トラウマの化身
エルローラサイド
「エルローラを放せぇぇぇぇぇぇ!!!」
レイヤールの真っ赤な翼は黒く変色し、バルズ目がけて飛んで行った
バルズは舌打ちして離れる
私の側は禍々しい魔力のクレーターが出来上がった
レイヤールの目が赤く光り、口から黒い炎が溢れ出ている
私は言葉を失いただ、様子を見るしかなかった
バルズが素早く動いて間合いを取り「ッチ!!しくじった・・・イラつかせる事が目的だったのに怒りの対象をガキじゃなくて・・・こっちに向いちまった・・・!」
そしてレイヤールの体に真っ黒のオーラが漂い始める
レイメストが叫ぶ「ママ!!パパが・・・パパが消えちゃう前に!!」
「レイメストどうゆう事なの!?」
「パパ、あの人から闇を吸い取ってる!パパの心が無くなる!!」
レイメストが指差したのはフォード、フォードの姿は出現時の姿へと戻っていて朦朧としている。
エネルギーを吸い取られて消えかかっているんだ
「レイヤール!!」
私が叫んでも聞こえない、逃げ回るバルズを今まで見たことない速度で追い掛け回している、有り余り過ぎる火力を地面に撃ちこみ大地は穴ぼこだらけになっている、一撃一撃が大地を破壊し、無に変えている。
精霊達も悲鳴を上げている
どうしたら・・・
そこでミランダさんが教えてくれた事を思い出す
―――――――
ミランダの屋敷で目的だったドラゴンの操作方法が書かれた書物をミランダは手に取り言う
「エルローラちゃん、取得したレイヤールを制御する魔法だけど・・・これはドラゴンを制御する魔法でも最上級の物なの、これを使えばレイヤールの心さえも掌握させ、従わせる事ができるようになる」
私は首を振り「そんな魔法使いたくありません!」
ミランダが言う「そう?じゃあレイヤールが暴走した際、どうする気なのか聞かせて欲しいわね・・・」
「あっ・・・」私の言葉が詰まると
「そうゆう事・・・スー派は使い方こそ間違ったけど・・・正しく使えば大切な仲間を守る事にもなる・・・だけどレイヤールの波長はエルローラちゃんも感じた事あると思うけど難しいの、それも暴走しているとなれば猶更」
私が考えていると「レイヤールの体の一部を実は持ってきているのレイヤールから抜き取った鱗よ」
ミランダが黒いレイヤールの鱗を渡してくる
ミランダが言う「これを浮かせてみな、レイヤールの細胞レベルで操作して浮かせる事ができるはずよ」
「えぇ!?」
こうして私の特訓が始まっていた・・・レイヤールの細胞1つ1つを感じて操る
とても集中力が必要で長続きするような魔法じゃなかった。だけど何とか扱えるようにした、レイヤールを救うかもしれない魔法だから・・・
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寝る間も惜しんで私は特訓した、そして・・・
レイヤールの鱗が空中に停滞して私は喜ぶ「やった!」
ミランダが嬉しそう頷いて「この方法で行けば暴走状態と言えど押さえつけられるはずよ」
―――――――
私は意を決してレイヤールに歩いて杖を掲げ「ドラゴニューラ族の人たちの魔法・・・使わせて頂きます!!」
私が全身に魔力を練り上げると、不思議な力が体に漲ってきた。そして私の耳にある声が聞こえた
「・・・・貴方は優しい子ね・・・きっと将来は――な子に育つわ・・・」
なんだろうこの感じ・・・私のお母さんみたいな感じ・・・それにこの声は私の知る母の声じゃない
その瞬間杖が真っ白く輝き、レイヤールを白い光りが包み込む
バルズが離れて「ふぅ・・・成功したが危なかった・・・ここは撤収だ・・・嬢ちゃん命助けてくれた礼だ」
