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恨みのオーケストラ

明朝にエルローラと俺は支度を整えて馬車の乗り場へと買うとベルガートが歩いてきて「私がお供します!」


エルローラが首を振り申し訳なさそうに頭を下げて「お気持ちは嬉しいのですけど・・・馬車だけで結構です、馬車の方は村に滞在しているフリース王国兵の方の便として送りますのでよろしくお願いします」


ベルガートはションボリして「昨日は・・・その・・・すみませんでした」


エルローラは頷いて馬車に乗り「それでは、ベルガートさん、また会いに来ます」


馬車の運転手が馬を動かして進む


俺は馬車の中で離れる王国を見て「エルローラ・・・レミウスはどうする?」


エルローラが地図を開いて確認し「そんな森の奥までは入ってないし、私達を待ってるって言ったから、きっと道中で合流できると思うわ」


「そうか・・・」


だがその会話を終えた瞬間だった


馬車の動きがおかしい、馬が急停止して、乗り手を振り下ろした


「な、何っ!?」エルローラが馬車から降りて振り落とされた運転手を見ると「レイヤール!!大変!」


俺が下りて向かってみると運転手は白目を向いて倒れている


「な、何が・・・魔法なのか?」俺が聞くとエルローラは首を振り「ううん、そんな感じはしなかった」


そして道を歩く人々が次々と倒れて行く


「い、一体何が起こってる!?」俺はガスかと思い、臭いを嗅ぐがそれらしい感じはないし、ここまで倒れるほどのガス量であればエルローラも倒れるはず


そして城の方から禍々しい空気が漂ってくる


レイメストが嫌がりエルローラの後ろに隠れる「怖い・・・皆怖いし・・・お城の方から真っ黒いの来る・・・」


エルローラが城を見て「お城から!?」


その時、お城の一部から信じられない物が現れた


「オォアァァァァアアァァ!!」不気味なうねり声を上げながら、巨大で身長は城と同レベルの大きさの所々破けて解れたクマのぬいぐるみのような姿の化け物が現れた


「な、なんだアイツ!?」レイメストが震えて「全身真っ黒・・・濃い青に、黒に、赤色・・・レイメストの嫌いな感じ全部ある」


エルローラが振り向いて巨大なくまのぬいぐるみを見て「まさかあれって・・・!」


レイメストが叫ぶ「あの人も前の青い髪のお姫様と同じ!」


俺が拳を固めて「レイスメト前の“アレ”できるか?」


レイメストが首を振り「駄目・・・あの青い髪のお姫様・・・『助けて』って心で叫んでた・・・けど・・・あの人は・・・拒絶してる・・・駄目」


エルローラが悔しそうに杖を構え「倒すしかないわね」


「中身がどんな人だったかは知らないが・・・やむ負えない・・・」


俺は中身ごと破壊する事を決めた時だった


「可哀そうになあの子も・・・フフッ」

俺が振り向くと街灯の上に乗る1人の黒いマントの男


俺が首をかしげると男は笑い「お前があの方の言ってらっしゃった子か・・・ふふ、本当によく似ておられる・・・」


俺は男が背中に誰か背負っていて俺は緑の髪を見て「まさか貴様!!」


レミウスが鎧を脱がされインナー姿で手足を縛られている


エルローラが驚愕して「レミウスさん!!」


「てめぇ・・・何が目的だ・・・?」


男は笑い「さぁな、それとそう、名前を言ってなかったな・・・俺はバルズ、暗殺者だ」


そう言うと街灯から飛び降りて姿を消した


「レミウス!!クソッタレ!!」俺がレミウスを追おうとすると、でかいくまのぬいぐるみがこちらに振り向き目を光らせて走ってきた


エルローラが身構えて「レイヤール!私が動きを止めるわ!その隙に思う存分やっちゃって!!」


俺は後ろを向いてレミウスの事を考えながらも頷き「分かった!!」


エルローラが杖を地面に突き立て「数多の精霊達よ・・・かの者に自然の裁きを下せ!!グランドウォーリャー!!」


地面の石タイルが割れて太い木が現れる

そして木は人の形へと変って行き巨人の姿に変わる


エルローラが杖を構え「精霊さん!私の為に力を貸して!」


巨人がこちらを向いて頷き、相手に掴みかかる


巨人対巨ぬいぐるみの姿はどこかの特撮映画でも見ているような気分にさせられる


俺は木の巨人の背中をブースターを使って登り、木の巨人の頭に上り


やるか・・・「紅焔不死鳥形態(ブレイブフェニックスモード)!!」


黄金の炎が翼から放出されて、木の巨人が活性化して腕や足の樹木が太くなる


エルローラが嬉しそうに言う「精霊さんが活性化している!」


クマのぬいぐるみは木の巨人に押され始め悔しさあまりか叫ぶ「オァァァァァァァァ!!!」


そうすると街中から黒いオーラのような物が現れ、クマの周りに集まり始める


レイメストがエルローラに抱き着いて怖がり「怖いっ!!あれ・・・街の人の黒い物食べてる!!」



クマの腕は鋭い爪が生え、手足にまるでオモチャのロボットを壊して作ったようなアーマーが着させられる、そして背中に悪魔の翼のような物が生える


街中の負の感情を取り込んで・・・!


