海洋伝説
双頭竜による被害はかなりの物になり、囚人達は逃走、街は大混乱だ、船は盗まれて逃げ出されるわ、盗難被害は拡大するわ・・・
結果的にボリスト家はアーベンヘルツを出てロイヤール港へと亡命を決め、昨晩の出来事の内に自前の船でアーベンヘルツを発った
ロメスもその船に便乗して逃げる事になった。
アーベンヘルツに指名手配される事だろうがまぁ、別の大陸に逃げてしまえば問題ないだろう
レミウスがロメスとハグしてお別れを告げる
「ロメス・・・ロイヤール港なら私も時々足を運ぶから・・・姫とかどうこう忘れて自由に楽しく生きて・・・」
ロメスも頷いて「私も・・・姉ちゃんに負けないような立派な人になりますわ」
メイチェルもレイヤールの目を見て頭を下げて謝る
そして早々に出航して去って行った
レミウスが深呼吸して「さてと・・・後片付けしますか!」
エルローラが嬉しそうに笑い「だね!」
―――――――
アーベンヘルツの衛兵隊には双頭竜は撃退したと伝え、レミウスも姫の権利が戻った事でそれを利用し追撃を止めさせ、吹っ飛んだ建物の賠償なども金の力でなんとかして、事務処理を終えてようやく終わる頃には翌日の昼頃になっていた
レイヤールがアーベンヘルツの特性のピザをがっついて食って「うめぇ」
と食っていると同席しているレミウスが少し寂しげに「今日発つのよね・・・」
エルローラが頷いて答える「えぇ・・・レミウスさん、これまでありがとう」
レミウスが頷いて「うん・・・それにこれがお別れじゃないしね、私が今開発している物が完成したらすぐにでも追いつくはずだから!」
レイメストがレミウスの手を握り「レイメストもレミウス待ってるぞ!」
レイヤールがピザを口に頬張りながら「レミウスも事後処理で色々と市民達からも反応があるだろうがかならずやり通せよ、やると決めたんだから」
レミウスも頷いて「あんたこそ途中で面倒だからって投げ出すんじゃないよ」
「あぁ、了解した」
―――――――
こうしてレミウスに見送られ俺達はアーベンヘルツを発った
遠くなっていくアーベンヘルツを見てエルローラが一息ついて「ふぅ・・・グロッツェルでは特に問題も無くスムーズに行けるといいね・・・」
「だな、正直俺も今回は足止め程度にしかならなかったからな・・・そう毎回上手く行くとも思えないし・・・」
そんな時アイツの言葉を思い出す『その状態では真の力は発揮されない・・・』
レイメストがレイヤールの頬を抓り「パパまた変な事考えてた」
「あ、あぁ・・・悪いなレイメスト」
レイヤールは空を見上げ『俺は決別したんだ・・・過去の自分と』
――――――
船の客室でくつろぎベットに横になっているとエルローラが
「そういえばレイヤール、この前にねアルレルフが私達をサポートしてくれたのよ!」
レイヤールがベットに寝っころがりながらエルローラを見て「サポート?」
「レミウスさんの居場所へと勝手に案内してくれて・・・まるで感情でも入っているような感じだったわ」
レイヤールは考えて『もしかすると人口AIのような物が搭載されているのか・・・?』
「話しかけたら何か反応あったか?」
エルローラは頷いて「えぇ、あの端末で振動したりして感情を表していたわ」
レイヤールは驚いて「そうするとあのバイクにも感情があるって事か、優しく接してやるか・・・」
