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レナート家園遊会

ライラは悩んでいる…

魔術学院に入学するか、どうか?


両親たちや、婚約者のダリルさんは

賛成してくれた。

興味もある…既婚者も通う学院なので、

子供ができて、休学する人もいるらしいし、

実際、学校と言うより研究所みたいな、

結構自由度の高い制度なのも分かった。


何が問題なのか?

…やりたい事があり過ぎるのだ。


領地の鉱脈も開発したい。

領地自体の開発も、まだまだ手伝いたい。


魔の森の解放や、遺跡を見つけて発掘も、

ミヤビ王国にも是非行きたい。


自由度が高いとはいえ、そう長く休んだり、

頻繁に休むのも…良くないと思う。


魔術学院は、何歳でも入れると聞いた。

今でなくても入れるのだ…


母様たちは、

「先に子供が生まれて子育てを始めたら、

きっかけを失う」


という意見だ…

そう言われると、学院生で休学して復帰する

のと、出産が先で子育てに見切りをつけ、

受験するのでは、確かに違うとは思う。


やはり今受験するべきだろうか?

8月までには決めないと…手続きが

間に合わない…


そんなある日、父様から通信がきた。

レナート辺境伯爵の園遊会に招かれている。鉱脈の件も兼ねて、私も一緒に…

ということだそうだ。


この、悩んでいる時に…

また…あのドレスかぁ〜


しかも、私の婚約者も是非にと…

被害者が増えた。


うわ…ダリルさんに何て言う?