今度は押され始める、木の巨人が苦しそうにしている


このままだとマズイ・・・


俺は空に飛びあがり「行くぜ!!紅焔鳳凰鉄拳(ブレイブフェニックスガントレット)!!」


黄金の鉄拳がクマのぬいぐるみに直撃してよろける

「オァァオォォォ!!!!」


そして喋れなかったクマが喋る「レイヤァァァァァルゥゥ!!!」


後退して木の巨人の頭に戻るとクマが喋る「貴様のせいでぇぇぇぇ!!僕はぁぁぁぁぁ!!」



俺は思い出した


俺がファルコンに襲われて初めて死ぬ前に王国に誘われて会食した時に国王の子供が居た事を



『まさか・・・コイツ!!』


俺の予想はビンゴだった、良く見れば胸の首輪のように見えるアクセサリーの鈴が檻になっていてフリース国王が閉じ込められている


フリース国王も怯えて屈んでいる


こいつ・・・エミルスの時と同じで負の感情に飲まれて・・・


フォードは大きすぎるボリュームの声で叫ぶ「レイヤール!!!貴様のせいで僕は人生を壊されたぁぁぁ!!毎日毎日殴られて・・・お前を許さないぃぃぃ!!」


恐らく監獄暮らしになった事で囚人たちに暴力を振るわれていたのか・・・それに閉じ込めた王様の子供・・・囚人達からすれば目の仇だろうな・・・だが・・・コイツは許されない事をした・・・自業自得じゃないか


俺は両腕を合わせて黄金の炎を集中させ

「煉獄鳳凰鉄槌(インフェルノフェニックスブレイカー)!!」


黄金の不死鳥の炎が○○の体にまとわりついてボウボウと燃やし始める


『これで・・・力尽きるだろうか・・・』


だが逆だった


クマの全身から黒い禍々しいオーラが放たれ、炎が紫色に変って行く


「なっ!!」


まさか・・・『光りは闇へ闇は光り』って・・・俺のエネルギーそのものにも変質させる力が!!


気が付いた時には遅かった、木の巨人は紫色の炎に焼かれ始め、光る球体が一目散に逃げ始めた


精霊が逃げたんだろうな・・・


木の巨人は崩れ始めて俺はブースターで空へと飛びあがりエルローラの前へ着地する


エルローラが走ってきて「レイヤール!あの技が・・・!」


俺も頷いて「あぁ・・・奴の闇の力が強くて俺の技が逆に吸収されてる」


エルローラは困った顔で唇を噛んで悔しそうに「どうしよう・・・」


振るえていたレイメストが立ち上がり「レイメスト・・・パパにも問題があると思う」


俺はレイメストを見て「なんでそう思う?」


レイメストは俺の目を見て「パパ、時々助けたいって気持ちブレる」


「・・・・・・」


エルローラがレイメストを信じられないように見て「レ、レイヤールは頑張ってるのに!?」


レイメストは頷く「パパ、いっつもママ見てる」


エルローラが目を背けて恥ずかしそうにして「だってレイヤールは・・・」


レイメストが首を何度も振り「それじゃ、パパの力強くならない!青い髪のお姫様の時、パパ本当に頑張ってた!!あの人の中で必死だった!なのに今回・・・パパの感情真っ白・・・」


