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僕の部屋がアイテムボックスになった件  作者: ぎあまん


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VS不死王作戦とオムライス



 百鬼夜行を倒した後は、けっこう平穏な日々が続いた。

 あ、マッハさんは後始末をしている間に逃げていた。

 怖かったから仕方ないと解釈するべきなのか、失礼だよなと思うべきなのか。

 ……どっちでもいいかな。


 考えてみれば、そこまでマッハさんのことに興味がないことに気付いてしまう。

 いや、最初からなかったといえばそうなんだけど、それでも前は目の前で拉致られていたら「助けなきゃ!」とか思えていたんだけど、もしあの場面にいま遭遇しても同じ行動はしないと思う。

 それはマッハさんの本当の姿を知ってしまったからだろう。

 堂城さんが言うように自首してればいいんだけど?

 いや、マッハさん的にはよくないのか?


 そんなわけで文化祭が近づいて浮ついた学校から逃げ出した放課後、僕は帰宅した。


「お帰りなさい、旦那様。見てください! これ!」


 そして家にも浮ついた存在がいた。

 真白である。

 真白は僕の部屋の床に大量の服を広げていた。


「どれを着ていこうかな〜」


 いろんな組み合わせを模索しているんだろうなっていうのはわかる。

 わかるけど……こんなに大量の服がどこにあったんだろう?

 間違いなく実家から送られてきたんだろうね。

 堂城さんが協力?

 いや、率先して送りつけてそう。


 そして……どうやってもいまの幼女状態の真白ではサイズ的に着れないんだけど?

 当日はちゃんとその大きさになるってことか?

 いまのところ、僕の霊力が少なくなった時? 使った時? にしか大きく見えないんだけど……。

 いや、僕に真白がこう見えているだけで、本当の真白はこのサイズなのか?

 だとしたら、どうして僕には小さく見える?

 最初にそう思ったからだけで、現実を騙せるものなのか?


「あれ?」

「はい?」

「僕って……心療内科にかかった方がいいのかな?」

「……いきなりどうしました?」

「いや、もしかして僕って心の病で真白が小さく見えているのかなと」


 心配になってきたよ。


「だからそれはましろがそういう存在だからなので、旦那様は悪くないですよ!」


 なんかちょっとモチャモチャしたけど、真白に説得されて落ち着いた。

 真白の大きさに変化があるのは、真白が物質よりも精神寄りの存在だから。

 観測する側の影響を受けやすいのだそうだ。

 普通の人になら、真白たちの方が精神……この場合は神力とか霊力が強いから一定の姿を見せることができるけれど、僕の場合は姉のアイテムボックス内で大量の魔力(霊力)を浴びているので僕が見るイメージの方が強くなる、ということらしい。

 僕が魔力(霊力)をたくさん消費すると、真白側の影響力が優って大きく見える……のではないか、ということだそうだ。


 前にもそんな説明は聞いた。

 聞いたけど、一回自分の精神状態を疑いだすとキリがないな。


 なんとなく不安を抱えたままアイテムボックスに入る。

 あ、真白の服選びの楽しみに水を差してしまったかも。

 後で謝っておこう。


「ていうか、僕がおかしくなったか心配になるのって、どう考えてもここがスタート地点だよな」


 そんなことを呟きながら、広大すぎる空間の中のほんの一点である使用済みな場所に立つ。


「うん」


 すごく汚い。

 また、姉がいろいろ散らかしている。

 僕が心の病を疑った元凶は本当に自由にしているなぁ。


「姉ちゃん、また散らかしてる!」

「んにゃーーーーいまは許してぇぇぇぇ‼︎」


 おや?

 なんか切羽詰まった返事だったな。


「どうしたの?」

「いやぁ、前に話した不死王がいるでしょ?」

「うん」

「あれの討伐をしたくてね、研究してるのだよ」

「研究がいるんだ?」


 うちの姉はチートで最強ではなかった?


「いやぁ、一回やり合ったんだけどね。どうもアンデッドじゃなかったみたいで」

「へぇ、不死王なんて名乗ってるから、そうなんだと思った」

「だよね。名前詐欺だよね!」


 と、姉も不満だったようだ。


「とはいえ、なかなか死ななそうっていうのは合っているから名前詐欺ってわけでもなくて、だからこれまでの成果を元に研究をしてるのだよ」

「成果」


 成果といえば、僕に寄生したサンドスライムもそうだったな。


「サンドスライムとか?」

「そう! たぶん、こいつが鍵なのよね。手下全部にこれを使っているから、たぶん、不死王にとって一番使い慣れている武器ってことだし、自分の体に使っているのもそうなんだと思うのよね……」


 そこから先は専門用語の連発になったので理解を放棄して、整理に勤しむことにする。

 整理はある程度完了。

 ある程度なのは、姉がちょいちょいなにかを引っ張り出してはすぐに放り投げるということを繰り返しているから。

 あれは不死王対策が決まるまでは続きそうなので、適度なところで撤退。


 晩御飯でも考えよう。

 ううん……。


 真白に悪いことをした気がするから、好物の卵料理にしよう。

 ちょっと前にも怒らせた真白を宥めるためにって卵料理をしたような気がするけど……まぁそんなことは忘れる。

 卵料理。


「オムレツ……オムライスにしよう」


 割いてドロっとする奴に挑戦してみようか。

 そうなると、ちょっと練習がいるな。

 普通の卵で練習。

 失敗した奴は炒り卵にジョブチェンジさせて、後日そぼろご飯の卵担当にする。

 五回ぐらい練習したら、いい感じのができるようになった。


 これが作れるようになったら、後はコカトリス肉でケチャップライスを作り、中にとろけるチーズを仕込んでから上にふわトロオムレツを乗っける。

 割いて卵がドロってなるのは目の前でやった方がいいよな。

 ということでこのままの状態を保持しつつ、さらに何個か作る。

 姉のご飯分だ。


「姉ちゃん、オムライス作ったからね!」

「は〜……」


 うん?


 いま、「は〜い」って言いかけて止まった?


「そうか! オムライスか!」

「?」

「膜で覆って本体を隠す。いいや、本体がそこにあると思わせる! そういうことか! そういうことね! 騙されたーーーーっ!」


 なにかに気付いたらしい。

 まぁ、それならそれでよかったと、僕はオムライスを二つ持ってアイテムボックスを出た。


 ふわトロオムライスは真白に大変好評だった。

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