25話
「ああは言ってましたけども、本当に飛行術まで覚えられるんですの?」
話が終わり、私の部屋への帰り道。
「出来る出来ないとか考えなくていいよ、やるんだって思って」
「そうは言われましてもね……」
ダリアさんは自信がなさそうだなあ。リリムさんの方が乗り気なのは意外なんだよね。
「先入観とか捨てよう。私が飛べるんだから他の人も飛べる。それでいいよ」
部屋で練習させようかな。
「ダリアさんもリリムさんもこの後空いてるの?」
「あとは旅に備えての準備するだけですので空いていますが、それがどうしたんですの?」
「あ、私も、空いてます」
旅の準備って特にやることないからなあ、私の場合。
「じゃあ、私の部屋でちょっと浮遊の練習してみよう。感覚掴めば出来るって自信になるかもしれないから」
「そんな簡単に言いますけど、浮遊って出来るものなんですの?」
「最初は私がサポート入れるから出来るよ。メイドさんも出来るようになってたから、それより魔力の扱いに慣れてる二人なら、もっと早く感覚掴めるんじゃないって思ってるし」
あのメイドさんが特別器用な可能性はあるけど、それでもそこまで極端な差にはならないんじゃないかなって。
「メイドになんという技術を教えてるんですの!?」
「そこなの!? いや大丈夫だよ、教えたわけではなくてさ、私が浮遊の魔法をかけましたって話だから」
飛行とか浮遊系ってそこまで重要なんだ、いまいち実感湧かないね。
「ならいいですけども……で、どうやるんですの?」
あ、部屋に着いてた。
「とりあえず部屋入って、とりあえず浮かす方からやるから」
「お邪魔しますわね」
「お邪魔します……」
お邪魔しますって言われるの不思議な感じ。まだ一日しか寝てない部屋だし。
まあ、現実だったら絶対自分の部屋に入れたりしないけどね。
「とりあえず適当に座って……いや、立った状態の方がやりやすいかな。もうやっていい?」
「わたくしたちはどうしてたら良いんですの?」
「最初はなんにもしなくていいよ。魔力に身を委ねて貰って、抵抗だけしないでもらえたら。まあ、最初は低空でやるから、落ちても平気だから力抜いていこうね」
イメージを作っていく。とりあえず私も含めてみんなで浮遊するイメージで。ダリアさんとリリムさんのは魔力さんにも力をたくさん貸して貰おう。
私たちの身体が少し浮く。
「どう、浮いてる感覚ある?」
「不思議な感覚ですわ……というかこれはどうやって動けば……?」
「こう……かな……」
ダリアさんが浮いてる状態に困惑している状態で、リリムさんは軽く上下左右に動いている。
「まだ何も教えてないのに、リリムさんセンス良いねえ……!?」
「結界に身を包んでいる、そんな状態に、雰囲気が似ているので、結界を動かす要領で、自分自身を、動かしてます」
「器用過ぎない? いや、でも自分がやりやすいイメージが作れてるなら何よりかも。やりやすいやり方は人によって違うから」
私も最初は飛ぶのは苦労したんだけどな。私がサポートしてるにしても、教える前から動けるのは予想外だなあ。
「ダリアさんはどう? リリムさんのやり方は結界使いじゃないと出来なさそうだからアレだけど。私は動いてる自分をイメージして身体を動かしているよ。移動して最終的にここに行く、とかイメージするとやりやすいかな、個人的にはだけど」
「むう……難しいですわね。そもそも飛んでいるというイメージが浮かばないので……」
「そうだなあ。嵐が凄い魔法使ってたら、それに飛ばされるイメージとかしてみたら……」
「うわっ!?」
話してる途中でダリアさんから大声が上がった。勢いよく動きそうになった、のかな?
「まだ話してる途中だったのにイメージしたかな? 良かった、あくまで浮かぶ範囲のサポートで抑えてたから飛んで行きはしなかったけど、反動か何かの衝撃がすごい来たのかな、大丈夫?」
「だ、大丈夫ですわ、かなりびっくりしましたが……。抑えてもらってありがとうございます」
飛行にしてたら天井か壁に頭ぶつけてた可能性高そう。というかあの嵐の勢いだと死んじゃう恐れがあるくらいの勢いでそうで怖いな。室内は浮遊に抑えておかないとダメだね。
「でもイメージはある意味掴めた? かもしれませんわ。あれをゆっくりする、そんな感じで……」
「お、荒治療みたいな感じになった? イメージさえ掴めれば、私のサポート有りでの浮遊は簡単だと思う。あとは私のサポート無しで浮遊出来るようになれれば良しだね。リリムさんはサポート切ってみる?」
「いえ、動かすのは出来ても、最初の一歩が出来ないと、思うので……今はこの感覚を掴みたいです」
「おっけー。最初の一歩は難しいからね、私も苦戦したもん」
昔は私も空は飛べなかった。物心ついたころは全然自由に動けなかった、懐かしい。10歳になる前には飛べるようになっていたっけ、どうだったっけ。昔のことはあんまり覚えてないからなあ。
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