24話
「そうか……街に魔族が潜んでいたか……」
はい、そのまま王城に来ました勇者一行です。今回は謁見の間ではなくプライベートの方になっているけど。
「確実に殲滅しましたし、情報を持ち帰られたりはしなかったのが幸いですわ。逃げようとして戦おうとはしませんでしたし、おそらく偵察系特化型ですわね。戦闘特化だったら街に大きな被害が出てたと思いますし不幸中の幸いですわね」
「そうだな、即殲滅してくれて助かった。街の結界を抜けて入ってこれていると考えると、やはり魔王が生まれているというのは確実ということだろうな。魔族のみはそんな技術はないだろう、今までに侵入されたということはないからな。魔王が技術系なのか、戦闘も技術も出来るのかはわからんが、かなり厄介なことに変わりはないな」
街って結界で覆われてたんだ、なるほど。で、それを破壊せずに抜けて入ってくる技術が今の魔族たちにはあるってことか、大変そう。
「恐らくですけど……戦闘系は入りにくい可能性が、あります。人類と魔族では纏ってる魔力が違うので、それをなんとかして侵入してくる、ということは、纏っている魔力が濃い、即ち戦闘系魔族は、侵入するのに、手間がかかると、思います」
「不可能ではない、ということで良いな」
「そう、ですね。直接見たわけではないからわかりません、けど。時間か手間、どちらかをかけたら、侵入出来ない魔族は、いないかと」
「防ぐにはどうしたら良いと思う?」
「侵入の、やり方がわからない、ので、防ぐのは不可能に近いかと。ただ、街の結界に意識を割いていれば、気付ける可能性は、高いです。魔族のいる周りの魔力と、人間のいる周りの魔力は違います。なので、魔力との親和性の高い人を、見周りに出すのが良いかと、思います。それに、一体しかいませんでしたから、即どうこう出来るものでもないはず、です。下級クラスが入ってきても、城の戦力で、どうにか出来るかと」
おおう、リリムさんが長文喋ってる。ここまで一気に喋ってるところ見るのは初めてな気がする。結界に関してはやっぱりすごい使い手っていうことなんだろうなあ。
「侵入方法についてはこれから研究するしかない、か」
「魔族を捕えることに成功したとしても、吐くことはないでしょうしね、難しいですわ」
「そうなの? 魔族は拷問とか平気なタイプ?」
「そういうわけではない。魔族が人間のためになることをするわけがない、ということだ。住んでる世界が完全に違うからな。それに、下級クラスでその知識があるかも怪しいしな」
ああ、そもそも知識がなければ教えようもないか。魔族全員にやり方を教えるわけでもないだろうし、当たり前だよね。
「とりあえず方針としてどうするの?」
「明日から出てくれ。魔物は原則無視でも良いが、魔族は全て殲滅する勢いで進んでほしい。隣国にもおそらく潜んでいるからな」
「乗り合い馬車で行くって話だったけど、それは変わらないの?」
「馬の管理するのも大変だろうし、御者も出来ないだろう? 手間暇を考えるのなら乗り合い馬車で行った方が圧倒的に楽だと思うぞ」
それは確かに。馬の管理とかやり方全くわからないし、馬の体調とか気を使っていたら進むのも苦労しそうではある。だったら乗り継いで行く方が楽か。
「ねえ、ダリアさんとリリムさんに浮遊と飛行を教えても良い?」
「良いが……そんな簡単に覚えられるものではなかろう?」
「それはそうなんだけど、私がサポートするから覚えて欲しい。移動手段にもなるのもそうなんだけど、魔族って多分飛行能力を持っているのが多いよね? だとしたら使えた方が良いというか、使えるのが最低限なところがあるかもしれないって、今日戦って思ったんだよね」
戦うにも、相手から逃走するにも、相手を追いかけるとしても、多分必須級の技術だと思う。
「だから、旅しながら教えるよ。多分二人なら覚えられると思うし。最終的には、私のサポート無しで相手を追いかけられる速度で飛べるようになってほしいな」
「飛行術は人間からしたらあり得ないレベルの技術なんですけどね……浮遊程度ならともかく、空を飛ぶというのはほぼほぼあり得ないことですわ」
「でも、飛んでみたい、です」
「やる気になるのが一番だから、リリムさんはきっとすぐに飛べるようになるよ。ダリアさんも、否定的なところから入ると覚えにくいよ?」
魔力さんもこちらの意識を読み取るのに、そこに否定的なものがあったらそれを読み取っちゃって上手く行かなくなってしまうだろうから。
もっとも、私の魔力さんの扱い方は人とはズレている気がするけど、でもメイドさんも私のサポート有りで浮遊出来てたと考えると、私以外にも近い感じの使い方は出来ると思う。
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