表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の部屋がアイテムボックスになった件  作者: ぎあまん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/85

TokiO



 東京トキオーにやってきた。

 なぜかヒットマンの気分にさせられてやってきたけれど、もちろんそんなことはない。

 空港を出ると堂城家の者だという人物がすぐに僕を見つけてくれた。

 真白は蛇状態でジャケットの内ポケットにいたのにすぐに見つけたから、堂城さんが僕の写真を向こうに提供しているということになる。

 SNSに顔写真が出るよりも変な緊張感があるのはなぜだろう?

 ホテルまで車で運んでくれるとのことだったので、素直に好意に甘えさせてもらう。

 余計なことを話さない寡黙な運転手さんだった。

 僕としてもなにを話せばいいのかわからないので助かるのだけど……高級車の後部座席に一人でいるのはなんだか緊張する。

 真白はジャケットの中で静かにしているし。

 堂城さんに乗せてもらった時は、あくまでも堂城さんのおまけ的ポジションでいられたからよかった。

 だけど一人だと、この高級車は僕のために走っているということになるわけで……それがすごい緊張させる。


 ホテルに到着すると自分でドアを開けることも、荷物を持つことも許されない扱いで中に通され、チェックインの必要もなく部屋へと案内された。

 ホテルなんて……修学旅行で使ったのしか覚えがないけれど、部屋は間違いなくスイートとかVIPとか、通常料金では絶対にあり得ないような広さだった。

 うちよりも間違いなく広いんだけど?


「持て余すなぁ」

「ふふふ、そのうち慣れますよ」

「いや、これに慣れたらあそこに戻れないよ」


 ジャケットから出てきて人の姿になった真白に僕は言う。


「はぁ……ここに何日もいることになるのか」

「ううん、それはどうでしょう?」


 すでに金持ちの空気に疲れ始めた僕に、真白が首を傾げる。


「裏賀輪区に入ってからの私たちの用を考えると、成功すればすぐに帰ることになりますし、何日もかかるようだとホテルに戻れない可能性もあります」

「あ、そうなの」

「裏七区の入り口である裏賀輪区、その主人である赤葉羽家の屋敷に忍び込むのですから、簡単なことではありません」


 真白が硬い表情で言う。

 その空気を受けて、僕も生唾を飲み込んだ。


「ですが、旦那様ならきっと大丈夫です! 義姉上様の助力もありますし!」

「ああ、あれね」


 真白が言っているのは姉からもらった変身スーツだ。

 危険なことをする自覚はあるのだから、もちろん持ってきている。

 というか略唱紋は体に刻んであるのだから、いつだって変身可能だ。


「それより、もう夜です。晩御飯にしましょう」

「そうだね、どうしようか」

「どうせならホテルのご飯にしませんか? 実家持ちですからなにを頼んでも問題なしです!」

「あははは……ううん、それじゃあ……」


 ホテルにある店に行く?

 いやぁ、そんな高い場所で食べるような服は持ってきていないし。


「あっ、部屋に持ってきてもらうこともできるか」

「ルームサービスですね! なにを頼みましょう⁉︎」


 嬉しそうにする真白と一緒にメニューを見つけて相談する。

 そのうちに気が大きくなってなんかすごいステーキを頼んでしまった。


 うん、めっっっっちゃ美味しかった。

 材料がいいのもあるんだろうけど、やっぱプロの料理人ってすごいんだなって思う。

 この人たちに異世界の食材を渡したらどうなるんだろう?

 気になるけど、実現はしないんだろうな。


 真白と楽しく食事をして、それから風呂に入る。

 よくわからない操作にあたふたしながら体を洗い終えて出てくると、なぜか真白が緊張した様子で僕を見ていた。


「どうしたの?」

「旦那様……」


 緊張している真白を見ているうちに僕の危機感も起き上がってきたけど、彼女がそらした視線を追いかけている内に、あ、これは命の危険じゃないとわかってきた。

 部屋の壁の一方がなくなって、遥か遠くを写している。


「姉ちゃん?」

「やっぱりそうですよね!」


 真白が真剣な顔で確認してきた。


「なにこれ?」

「いきなりすごい霊力が向こうに現れて、壁に定着したんです。でも、感じ慣れたものだから、もしかしたらって……」


 つまり、真白にはいつも通りにあそこには壁があるようにしか見えていないってことか。

 それでいて、霊力を感じると。


「どうしましょう?」

「どうしましょうって、まぁ、僕のせいだろうから」


 行ってみるしかないよな。


「姉ちゃん?」

「あ、アキヤ? おかえり〜」

「ええと、ただいま」


 中に入ってみるといつも通りのアイテムボックスの光景だ。

 声をかけると、こちらもやはり姉の声。


「どういうこと?」

「なにが?」


 姉にわかっている様子がないので、僕は状況を説明した。


「んまっ! アキヤったらお姉ちゃんよりも先にアキバデビューする気なのね! 許せないわ! 許せないわっ‼︎」

「そういう問題?」


 姉のおふざけは脱力で受け流す。


「それ以外になにがあるっていうの?」

「入り口がこっちに来てる問題だよ」

「ああ、それ?」


 姉はなんでもないことのように言った。


「そんなの、アイテムボックスはアキヤと繋がっているんであって、あの部屋に繋がっているわけじゃないから、よ」

「は?」

「あのね。私がそっちの世界に心残りがあるとしたら、アキヤだけよ。あの部屋に未練があると思う?」

「ああ、いやううん」


 それはまぁ、そうかな。


「つまり、アキヤが移動すれば、アイテムボックスも追いかけてくるっていうこと、移動するまでのタイムラグは要検証ってところみたいだけどね!」

「なるほど……」


 それはつまり……姉も弟のことは心配してくれているってことか。

 なんか、そんな風に言われると……照れるな。

よろしければ、励みになりますので評価・ブックマークでの応援をお願いします。

下の☆☆☆☆☆での評価が継続の力となります。


カクヨムで先行連載していますので、よろしければそちらの応援もお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
赤葉羽 これ、最初私も読めなくて あかばう とか適当に読んでたんですが、東京デビューと絡めてふと思いました。 たぶん あかはばね かな、と。 赤羽は東京都北区にありますが、あまりデビューするような…
つまり堂城さん達にも特に未練がない訳だけどそれポロっと言うと堂城さん達が泣くよ?
>赤葉羽家 この読み方が分からなくてグーグル検索したら AI検索でこの作品がトップに出てきたのには驚いた。 『あかばね』はあまり一般的ではない当て字かな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