レイメストも頷いて「あのバイクも色んな色出すよ!薄らとだけど・・・」
あのバイクって本当に何なんだろうな、ドラゴニューラ族の物でもないし、それより過去の物だって聞いたが・・・
エルローラが思い出して「っあ!そういえばレイヤール、この海域って伝説があるの知ってる?」
「伝説?」
エルローラが楽しそうに話し始める「大昔にウロボロスって言われる凄く大きい海蛇が居たの・・・数々の船を一飲みにして精霊、人、物・・・全てを喰らって行ったそうだわ・・・」
「全て蛇に丸呑みか、嫌な話だ」
「でもそんな時伝説の鍛冶屋が現れて、伝説の宝剣『グラディウス』を作り上げたの、光りを放ち魔を払うその剣を掲げた剣士がウロボロスと戦ったの、数々の軍隊が名乗りをあげ戦い、そして剣士はウロボロスに食われてしまいました・・・ですがウロボロスの腹の中で戦う英雄達と協力し、ウロボロスを内側から攻撃してウロボロスを滅しました・・・って話しなの!」
レイヤールは嫌そうなリアクションで「喰われて腹の中から攻撃とか・・・絶対に嫌なパターンだ」
エルローラは残念そうに「それでウロボロスが消滅する時と同時にグラディウスも消えてしまったんだって・・・」
レイヤールは不思議そうに「なんで残念そうなんだよ」
エルローラが夢見る顔で「だって伝説の宝剣をレイヤールが掲げていたら凄くカッコイイなぁ~と思ってさ!」
「そ、そうか・・・?俺は銃の方が性に合ってると思うが・・・」
エルローラは頭をかしげて「銃・・・って何?」
レイヤールはアッという顔をして「い、いや・・・簡単に言うとアーベンヘルツの軍艦が持ってる大砲を小型した物だよ」
エルローラが信じてない顔で「ふーん・・・」
「いや、前世に普通に普及してたんだってば」
エルローラがクスクスと笑っている
「な、なんだよ俺がうそつきみたいに、いずれ作ってやるからな」
エルローラが笑って「楽しみに待ってるね!」
『絶対コイツ信じてない・・・目に物見せてやる・・・』
―――――――
翌日、船の上で起きるとエルローラの姿が無い「エルローラ?」
客室を出てて廊下を見渡すと甲板が騒がしい
「何だ?」
歩いて甲板へと出ると空は曇っていて、カモメに似た鳥が慌ただしく動き回っている
エルローラが不安そうに空を見ていて「エルローラ、何かったのか?」
エルローラが首を振り「ううん・・・でも何かの予兆みたいで不安でね・・・」
船の一番高い所から双眼鏡で見ている見張りが「た、大変だ!!!ウロボロスだぁぁ!!」
乗員達がパニックになっている「う、ウロボロスだって!?大昔に退治されたんじゃないのかよ!?」「伝説の化け物がなんでこんな所に・・・!」「噂だと船を丸呑みにできるサイズなんだろ!?」
そうすると海が盛り上がっている
エルローラが不気味がって下がり「何・・・あれ・・・」
海の盛り上がりがどんどん大きくなり現れたのは巨大なウツボ、ウロボロスなんて言われるのも納得だ、デカ過ぎる
レイヤールは身構えて「狙われちまったのなら・・・やるしかないだろっ!!」
エルローラが杖を構え「う、うん!!それに海なら強力な味方もたくさんいるわ・・・!」
レイヤールは船のデッキからブースターを使い飛び上がり、「紅焔憑依形態!!」
海洋生物ならば炎のダメージはでかいはず・・・!