どこからか縛っていたレミウスが地面に置かれて姿が消える
そしてレイヤールは白い光りに包まれ始め、レイメストが走って「パパから悪いの出て行けぇぇぇぇ!!!!」そう叫ぶと、レイヤールの体から黒いオーラが弾き飛ばされて行く
―――――――
レイヤールサイド
『苦しい・・・この感じ・・・感じた事がある・・・』
親をぶん殴って黙らせてまで学校に行かなかった時に布団にくるまった時の感覚だ
親の思いも無視して殴った感触、それに加え、自分を制御しきれなかった悔しさ、
『なんでかな・・・エルローラも仲間もできたのに俺は・・・』
そこで俺の目の前に一匹のドラゴンが現れる、姿は俺と同じだ
「お前の弱さが俺を生んだ、お前の怒りが、悲しみ、苦しさ、それに加えお前の過去そのものの経験が俺を生んだ・・・俺はお前の正反対の属性・・・闇だ」
『俺の・・・闇・・・?』
「そうさ・・・お前の負の感情蓄積した精神体・・・フフッ・・・さぁ体をよこせ、俺が全てを壊してやる」
「エルローラも・・・?」
ドラゴンは言った「自分を守る為に全て壊す、あの女は・・・お前の都合の良い幻だ、誰もお前なんか救わないし・・・助けもしない・・・自分の都合で人を殺したようなお前にはな」
ドラゴンはゆっくりと俺の胸に手を入れてきた、霊体のように俺の体に入ると気持ち悪い感じがした「止めろ!!苦しい!!気持ち悪い!」
ドラゴンは笑い「そうさ、お前が本来持っている感情だからな」
「やめろ!!やめろぉぉぉぉぉ!!」
だがそんな時だった、誰かが優しく手を掴んでくれる感触・・・これは・・・
前世の“アイツ”とエルローラ・・・?
ドラゴンは振り向いて舌打ちして掻き消えて行く「忘れるな・・・お前は自分の記憶を--」
何かを喋ろうとしたが消えてしまった
――――――
俺は目が覚めるとエルローラが抱きしめてくる
「レイヤール!!・・・良かった・・・」
俺は朦朧として
「エルローラ?俺は・・・確か・・・」
エルローラが言う「レイヤールが闇に飲まれる前で良かった・・・私・・・レイヤールが居なくなったら駄目なの・・・」
「エルローラ・・・俺は闇に飲まれていたのか?」
レイメストが言う「パパが真っ赤な感情で埋め尽くされて・・・真黒くなっていったから・・・」
そうか・・・俺は自分に負けたのかもしれない・・・
俺は顔を向けるとフォードも元の姿に戻り倒れている
『光りは闇へ闇は光りへ』少しだけ分かった気がする。俺は自分と戦う必要があるんだ、過去の自分と・・・あのドラゴンは言った『お前の過去そのもの』だと
俺がアイツに飲まれない為に・・・『光りであり続ける為に』
俺はエルローラに抱き着いて「心配かけてごめん・・・」
―――――――
その後俺は森で休んでフリース王国へと戻った、人々も起き上がり、俺達が経緯を話すと納得し、闇という存在はフリース王国の古い書物にもある事から人々はレイに対する憎しみに疑問を持ち始めた・・・
きっとフォードが人々から憎しみを吸い取り平常心を取り戻したのだろうか・・・
フォード自身も俺に言われた通りだと、責任を持ち、謝罪してきた。
その反省した心から、服役年数はそのままという事になった
俺はフリース王国を出て村へと向かうが、俺には不安が隠せない・・・
俺自身が闇に飲まれてしまう・・・そうなった場合どうなるのか見当もつかない、もしかしたら・・・あの死んだ時に現れる少年が言っていた『未来が見えなくなる』とは俺が闇に蝕まれ、完全に飲まれた時なのかもしれない
俺は鏡に映る自分が怖くなった、あの時分の過去の化身を見ているようで・・・
それに奴が最後に行っていた・・・俺の記憶の秘密・・・