と、思ったら、デリック導師も一緒で、

もうダリルさんには連絡がいくはずだと。


先に言ってよね…


つまり、またアレか瞬間移動馬車か…


まあ、鉱脈の話が進むのは楽しみだけどね。


日程を聞いて、セシリア母様にも報告した

卒業して寄宿舎を出てからは、領地と王都を

行ったり来たりしているから、転移はいつでもどうぞ…だ。


ダリルさんとは、会い放題…とはいわない

けど、外泊は時々…かな…


魔術学院のことも、エリックの入学もあるし

今年の海水浴はさすがに無理だな…


そう言えば、マルノー子爵家は

レナート辺境伯爵の庇護を受ける立場だった

はずで、父様をレナート領地に送ることも

あった…領地屋敷の場所は知らないが…


王都にも勿論屋敷はあるはずだけど、

こちらは子爵、屋敷のある場所は、階級で

別けられている…


以前転移を頼んできた貴族には居なかったし

当然知っていそうで、知らない不思議…


そういう事が、一番わかるセシリア母様に

聞いてみた…


「姉さんたちの結婚式にも披露パーティーにも、レナート家から当主か、代理の方が来てくださったわよ」


との事…まあ、壁のシミだったし…


逆にレナート家の祝い事には、相応の物を

贈り、セシリア母様がちゃんと出席したり

私が王都に来て、転移が使えるようになり

父様もお付き合いは疎かにはしていないと。


大人の世界は、私があまり関わらないでいてしまっただけのようだ。


今後は、成人したので、そうはいかない

という訳だ。


園遊会は、午後から夕方まで…

暑気払いみたいなものらしい


浴衣とかはない…から、またセシリア母様の

見立てで、ドレスを用意される…

ダリルさんは、自分で何とかするそうだ。


その日がきて、ドレスで転移、デリック導師を迎え、ダリルさんんを拾い

マルノー領地屋敷で父様と合流して…


レナシスの街に転移して…街の入り口から

レナート家の馬車で移動する。


レナート辺境伯爵の屋敷は、大きくて、

広い庭園が開放され、迷子になりそうな

感じだった。


庇護下にある子爵家や男爵家の人たち、

レナート家の家臣も、あちこちにある

料理や飲み物を振る舞う場所で、

食べたり飲んだり…意外と、くだけた雰囲気

だった。


私たちは…その前に、レナート家当主その

人に挨拶に伺う…


「レナート辺境伯爵、今年もお招き頂き、ありがとうございます」


まず、父様が挨拶をする。

ラルク•フォン•レナート辺境伯爵は、明るい金髪で藤色の瞳の、父様より多分やや歳上の…温厚そうな人だった。


「テオドール殿、いつもの園遊会だ。堅苦しくしては、お嬢さんも困るだろう」


いつも…恒例行事だったのか…


「デリック導師も、そちらのお嬢さんのおかげで、あまり久しぶりでもないな。テオドール殿、早くお嬢さんと婚約者の方の紹介をしてもらえるかな?」

「ラルク様…では、こちらがライラ、私の四女になります」


前に出された…


「ライラ•フォン•マルノーと申します」


レナート伯爵は微笑んで、


「ライラさん…初めまして。お噂はよく聞いていましたよ。やっとお会いできました。」


噂…デリック導師だな…


「私の所の魔導師が、デリック導師とは元同じ師匠に師事していましたので…デリック導師はよく来られますからね。ライラさんの転移のおかげで…」


やっぱり…


「私の所の魔導師も、とても会いたいと言っていたところです…」

「それは…とても光栄に思います」

「では、紹介させてもらいましょう」


レナート伯爵の傍らに立つ人が、前に出る。

緑色の髪に明るい茶色の瞳、魔導師にしては

ガッシリした体格の人だ。


「私がレナート伯爵家の魔導師で、アレクと言います…元はしがない男爵家の三男ですから、気遣いは無しでお願いします」

「初めまして。ライラ•フォン•マルノーです」


この人が…デリック導師の友人なのか…


「ライラさんの婚約者の方は…お会いするのは初めてですが…ラトゥール侯爵家のお話しは…存じておりますよ」


レナート伯爵が、ダリルさんを見る。


「レナート伯爵、お初にお目にかかります

私は…今は、一介の冒険者のダリルです」

「そうですね…まあ、園遊会は家臣も参加する、慰労会のようなものです。堅苦しい話は後にして、楽しんでください」

「はい、ありがとうございます」


とりあえず、挨拶はこんなものらしい。


父様は、顔見知りが多いようで、

「ライラ、また後でな」

…と、人のなかに消えて行ってしまった。


私とダリルさんは…

デリック導師とアレク導師と一緒に、

飲み物と食べ物を探すことにする。


アレク導師の案内で、まず飲み物を配る所に

料理は、あちこち覗いてそれぞれ好みのものを手に、石造りの四阿にたどり着き、やっと

落ち着く。


「そういえば、みんな魔術…使えるな」

「デリック導師、俺はあんまり魔術は使わんよ…補助くらいかな」

「ダリルさんは、貴族学校で魔術の授業は?受けたんでしょう?」

「まあ、受けたけどな…剣の方が性に合う」

「アレク導師も、槍使いだ…魔術も相当だけどな」


ふと、思いつき、尋ねてみる。


「デリック導師とアレク導師は、師匠にあたる方が居るんですよね?」

「ああ、居たよ。もう亡くなったが…」

「やっぱり…師匠のような方に、教えを請うと…腕前も上がるんですよね…」

「それは…一概には言えないと思うが…」


私は…なんとなく…師匠に師事することに憧れるけど…


「ライラは魔術学院に行くんだろう?」

「……………」

「おまえ…迷ってるのか?」


ダリルさんは訝しそうにする。

デリック導師とアレク導師が話しだす。


「魔術学院には、行けるのなら、行った方が良いと思う」

「私たちも、魔術学院の研究室で、師匠に出会いました」

「ライラは、魔力量の限界は…まだか?」

「はい、多分…まだです。」

「まだ伸びるのなら、なお更に魔術学院へ

行った方が良いと思いますよ」

「ライラは、使える属性も多い。転移持ちで、付与も使える。なかなか得難い魔術師だ。若いうちに学ぶ方が良い。」


なんだか、凄くおすすめされてる…


「ちょっと待てよ…ライラ…なんでそんな

こと…悩む必要無いだろ」

「ダリルさん…」

「最近大人しいと思ったら…魔術学院を勧めたの、俺だぞ…みんな賛成してるだろうが」

「…うん…何か…色々、両立できるのかなって…やりたい事が、あり過ぎて…」

「一人で悩むなよ。まったく…両立?心配するなよ…俺がいざとなれば、赤ん坊背負って料理でも何でもしてやるよ」


ダリルさん…赤ん坊背負って料理する…

これには、みんな笑った…


「ハハハ赤ん坊背負ったラトゥール侯爵か」

「それは…はは…いい」

「そのことも…だ」


憮然としながらダリルさんは言う


「いずれ侯爵家は再興させる。侯爵夫人に

なったら…それこそ、あまり自由にはできないぞ」

「あは…それは確かに…あはは…」


笑いが…止まらない…


ふう…でも…やっぱりダリルさんは頼もしい

一人で悩むのは…ダメだね


「皆様、ありがとうございます。そうですね。今、できることをしないと…ですね」


それから、また、飲み物と料理を取りに行く

四阿に戻ると、デリック導師が海水浴の話を

聞いてくる…アレク導師も…


「ライラ、今年も一日くらいは…どうだ?」

「海水浴場は、レナート領地にもありますが、デリック導師の話を聞いて…伯爵も…」

「…はい、皆様で日程を…決めてください」


もう…しょうがない…ログハウスを

増やすか…

何か悩んでたことがあったけど…いいか…


「日程と参加する人数は…父様に…」


観光業者だな…もう

来年からは、父様にあらかじめ話を

まとめてもらおう…


その後は、

暫くして、レナート屋敷内で、鉱脈の

調査状況や、マルノー領地側の山道の

整備の進捗状況を報告して、


日が暮れるまで飲んだり、食べたり…

レナート辺境伯爵家園遊会は

楽しく終わった。





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