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僕の部屋がアイテムボックスになった件  作者: ぎあまん


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後夜祭①



 渡されたコピー用紙にはなにかを印刷しているようだけれど、折り畳まれたままだとわからない。

 それはそうなんだけど……。


 え? これは見るべき?

 見る必要なんかないような気がするんだよな。


 変な奴の挑戦に乗る理由がない。

 マッハさんの時でさえ人助けっていう咄嗟にしてはわかりやすい大義名分があったけど、今回はまるでなし。


 なんで行く?


 幸いここはゴミ捨て場。

 見ずにそのまま捨てることだって可能ではないだろうか?


 もし彼の呪いが本物になったとしても、アイテムボックスの中に入ればエクトプラズムとなって手で除去できて、しかも姉が素材として喜ぶ。

 いいこと尽くめで放置が一番な気がしてきたぞ。

 呪いをするような人物が自滅とかする分にはどうぞご勝手に、なわけだし。


「あら、行かないんですか?」


 燃えるゴミに向かおうとしていると、いきなり声をかけられた。

 振り返った時、周りから音がなくなっていることに気付いた。

 まばらにとはいえ、ゴミを捨てに来ていた生徒の姿も無くなっている。

 残っているのは、この場には相応しくない女子大生ぐらいの人だけだ。


「ダーツで全弾命中した人だ」

「ええ」

「シキの知り合いなんですか?」

「まぁ、そうね」

「なら、シキが文化祭を手伝わなかったのでなんとか言ってください」

「ごめんなさい。私、あの子の保護者をしてるわけじゃないから、どうでもいいかしら」


 僕がその件を言うと、女性は困ったように小首を傾げた。


「そうですか」

「それより、さっきの彼の件だけど、お姉さんの勘では行った方がいいですよ」

「なんでです? もしかしてお姉さんが関わっているとか?」

「まさか〜そんなわけないじゃない。ただ、見かけただけ。でも……あれはあなたたちの責任でもあるから」

「どういうことです?」

「百鬼夜行、ちゃんと倒せなかったでしょう?」

「は?」

「今度はあの子に取り憑いて成長しているわ。それに……」


 にや〜と楽しそうに笑う。

 もったいぶる人だな。


「あなたが裏東京に来てまで探していた物。彼も持っているわよ」


 は?


「……なんでそんなこと、知ってるんですか?」

「蛇の道は蛇って言うでしょう? あら? 蛇のお婿さんに向かって使う言葉ではなかったかしら?」


 いや、知っててもおかしくないか。

 シキから話を聞いていれば、あそこで僕がなにを持って帰ったかを聞いていてもおかしくない。


「あの子の呪いなんてどうでもいいでしょうけれど、呪力を集める夜行さんと、それよりももっと強い存在かもしれないあなたの探し物。二つが合わさるとどうなるのかしら? ちょっと楽しそうじゃない?」

「お姉さんって、性格悪いって言われません?」

「ぜんぜん。それじゃあ」


 なんとなくそう言ってしまったけど、お姉さんには通じていなかった。

 いや、あの人自体は有用な情報をくれただけではあるんだけど……。

 なんか怪しいよね。

 微妙に嫌みっぽい感じで言うし。


 お姉さんが校舎の角で姿を消すと、また周りに音が戻ってきた。

 なにか陰陽術みたいなのを使っていたのかもしれない。

 退魔師って陰陽師の末裔なんだったよね?


「はぁ、仕方ないなぁ」


 姉の遺体の欠片(アレ)が使われたのか。

 なんか高価で取引されたらしいものを、なんで一介の高校生が持っているのか?

 その点からして色々と怪しいんだけど、とりあえず誘いに乗る理由ができてしまった。

 僕は、汚く折り畳まれたコピー用紙を開いて中を確認した。






「あれ、尾羽もこっちに来たの?」


 片付けとか全部終わって解散になって、指定の場所に向かうといきなり誰かに声をかけられた。


「……誰?」

「同じクラスの高橋だけど⁉︎」

「あ、そうだそうだ。ごめん、なにしろもう暗いし」

「まったく……それより、尾羽がこっちに来るとは思わなかった」

「そうかな?」

「そうだろ。文化祭後で事故物件肝試しとか、俺たちみたいな打ち上げに声がかからない連中がやることだろ」

「打ち上げなら、僕も声かかってないけど?」

「尾羽はそれ……彼女がいるし」

「ううん。いや、彼女や彼氏がいるのって僕だけじゃないし?」

「ははは、それはそう……いや、やっぱりなんでここにいるんだ? 幽霊に喰われてしまえ」


 高橋くんに呪いの言葉をもらいながら、僕は周りを確認する。

 学校からちょっと離れたところで、街灯もないから本当に暗いんだ。

 なので同じ制服の人が集まっているのはわかるけど、それが誰かなんてのまでわからない。


「ていうか、尾羽って意上(おもうえ)と知り合いだっけ?」

「え? たぶん違うよ」


 高橋くんの問いに、僕は首を振る。


「そっか。そうだよな」

「なに?」

「いや、そもそもあいつってこんなことを企画するような奴じゃなかったから、なに気張ってんだろうなって」

「ふうん」


 招待してくれた彼の名前が意上くんなんだろう。

 こんな急の誘いじゃなかったら、一度戻ってちゃんと準備とかするんだけど……まぁ仕方ない。

 変身とかはできるんだし、なんとかなるだろう。


「みんな、集まったね」


 真っ暗な中で意上らしき人物の声が響いた。

 顔の判別もできないくらいなのに、なぜか彼が僕を見たのがわかる。

 気持ちの悪い笑みを浮かべていた。


「じゃあ、行こうか」


 そう言って意上くんは先を歩き出す。

 僕たちは黙って付いて行った。

 高橋くんも普通に喋っているつもりなんだろうけど、この流れに黙って従っている。

 きっとみんな、なんらかの術のようなものにかかっているんだろう。

 

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