ウロボロスへと突っ込むとウロボロスは「ギジャァァァ!!」と大気を震わす程に声で威嚇してくる
「上等!!消し飛べぇぇぇ!」
ガントレットを構え「煉獄紅焔鉄拳!!」
バゴォォォン!!海に叩き沈める
船から歓声が上がり「あれが1人軍隊を倒したドラゴン・・・」「勝てるのか・・・?」
下から飛びついて攻撃してきた
ブースターを使って上空へと逃げて退避する
「ッチ!!やはり硬いな・・・!」
エルローラが杖を回して大気の魔力を集わせ「海に宿りし古の精霊達・・・今ここに現れ、眼前の敵を滅ぼせ!!オーシャンズガーディアン!!」
船を取り囲むように現れたのは鮫と人の混ぜたような魚人達
「久しぶりだなエルローラちゃん、俺達を呼ぶって事は・・・大した獲物なのか?」
巨大なイカリを持った鮫魚人が聞く
「ジャックさん!相手はウロボロスよ!お願いします!!」
ジャックは前を見て「こりゃ・・・驚いた・・・俺達が封印した化け物じゃねぇか」
鮫の魚人達がジャックの周りに集まり「相手は憎きウロボロスだ・・・どっかの馬鹿が封印を解いたに違いネェ・・・皆!!やるぞ!!」
「「「おう!!」」」
鮫魚人達がウロボロスの周り集まり
ジャックがイカリをぶん回して「行くぜぇえ!!デストロイアンカー!!」
イカリがウロボロスの皮膚にぶっ刺さりウロボロスが悲鳴を上げる
他の鮫魚人達も後に続いて槍や携帯型のバリスタで攻撃している
ウロボロスが退き始めて、ジャックが手を上げて仲間を止める
レイヤールは拳を固めて「まだだ!!逃がすかぁぁぁぁ!!」
だがジャックは俺の手を止めてくる
「何で止める!?」
ジャックは逃げ去るウロボロスを見て「闇雲に戦って勝てる相手じゃない、撃退で精いっぱいだったろ?」
レイヤールは下を向いて「そりゃそうだが・・・」
ジャックは船を見て「戻って作戦を練ろう」
―――――――
エルローラ達も集って作戦を考える、鮫魚人が多いせいか少し生臭い
ジャックがエルローラに「エルローラ・・・どう思う?具現化の類だと思うか?」
エルローラは頷いて「えぇ・・・恐らくね・・・魔術を少しだけ当ててみたけど、魔術が干渉するから、多分具現化よ」
ジャックがホッとして「ウロボロスがマジで本物だったならあんなに弱いはずないからな・・・」
レイヤールがゾッとして「あいつが本物だともっと力があるのか?」
ジャックが嫌そうに語る「あぁ、硬いし、凶暴だし・・・あんなのウロボロスの子供みたいだ・・・」
他の鮫魚人達が「俺達の仲間も大勢アイツに食われちまった・・・」
ジャックが椅子に座り「それで俺に考えがある、あいつは恐らく俺達の大昔のウロボロスの再現だと思われる・・・って事は・・・つまり腹の中に宝剣グラディウスも・・・後は分かるな?」
レイヤールは青ざめた顔で「い、嫌だぜ!?あいつの体の中に入るなんて!!」
ジャックがムスッとした顔で返す「それじゃ、このまま奇襲されて船が丸呑みされるのを待つか?俺達魚人族の体であれば、あいつの胃酸にある程度耐えられるが・・・人間なら即時に溶けるぞ」
レイヤールは何も言えなくて「う・・・ぐ・・・」
ジャックが溜息を吐いて「それでレイヤールは不死身だって聞くが、復活してもすぐ胃酸で溶けられちゃ戦力にならねぇ・・・そこでだ・・・俺達と同族に一時的になってもらう」
レイヤールは理解できずに「は、はい?」
ジャックがもう一度説明する「だから、俺達と同族になってアイツの腹の中で戦ってもらう」
レイヤールがエルローラを見て「何言ってんだコイツら?」
エルローラが解説する「鮫の魚人族って同族化の儀式があって、本当に同族になれるのよ・・・精霊伝説でも載っているわ・・・ただ・・・ちょっとキツイ体験になるけど・・・」
ジャックが頷いて「あぁ、俺達の兄弟全員の唾液を一度体内に収めてもらってから、全員の血液を小瓶一杯分飲んでもらう・・・それから儀式で同族化できる」
レイヤールはゾッとして「きゃ、却下です」