俺は首を背けて「あいつは自業自得だ、自分で犯罪を犯して檻に入って受けるべき咎を拒絶してああなってる」


レイメストがヤケになって叫ぶ「パパだって昔生きるのが嫌で拒絶した!!」


俺は驚愕したと同様に動揺して「レイメスト・・・?お前・・・なんで・・・」


レイメストは頭をフラフラさせて「あれ?・・・レイメストなんで・・・?あれれ?分かんないよ・・・どうしてパパの事知ってるか・・・分かんないよ・・・」


そう言ってレイメストはどこかへ走って行った


エルローラが手を伸ばして「レイメスト!!」エルローラは俺とレイメストの走る背中を見ておどおどしていて


俺が言う「行けエルローラ、あのクマは俺がなんとかする」


エルローラは頷いて「お願いレイヤール!」エルローラが走って行く


思わぬ戦力ダウンだが・・・ひきつけて街から離させる事ぐらいならば・・・


俺はブースターで飛び上がり「こっちだ自己中野郎!!」

フォードは激昂して「ウガァァァァ!!」と追ってくる


俺は城から離れて国を出て飛び続ける


俺は背中をチロチロ見つつ街との距離の離れ具合を何度も見る


『離したとしてもどうする・・・?倒す程の火力は俺に無い・・・それにレミウスの事でこっちも急がないといけないのに・・・コイツをどう倒す・・・?』


そうするともっと最悪な事が起きた

俺の体の黄金の炎が普通の真っ赤な炎に戻り始めた

「なっ!!どうして!?」


俺の体の魔気は十分にまだ余力がある、だが紅焔不死鳥形態が解除されつつある


ブースターの出力が弱まり、俺は地面に着地する


何とか街からは引き離させた事で、街から吸収していた力が無くなったせいか、翼が無くなっていた


だが・・・紅焔不死鳥形態が使えない以上、有効打撃は与えられない・・・どうする?


そこへバルズと名乗った暗殺者が訪れる「フフッ、どうだレイヤール?」


俺は睨み付け「お前なんかに構ってる暇はないどっか行け」


バルズは苦笑いして「そ、そんな言い方は・・・まぁいい、取引しよう」


俺は効く耳を持たないフリをして、フォードに目を向ける


「お前がこのカケラを手に持ったら・・・レミウスも返してやるし、あの自業自得野郎も俺が始末してやる」


俺は振り向き「カケラ・・・?」

バルズが差し出したのはドス黒いカケラ、見るからに禍々しいオーラを感じる


バルズは言う「お前は今追い詰められている・・・心の拠り所であるエルローラも・・・仲間も居ない・・・そしてお前はあのどうしてやられたくないクソ野郎に倒されかかっている・・・死なない体だが・・・プライドがあるだろう・・・不誠実な自己中には負けたくない、とこのカケラはエネルギーの増幅剤のような物だ、取り込めば容易く倒せるだろう・・・それにレミウスだって返そう」


どう考えても罠だ・・・このクソ野郎だってそそのかした奴は間違いなくコイツだ


「失せろクソ野郎」


バルズは笑い「そうか・・・じゃあ私はただ傍観させていただくとしよう」


そう言って木の上に立って眺めていた


腹が立つ、ムカつく、どいつもコイツ俺を見下しやがって・・・


俺の炎が紅蓮に染まり始める、火山のマグマのように

この力は・・・たしかレミウスを助けた時の力に似ている・・・


「煉獄獄炎形態(インフェルノヘルバーニングモード)!!」


俺の体にマグマのように真っ赤な模様が浮かび上がり、拳と足からマグマのように赤い炎が放たれ、翼からはマグマのような赤い炎が大きく広がる


「俺はテメェみたいな自業自得野郎なんかに負けねぇ!」


俺の紅蓮の炎で相手に殴りかかる「連続獄炎鉄拳(ガトリングヘルバーニングナックル)!!」


フォードはよろけて叫ぶ「オォォォォオオアァァァ!!」


今度の炎は効果があった


同時に相手に腹が立つ気分も倍増してきた

『なんでコイツの自分勝手に俺が巻き込まれなくちゃならない』

『こいつの自業自得でキレてるだけのクソガキを相手にしなくちゃならない』

『エルローラと一時的だが離れる原因を作りやがった』


「あぁぁぁぁこのクソガキ!!」

俺は翼から炎が大量に放たれ、力が湧きあがる


「お前なんかクソ溜めの中でクタバレば良かったんだよ!!フリース国王だってテメェみたい厄介者なんかそうそうに処刑した方が楽だったろうよ!!せめてもの慈悲で懲役だったのにそれすら待てず自分がなんだぁ!?虫が良すぎるにも程があるぞこの責任知らず!!てめぇみたいなカスは炭に帰れ!!」


俺の翼の炎がどんどんと広がり俺の翼のサイズは相手よりも大きくなる


フォードは怯えて震えている


俺が空中に飛び上がり、拳を固めて「てめぇみたいなカスは灰に帰れぇぇぇ!!」


拳に炎が集まり、黒いガントレットが形成され始める

「制裁獄炎拳(ジャッジメントヘルバーニングナックル)!!!」


俺が飛び掛かって殴りかかろうとすると

「駄目ぇぇぇぇ!!」


目の前にレイメストが現れる


「っ!!」

攻撃を中断する


「邪魔だどけ!!レイメスト!!」


レイメストは顔が引きつり怖い顔をしているが両手を広げてフォードを庇い「駄目!!絶対にやだ!!」


エルローラが走ってきて「レイヤール!!それは敵の狙いよ!!」


バルズが動き出してエルローラの背後に瞬間移動して回り込みナイフを突き立てる


「殺れ!!レイヤール!!それにそこの尻尾が生えた嬢ちゃんも退いた方がいいぜ・・・ママさんの血は見たくないだろ?」


俺の中で何かがプツリと切れる「エルローラを・・・エルローラを・・・放せぇぇぇぇぇぇ!」


俺は頭が沸騰して真っ白になった


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