先からどこでも上がりこめる。

 ただ、建物が広すぎるし、時代劇以上の知識がないから間取りなんかほとんどわからない。


 けれど……。

 こっちには失せ物探しのメガネ、ダウジングアイがある。

 変身前にかけておいたから、どこにあるのかそれでわかる。

 ダウジングアイの指し示すままに軒先から中に入り、奥へと進んでいく。

 相変わらず他の線が薄く放射状に伸びているけれど、一本の濃い線が近くにあることを示している。

 屋敷の中に人の姿はない。

【透明化】しているのが馬鹿らしいぐらいに人の気配がないけれど、解除するようなことはしない。


 ダウジングアイの線を追いかけた結果、一つの部屋に辿り着いた。

 金庫とか蔵とかそういう感じではない。

 普通の和室のように見える。

 奥にある違い棚だっけ?

 そこに置かれた千代紙の小箱に線が吸い込まれている。


 目的の物はあそこだ。


「なにか罠とか警報みたいなのは?」

「ありません」

「……なんか、すんなりだけど」


 心配になるぐらいに簡単で心配なんだけど……でも、これを取り戻しに来たんだ。

 ここで躊躇うわけにはいかない。


「取ったらすぐに脱出する。月丸は回収した方がいい?」

「無視して大丈夫です。指示しますので、そちらに向かってください」

「わかった」


 さっと小箱を掴むと、一気に屋敷を飛び出した。

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