ジャックが呟く「それじゃ、ウロボロスにエルローラも皆喰われてドロドロに溶かされて自分だけ腹の中で一生過ごすか?」
「うっ・・・そ、それは・・・」
レイメストが手を上げて「パパの魚人姿見てみたい~!!」
「レ、レイメスト!」
エルローラが笑顔で「それじゃ、決定ね!」
――――――
テーブルに並べられた、血液のビンが5つに、術式が書き込まれた床
完全に儀式に似ている
頭の中で呟く『嫌だよ~嫌だよ~・・・』
しかしやるしかないのだ
血液のビンを5つ分けて飲む必要があり、全て鮫魚人の血だ
一本の容量はコーヒー缶ぐらいの容量はある
レイヤールは嫌々そうにビンを手に取り一本目を一気飲みする
気持ち悪い、ただの血の味を想像していたが、更に酷い、魚の生臭い感じと血液を混ぜたような味で飲んだ後すぐに吐き気が起きる
「うえっプ!」
エルローラが笑顔で感覚を麻痺させる魔法で吐き気をかき消す
ご、拷問だこれ・・・
2本目を手に取り一気飲みして、もう続けざまに4本飲みきる
「ウェェ・・・」
そうするとジャックが「これ以上苦しませるのもあれだし、さっさと済ませるぞ兄弟」
ジャックが俺のマズルをがっちりと掴んで口を合わせて唾液を飲ませてくる
「ヴヴヴヴ!!ン゛ン゛ン゛ン゛!!」鼻と口をがっちり捕まれて悲鳴を上げようにもあげられない
俺が暴れるとエルローラがニッコリ笑って拘束魔法で押さえつけてくる
ジャックがレイヤールを抑え付けて次々飲ませて
レイヤールがダウンした所でジャックが「ここに我らが同胞を迎え入れる・・・海を掛け巡る力・・・海を束ねる力・・・海を守る力・・・汝に与えたまえ!」
鮫の魚人達が全員手を繋いでレイヤールを囲むように輪を作り呪文を唱え終えると
レイヤールの体がバキバキと変化し始める
尻尾の先が尾ヒレのように太く、そして尾ヒレが生え、手は水龍のようにツルツルプニプニの肌に、そして顔の横にヒレや背びれがついて、水龍へと変る
エルローラが拍手して「凄い凄い!」
レイヤールはゲッソリして「変化したのはいいけど・・・気力が・・・」
レイヤールは尾ヒレをビタンビタン地面に叩きつけてダウンしているとジャックがレイヤールを背負い「それじゃ、水中で奴を片づけてくる」
エルローラが手を振り「いってらっしゃい!」と見送る
俺はそのまま海へと引きずり込まれる
海の中へと入ると息ができる、まぁ当然か、今の俺は水龍なのだから
それと真っ暗闇の海なのに地形がはっきりと認識できる
ジャックが説明する「俺達は音波をだして地形を勝手に読み取れているんだ」
なるほど
軽く体を動かして戦闘ら意識すると
浮力が要らない空中戦みたいな感じの戦いができそうだ
そうすると早々に気配を感じた
ジャックがイカリを構え「くるぜ!」
ウロボロスが海上よりも数倍早く突撃してくる
レイヤールは回避して、背中からブーストを展開しようとするとハッと思い出す
「翼がねぇんだった!!」
ジャックが水中の中でバシュン!と加速して「レイヤール!尾ヒレを使え!!水を蹴るんだ!!」
スイミングでもそんな事言われてたな・・・
レイヤールは尾ヒレで水を蹴っ飛ばす感覚で動かすと加速する
ブーストよりも加速は劣るがこれもなかなか良い
すぐに感覚を掴みウロボロスを追撃する
ウネウネと体をしならせて加速する様子は見ていて気持ち悪い
「全く・・・!使えるか分からないが・・・!」
手に魔気を込めるが、炎が出ない
「そうだった・・・水中戦だったぁ!」
ジャックが頷いて「そのまま喰われてろ!!」
レイヤールが青ざめて「そんな言い方無いって!!えぇい・・・攻撃する手段が殴るだけなら入るしかねぇか・・・チクショウ!!」
目を閉じてヤケクソで突っ込む
ジャックがガッポーズで「よし!!口を開けたぞ!!」
レイヤールは自分よりも5倍ほどはある口に一飲みで喰われる
【11月17日追記】
すみません、仕事が多忙な為、本日と明日はお休みを頂きます、
代わりに11月21日(月曜日)22時頃にて、3話連続投稿いたします!




